『異種間エンパシー』あとがき
はじめに
この記事は私、深山宵が2022年に制作した近未来SFノベルゲーム、
『異種間エンパシー』のあとがきになっております。
まずはプレイしてくださった皆様、
拙作にお付き合いくださり誠にありがとうございます!!!
しかもあとがき記事にまでお越しくださり嬉しい限りです。
重ねてお礼申し上げます……!!!
今回noteで公開させていただくことになった理由は以下の3つとなります。
1. 時間が足らなかった
2. 組み込むには話が長くなりすぎるかも?と思った
3. 絵の話もしたかった
ということで……。
少し長くなりそうですがよろしければおつきあいください!
(ティラノゲームフェスにて頂戴したコメントへの
返信内容が重複している箇所があります。ご了承ください)
シナリオについて
2022/8/27に本編を公開してから約一か月……。
2022/9/26にやっとアプデが完了しました!
仕事との兼ね合いや想定外の作業追加などもありましたが、
ティラノゲームフェス2022ブラッシュアップ期間として
設けられている9月末までに間に合ってほっとしました。
去年もシナリオには相当苦労したんですが、
今年はそれ以上にてこずってしまいました。
あまりにもボツの山を築き上げすぎて
途中なんども心が折れそうになりました。
私は本格的に制作がはじまると(とくにいきづまってる時)
一番の趣味であるゲームがほとんどできなくなってしまいます。
それで余計気が滅入ってしまいました。
去年の作品は自分なりにやりきれた気持ちがあったので
同じくらい納得のいくものにしたかったのですが、
肩に力を入れすぎてしまったのか
シナリオどころかプロットやネタ決めで頓挫しまくり、
かなり苦しい時期が長く続きました。
今年の参加はあきらめようかと何度も考えたくらいです。
でもそれでもやはりフェスに参加したかったですし、
いずれあたためているお話をかたちにするためにも
経験をつみたいとも思っておりまして……。
(遅筆なのでたくさん作れないのがつらいところです)
とにかく自分の好きにやってみようと気持ちを切り替えて
書いたのが今回のシナリオになります。
時間が足らなくなってしまったなか(自業自得です)、
自分なりに精一杯できる範囲で制作いたしました。
各ENDやアフターストーリー(以下AS)につきましては
また別枠で書かせていただきます。
イラストについて
なにかしら新しいことに毎年挑戦したいと思っていたこともあり、
2020年の秋ごろから絵の練習をはじめたこともあって、
今作では思い切って立ち絵に挑戦してみることにしました。
(絵の練習を始めた動機のひとつが立ち絵を描いてみたい、だったのです)
最初の計画では5年くらい練習してから実践するつもりでしたが
勇気をだしてかなりはやく実行することとなりました。
これもいつも温かく見守ってくださったりアドバイスをくださったりと
優しくしてくださるフォロワーさんたちのおかげです。
いつも本当にありがとうございます!
2021年の秋からはずっと男性の絵を描く練習をしていましたので、
この機会に久し振りに女の子も描きたかったのですが、
結局男性キャラだけになりました。
しかもスチルにも挑戦してしまいました。
これも最初はタイトル画面とラストシーンくらいの予定だったのが、
最終的にタイトル2枚、本編4枚、ASで12枚の
合計18枚になりました(差分含まず)。
かなり想定の範囲外で自分でも驚きました。
とくにASを制作している時顕著だったのですが
シナリオ担当の私が軽率に(ここにスチル)だの
(苦しんでるアルの姿を入れたい!)だの指定してきまして……。
先達の皆様から噂に聞いていたのはこれかー!って思いました\(^o^)/
しかしイラスト担当の私は描けないもののほうが圧倒的に多く、
どんな構図がいいのかがわからなかったり
たまに脳内にイメージが浮かんでも技量が足らず
諦めてしまったものがたくさんありました。
(とくに動きのあるポーズや複数人物のスチルは無理でした)
絵を描くことの難しさ、自分の引き出しの少なさを痛感しました。
そもそもいままで男性の人体の練習ばかりしていて、
構図についてほとんど勉強していなかったんですよね……。
ということで画力にあわせてシナリオを変えることもしばしばありました。
描けないものだらけなのに無謀だったかなとも少し思いますが、
自分なりに精一杯がんばって楽しく絵を描くことができましたし、
結果的に挑戦してよかったなと思っています。
また今回の成果として絵を描くスピードが速くなった、
お絵かきツール(クリスタ)の扱いに慣れたというのがありました。
(速くなったというのは線を引くのが速くなったとかではなく、
余計な工程を省くことを覚えられた気がしています。
クリスタはまだまだ知らない機能がありますが、
以前に比べたら理解度が増したという実感があります。)
あと私、自分が絵を描いている事実がいまだに信じられなくて、
描きあがった絵をぼーーっと何分も眺めてることがあったんですよ。
「これが……わたし(の絵)……?」みたいな笑
描きなれてきたことでそういう時間の浪費がだいぶ減りました。
(といいつつ今も時々やってしまいますが💦)
もうすでに立ち絵もスチルも描き直したくて仕方がないのですが、
これ手をつけちゃったらキリがなくなりそうなので我慢しています。
次また絵に挑戦するかは未定ですが、
やるならもっと時間に余裕をもって作りたいです……。
ここから先はネタバレを含みます。
未プレイの方、この機会にぜひ遊んでくださいますと嬉しいです。
何卒よろしくお願いいたします!
(ゲームは無料ですが通信料は別途かかります。ご了承ください)
タイトル『異種間エンパシー』について
最後の最後まで決まらなかったタイトル。
ボツになったタイトル候補は『ためらいがちなエンパシー』
『きみとつながるエンパシー』『温もりは君のエンパシー』
『擬人性エンパシー』『優しさはきみのレメディ』などなどなど……。
紆余曲折を経ていまのタイトルになりましたが、
去年作った『暗がりビオトープ』と雰囲気が似てしまったのが反省点です。
タイトルの意味としましては、
アルが共感型のバイオノイドという設定を表しているのと、
結局亜子のほうがバイオノイドの気持ちに寄り添い
共感しようとしているのではないかという
二重の意味を含ませた……つもりです。
キャラクターについて
加賀見亜子(かがみあこ)
一応主人公。結局指しか出てこなかった。
一部のスチルで後頭部が登場する予定でしたが描けませんでした……残念。
彼女は小柄でおとなしめな見た目という以外、
とくに外見を設定しませんでした。
アルとの身長差は30センチくらいあります。
真面目で好きな人に尽くすタイプ。
18歳からずっと弟のために生きてきた人。
その分弟に対し過保護で過干渉なところがあります。
幼くてかわいかったころの弟の面影を今の弟にも追い求めていました。
仕事と弟だけで世界が回っていたので、恋人はおろか友人もいません。
しかもアルを迎え入れてしまったので
この先ますます縁遠くなるのでは……。
作中ではアルのことを家族のような存在として受け入れつつあります。
その感情が変化することがあるのかどうかは……。
作っていた頃は家族愛のつもりでいましたが、いまはそれ以上でもいいかな、なんて考えています。とにかく仲良くしててくれたらうれしい。
恋人がいないと書きましたが、時間切れで書けなかった小話のひとつに
高校生のころにお付き合い直前まで仲が進展していた男子と
再会する話がありました。このあたりいつか書けたらいいな……。
アル(型番BKS03E037N-ALLURE)
たぶんこっちが本当の主人公。
見た目は20代前半、身長は180センチ超
中性的で美しい男性型バイオノイド(疑似生命体)という設定です。
……がついに作中では美しいと書きませんでした。
(髪が綺麗で羨ましい、と亜子に言わせたのがギリギリでした)
自分の絵なので書きづらかったこともありますし、
もともとバイオノイドは美しい姿に作られがちなので
アルが綺麗なのは珍しいことでもないという設定だったこともあり、
特筆しませんでした。
人々を惑わせるほどの魅力が備わるようにという開発者の想いから
型番の最後にallure(魅惑)とつけられました。
……が、所属していたレンタル家族サービスでの人気は
ほとんどありませんでした。
それはいつも余計な一言を言ってしまったり
不器用すぎてお客様のニーズにこたえられなかったりしたためです。
はじめての常連客で相性がよく、しかも自分を買い取ってくれた亜子は
彼にとって世界で一番大切な人間です。
私は長髪男性キャラを描くのが好きなので
アルも通常はそのような姿なのですが、
END2では真逆の外見にしてみたところ、
はちゃめちゃに気に入ってしまいました。
でも一番ひどい目にあってるのが金髪アルな気がします笑
(笑っていいのか)
加賀見一織(かがみかおる)
亜子の弟。亜子とは12歳年の差があります。
両親の代わりに自分を育ててくれた姉に深く感謝していますが、
負い目を感じていたり束縛されることに抵抗を覚えていたりもしました。
実は一織の立ち絵はいっこ前のボツ話に出そうとして描いたものです。
(前回の記事に掲載したふたりの女の子が出てくる話のことです)
最初はこのキャラをアルとしてリサイクルする予定でした。
でも画面に置いてみたらどうにもしっくりこなくて、
結果的にアルは新しく描き直すことになり、
こちらは弟として使うことになりました。
ENDとASについて
ノベルゲームをつくると大体1時間弱くらいの作品になるのですが、
今回は本当にギリギリまで決まらなかったため制作する時間が足らず、
15分くらいで終わる短めの話をつくることになりました。
それが現在のメインストーリーにあたる部分です。
ティラノゲームフェス2022に参加するための締め切りは2022/8/31。
なんとか間に合わせることができたので、
9月のブラッシュアップ期間中に
END3につながる話だけ追加するつもりでした。
亜子が弟と仲直りするところだけは絶対書くと決めていたので……。
でも先ほども書きましたとおり、
END2のアルをばちくそ気に入ってしまって
気づいたら頭の中に続きが存在しているわけです。
じゃあEND1にもあるんじゃないの?と頭の中を探ってみたら
やっぱりEND1にも続きがある。アルだけに……(座布団が回収される音)
それにメインストーリーで描き切れなかった
世界観の補完もしたいと思っていました。
ということで、
一か月で3つのASとスチルをかく&組み込むことになりました。
ASはどれも5000文字くらいだったので計15000文字。
本編がたしか7000文字くらいだったので
遅筆な自分にとってはかなりのボリュームアップでした。
スチルについては前述のとおりで、アプデ期間に描いたのは約13枚です。
(差分とASアル立ち絵含まず)
短期間でこんなに絵をたくさん描いたのははじめてでした。
最初はEND3のおまけだけのつもりだったので、
クリア後のタイトル画面にEXTRAボタンが出るようにする予定でした。
ですがASが各ENDごとにあるのなら、これはおまけではないのでは?
むしろこれも本編だし、ボリュームで言えば後編に該当するのでは……。
なのにEXTRA扱いにしてしまうのはどうなのか……。
というわけで、現在のような仕様になりました。
各シナリオのプレイ時間をざっくり可視化しているつもりです……。
この作業が再申請の前日、つまりギリギリになっての変更だったので
かなり焦りましたし消耗しました。
本当はASを全話クリアした後、さらに続く話を入れたかったです。
でも構想こそあるもののかたちにするには話が大きくなりすぎるし
時間がとても足らなかったので断念してしまいました。
もっと早くにとりかかれていたら実現できたかもしれないので、
次からはもっと早めに動きたいです。
といいつつ毎回ギリギリになってしまうのもつらいところですが……。
END1&AS1
廃棄処分になったことをしって愕然&実はその後……なお話。
AS1のラスト、最初の予定では完全に壊れておしまいでしたが、
制作を続けているうちに情がわいてしまったことや、
他のASとのバランスを考えて、ワンチャンあるかも?に変更しました。
壊れ方の候補はいくつかあったのですが、
どれも画力の都合で描けそうになく……。
(大破する展開なんてどう描けばいいのか見当もつかなかった)
採用になったシーンも、身を挺して亜子をかばっているスチルは
もっとヒキで描きたかったです。画力~~~!
亜子とアルの身長差が30センチくらいあるという設定になったのは
このシーンのためでした。
亜子の目の前で壊れていくアルの表情は、
描き直したいスチル候補のひとつです。
END2&AS2
まさかの再会と悲劇的展開なお話。
実際バイオノイドのような存在が現れたら
悪用する人間もいるだろうなと思いこの話ができました。
とくにAS2は個人的に冒険した内容で、
ほとんど救いのない話なことや、
人間でない存在がなにを「思う」のかを
どう表せばいいのかなどとても難しかったです。
裏社会でボロボロになるアルはかわいそうでしたが、
気の毒に感じながらもなかなかに楽しんで作ってしまいました……。
END1&AS1と同様END2&AS2でも
亜子との記憶を隠し持っていたアルですが
「完全に思い出す」ことはありませんでした。
最後のスチル、もっとあからさまに壊れてるように
かきたかったんですけど無理でした……。
ほんとは胸から下が悲惨な状況になっています。
END3&AS3以外では不憫な目にあってばかりのアルですが、
亜子にたいしての想いを大切にした結果なので本望なはずです。
そういえば今作のスチルで一番気に入ってるのは、
AS2のクラブで若い子をナンパしてるシーンです。
10月に入ってから描いたのですが好きな雰囲気にできたので追加しました。
END3&AS3
無事お買い上げ&平和な生活&弟との和解というハッピーセット。
一織の恋人、伊集院は性別や年齢を感じさせない設定にしたかったので
彼もしくは彼女と書けなかったのがマイルールとはいえ辛かったです笑
また伊集院は別名でAS1にも登場しています。
いずれも立ち絵が欲しかったのですが、
時間も画力も足らずシルエットでの登場となりました。
亜子とアルはこの先幸せに暮らせる予定ですが、
耐用年数を迎える10年後にどうなるのかは未定です。
あとアルの髪の長さが自由自在な設定になったのは
ただ単に作者が長髪を描きたかったからです笑
最後に
今回も自分ひとりの力では最後まで作れなかったと思います。
あらためて感謝の気持ちを伝えさせてください。
◇Twitter、note等でつながっている皆様
皆さまがゲ制や創作などに励まれているところや
日々の出来事などを綴られているのを拝見するのは
とても刺激を受けますし楽しみでもあります。
私のツイート等につきましても
皆様からご反応をいただきまして、
とてもありがたいですし心の支えや励みとさせていただいております。
いつもありがとうございます!
◇素材、プラグイン等制作者の皆様
今回も素敵な素材、プラグインをたくさんお借りしました。
皆様の素晴らしい作品なくして拙作は存在しません。
いつも本当に助かっております。ありがとうございます!
◇シケモクMK様
そしてなによりティラノビルダーという、
私のようなプログラム不得手人間でも容易にゲームがつくれる
ツールがあるおかげで、そしてノベルコレクション、
ティラノゲームフェスといった発表の機会があるおかげで、
こうして細々とですが創作物を発表することができています。
いつもありがとうございます!
あとがきは以上です。
ここまで読んでくださりありがとうございました!