ジャズ喫茶論(マイク・モラスキー)【読書メモ】
日本独自のカルチャーを、日本人以上に日本人的な外国人著者が論考する。
昔のジャズ喫茶は、内なる世界への没入を余儀なくされる禅寺のような、あるいは一蘭の「味集中カウンター」を彷彿とさせるような、アングラ感漂う様相だったらしいが、スタンドアローンで音を楽しみたい人にとってはそれはそれで居心地のいい空間だったのだろう。
ライブハウスやフェスみたいなイベントが軒並み苦境に立たされている今、ジャズ喫茶をヒントに、そういう寡黙でインドア志向で静かに音楽鑑賞したい層へ訴求する何かがもっとあってもいいんでないかい。そう、感染症対策にも万全な「音集中カウンター」とか。ちょっと何言ってるか分からないけども。
60-70年代の全盛期、80年代以降の衰退期を経て、いまや懐古趣味な博物館的存在となったジャズ喫茶だが、昭和のレガシーとして追憶にふけるだけではあまりに勿体ない。