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【日常系ライトノベル #12】美優ちゃんの積極的な優しさに赤面するボク

※本作品は昨夜upした内容を推敲した書き直し版になります

ボクはいつもよりも笑顔で出社した。

それは気になるアルバイトの美憂ちゃんが出勤する日だからだ。
会社で顔を見るだけでこんなにもウキウキな気分になれるなんて、最高の1日になるに違い。

調子に乗り過ぎると失敗してしまう性格なのは自分でも承知の上だ。今日は絶対仕事でミスらないようにと気をつけようと、そう自分に言い聞かせた。

「おはようございます、東田さん。」
彼女はとびっきりの笑顔で挨拶をしてくれる。
「あ、お、おはようございます!」
ちょっとデレデレした感じで返事を返したのがバレていないか、それだけが気になっていた。

仕事はいつもより順調に進んでいく。美憂ちゃんが出勤しているから当然の結果だ。

ここまでは順調に進んだのだが、我慢していたものが限界に近づいてきた。
とにかく我慢して広げた資料を急いで片づけようとしたとき、人生2度目の恥ずかしい悲劇を起こしてしまった。

「あっ」
これはやばいと思ったものの、どうしても途中で止めることが出来ずにほとんど全てを出しきってしまった。

あたり一面を濡らすその生ぬるい感触に赤面していると…、美優ちゃんはハンカチをそっと差し出してくれた。
さすがに申し訳ない気持ちでいっぱいでいると、今度はタオルを持ってきて優しく丁寧に拭こうとする。

量が多かったのでタオルはすぐにびしょびしょになった。

「大丈夫ですか?」
そういって声を掛けてくれるのは嬉しいけど、恥ずかしい気持ちでいっぱいだ。

さらに積極的に拭こうとする美憂ちゃんの腕があそこに触れそうになる。
「どうしよう…。」

(あっ、抜かないでね)
心の中でそうさけびたかったけれど、すっと声が出てこない。

「はい、これで大丈夫だよ。」

美憂ちゃんはノートPCの電源ケーブルが拭き上げる腕に触れて抜けないように気を配りながら、倒れていたペットボトルを立ててくれた。

今日に限ってお茶だったなんて…、なんて日だ。

【終わり】

(あとがき)
2度あることは3度ある
デスクでペットボトルを飲むときは必ず蓋をしましょう

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東田純平
ありがとうございます。気持ちだけを頂いておきます。