「まかない」こそが最高の料理である。
昨日のバイトはレストランでのバイトだった。僕が働いているホテルにはレストランが併設しており、そこでもちょくちょく働いているのである。
昨日は台風が来ているということもあり、お客さんはほぼおらず終日スカスカ。暇な1日をのんびりと過ごしたのであるが。
そのレストランでは、働いている人にまかないが出る。憧れのまかないである。
「まかない」
人生でも5番目ぐらいに好きな言葉かもしれない。聞くだけで幸せな気持ちになる魔法の言葉、まかない。
居酒屋の名前「まかない」にしようかな。「まかない、いや、まく」にしようか。「まかなければいけない」もいいな。
話を戻す。そのまかないである。
昨日僕は初めて1日を通してレストランでの仕事であった。今までは昼はホテル、夜はレストランとか。そんな感じだったので、通しで入ったのは初めて。
それ故にまかないも初めてであった。
そこのレストランは割と単価の高いレストランである。平日のランチセットが4000円する。飲み物も頼もうものなら5000円を超えてくる。
選ばれた民しか入ることのできないレストランなのである。選民思想レストランと言ってもいいかもしれない。
そんな選トランであるが故に、シェフのこだわりもすごい。以前、新メニューの試食会みたいなものがあって、僕も少しお呼ばれしたのだが、確かに料理はめちゃくちゃ美味しくてゴージャスだったのだが、シェフの説明が特にゴージャスであった。
ゴージャス過ぎて何にも覚えていない。「お客様に対して、、満足感を、、他にはない体験、、ここでしか味わえない最高の、、」なんかいろいろ言っていた気がするが、あまりにも親近感のない言葉過ぎて、まったく入ってこなかった。
僕はとにかく「この鶏肉うみゃいにゃあ」なんて思いながらモグモグしていた。
とにかくシェフのこだわりがすごいのである。このこだわりを見たとき、僕は人生で初めて「シェフのこだわりサラダ」なるものを見ることができるのかと期待したが、残念ながらメニューにそれはなかった。
シェフのこだわりサラダってこの世に本当に存在するのか。漫才のネタにしかない、空想上の食べ物じゃないのか。
僕がお店を開いたらメニューに絶対にシェフのこだわりサラダを出す。おそらく僕の店にはシェフなんていないと思うが、それでもいい、関係ない。
そんで「このシェフのこだわりサラダってどんなの?」ってお客さんに聞かれて「野菜炒めです」って言って「えぇー!!野菜炒めかい!!」ここまでがワンセット。このやり取りに500円の値段をつけたい。
この気持ちの良い、誰も傷つけない、それでいて王道のツッコミに500円の値段をつけたい。僕なら払う。それで店内で爆笑を取れるなら平気で5万出す。
何の話だっけ?そうだ、まかないの話だった。
それで昨日まかないを初めて食べたのだけれど、これがもうべらぼうに美味い。引く。普通に引くぐらい美味い。
梅肉とレタスが上に乗ってる冷やしスープうどんみたいな、一見パパっと作りました的な、いかにもまかない感のある見た目なんですけど、これがもうべらぼうに美味い。
一緒に食べた人が言うには「カツオのだしと梅肉がよく合うね」だそうなのだが、僕にはわからない。言われるまでこれが何のだしかはわからない。言われてから「あー確かにこれがカツオかー」ぐらいの感想なのだが、そんなことはどうでもいい、美味い、とにかく美味い。
この前横浜で奮発して食べてみた5000円のトンカツより美味い。これがいい。このメニューを居酒屋で出したい。
もうね、本当に感動しました。ひさしぶりに料理上手い人のメシを食ったなと。料理上手い人が簡単に作るパパっと飯がこの世で一番美味い。
元々料理の腕がある人が、お店のいい食材を使って自分の好きなように作るご飯が一番美味い。
結論、まかないが一番美味い。この世で一番美味いのはまかないである。このことにはまだ誰も気がついていないので、来月の学会で発表しようと思う。
全世界でまかないブームがくること間違いなし。
このまかないを食べたせいで、僕は完全に料理が上手くなりたくなってしまった。料理というものに挑戦したくなってしまった。
新しく作る居酒屋では、料理なんて別に興味ないから片手間でできるものを、なんて考えていたのだけれど、これはそうはいかない感じになってしまった。
今日から料理練習します。僕、最高の料理人になります。よろしくお願いします!!
ということで僕は最高のまかないを出す居酒屋を作る。
現場からは以上です。
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