Bassoon Barrier-Free
特筆して古風でクラシックのイメージが強いファゴット。つまりは…まぁ地味ですよね(言っちゃった)
サックスやトランペットといったTHE・花形とはそもそも畑が違うことは重々承知しておりますが、同じ発音体であるはずのオーボエは「あぁこの曲の楽器か~!」と音楽業界外の人々も頷く"某朝ドラ"のテーマ曲なんてものがあります。その他にもいろいろ。ずるいなぁ。
しかし実はファゴットにも、これはファゴットじゃなくちゃね…!というような華々しい使われ方をしている楽曲がクラシック以外の分野に多数存在するのです。今日はそんな隠れた魅力についてご紹介していきたいと思います。
Salvatore Arena Bassoon Jazz Quartet -New Friday Morning
とにもかくにもBassoon Jazz Quartetというパワーワード。そんなことがあっていいのだろうか。
しかし再生ボタンを押せば不思議なしっくり感。同じ低音でもバリトンサックスとはまた一風変わったいい意味での腑抜け感・脱力感があって耳にやさしいと思うのはぼくだけじゃないはず。
個人的にもすごくチャレンジしてみたい分野ではあるのだけれど、実演するとしたらそれはそれは相当周りの奏者に音量気遣ってもらわないといけないな(笑)
ハツコイ娼女 -椎名林檎,斎藤ネコ
衝撃的な冒頭。ヒエェ~!ファゴットを演奏する人にはド共感してもらえると思いますが、いきなりドソロでHigh Dて。あの"春の祭典"より高いですよお兄さん。
この曲の世界観を表現するオープニングに、ファゴットの高音域というのはとてもいい緊張感の演出になっているような"相応しさ"があって大好きです。
きっと他の楽器がラクラクと吹いたんじゃ雰囲気出ませんよね。いざ自分が演奏するとなると…ちょっと目の色変わりますが。
Lycoris -中村佳穂
大学の同期であり、戦友のハラモト氏がファゴットで参加しているこちらの作品。彼はファゴットとエレキベースの二刀流奏者です。
ぼくも含めた戒めですが、界隈に漂う守りの姿勢?ファゴット奏者自身が活動の”範囲”を自ら限定しがちな状況とでもいいましょうか。そこへ一石を投じる姿に同期ながら感銘を受けています。
つまりはファゴットってもうちょっとなんかいろいろ出来るくない?っていうね。
この作品においてファゴットが馴染みつつも無くてはならない良い仕事してる感じがすばらしくて、うわぁ~とワクワクします。
結局は楽器が地味なのが悪いんじゃなく、そう聴衆に勘違いさせてしまっているのは奏者。腕と発想さえあればどんなジャンルもボーダーレスに溶け込める可能性に溢れていることを再確認するようで、勇気づけられる大好きな一曲です。