【童話 #25】まーくん家の小人さん
※これは子どもむけのおはなしになります
今日のまーくんは一人で学校からかえります。おともだちのみんなは、おむかえが来て車でかえったからです。
雪がふっているさむい、さむい日のことです。まーくんのおうちの人は、おむかえに来ることができませんでした。しんしんとふる雪は少しずつかさなりあっていきます。
まーくんは家にかえるために歩き出しました。まーくんがあるくたびにぎゅっぎゅっと音がなります。いつもよりは歩くのにちからがいります。
学校から家までのきょりはそんなに遠くありません。けれどもこの雪のせいで遠くにあるような気がします。
まーくんは、話しあいてもいないのでつまらなくなりました。立ち止まるとてぶくろで雪をかきあつめて、丸いだんごを作りました。そしてその団子を雪の上でごろごろところがしながら歩きだしました。ちょうどまーくんのかおと同じ大きさくらいになりました。
まーくんはひとやすみしようとランドセルをせなかからおろしました。
まーくんは大きくなった白い団子に目とはなと口を石ころと落ちている葉っぱで作りました。人のかおっぽくなり、その顔はまるでまーくんにニッコリとほほえんでいるように見えます。白い団子はなんだか雪だるまみたいになりました。
まーくんは顔とべつにからだの部分も作ることにしました。かおよりも大きな団子にするために今まで歩いてきた道をまたもどりだしました。さっきよりも大きな団子にするために両手のてぶくろでたくさんの雪をあつめました。ごろごろところがしながら大きな大きな白い団子を作りました。
まーくんは大きな団子の上にひとまわり小さな団子をのせました。
あとはてをつければ雪だるまのかんせいです。
まーくんは手のかわりになる木のえだがないか、まわりをキョロキョロと見わたしました。すると学校を出るときには高いところにあったお日さまが低いところまできて、もうすぐ消えようとしていることに気づきました。まーくんは早くかえらないといけないことを思い出し、足もとにあった小さな木のえだを大きな団子にくっつけました。そしてまーくんのしていたてぶくろをそのえだのせんたんにそっとつけました。雪だるまがなんとかできあがりました。
まーくんは雪だるまに手をふると家にむかって走り出します。かえりがおそくなったから、おこられるかもしれないという気もちと雪だるまというおともだちが出来たよろこびがまじった変な気もちです。
その日の夜は雪がふぶきにかわりました。風のおとがびゅーびゅーと聞こえてきます。まーくんは作った雪だるまがこわれていないか気になってなかなかねむれません。
次の日、まーくんは雪だるまのことが気になったので早めにおきました。いつもよりも早くごはんをたべおわり、みじたくをおわらせました。
「行ってきまーす」というと、げんかんのどあをあけました。するとげんかんのまえにまーくんが作った雪だるまがおいてあります。まーくんはびっくりしてげんかんのなかをふりかえりました。げたばこの上にまーくんがつけたてぶくろがそろえておいてありました。
ここからさきは、まーくんにはないしょのおはなしです。
きのう、まーくんのかえりがおそいのをしんぱいしたおうちの人が学校までようすを見にいきました。そこでまーくんが雪だるまをつくりながらかえってくるすがたを見つけて、まーくんが雪だるまにさよならした後にそっと車に乗せておうちまではこんでいたのです。まーくんのおうちには子どものようすをそっとみまもってくれる、大きな小人さんがいるようです。