見出し画像

アフリカで「ワンオペ育児」に挑む。

2024年9月に第3子が産まれて、それから1ヶ月半、その子がアフリカ・セネガルにやってきた。

うちは3年前から妻の仕事の都合でセネガルで暮らしていて、これまで4人家族だったのが5人家族としての生活が始まったところだ。

妻の日本での出産のため、2ヶ月ほど家族全員で日本に帰国し、7歳と4歳の子どもの学校と幼稚園が9月から始まっていることもあって、2人の子どもと僕は、出産を見届けて一足先にセネガルに戻った。

だから先日までの丸1ヶ月は、セネガルで子ども2人と父である僕の3人生活、いわゆる「ワンオペ育児」だった。

とはいえ、日本でのワンオペ育児と比べると、まったく過酷ではなかった。

うちはもともと共働きでベビーシッターさんを雇っているから、日中僕が仕事をしている間、子どもたちは、午前は学校・幼稚園に行き、午後はベビーシッターさんが見てくれていた。

ベビーシッターさんがいない曜日も僕が子どもを学校・幼稚園にダッシュで送迎して、仕事の合間に朝昼晩のご飯をすべて1人でつくるのはそれなりにがんばったけど、苦行というほどではなかった。

仕事はセネガルに戻ったときの時差ぼけをそのままに、子どもと一緒に21時には就寝して朝3時ごろに目を覚まし、外は真っ暗ななかでコーヒーをすすりながら仕事をする生活も心地よかった。

そして週末は、友達親子が子どもを預かってくれて、僕は毎週楽しみな草サッカーをすることができたし、学校が休み入ると(セネガルのフランス系学校は2ヶ月通学すると2週間お休みというサイクル)、また別の友達親子が子どもを預かってくれたりもした。土日のどちらかは、セネガルでふだんそうしているように、日本人親子で集まって一緒に遊んだ。

土曜日が僕の趣味であるサッカーなら、日曜日は7歳の子どもがどハマりしている釣りに毎週行き、釣った魚をひたすら食べる生活も楽しかった。

日本人以外にも、僕のフランス語なんてほとんどコミュニケーションを深められないのに、子どもの学校の友達親子は奥さんがいなくて大変だろうと、夜ご飯に家に招いてくれたりもした。

とにかくいろんな人がさまざまなかたちで助けてくれたことで、ワンオペだったのに、終わってみたらほとんどワンオペという感じはしなかった。

以前の仕事でシングルマザーやシングルファザーに取材したり、いまも友人や知人から「毎日ほぼワンオペ状態…」という話を聞くこともよくある。だから日本でのワンオペ育児の過酷さは、それなりに理解しているつもりだ。

その理解からすると、僕がワンオペを苦に感じなかったのは、間違いなくセネガルにいるからだった。

ベビーシッターさんの存在はもちろんだけど、それ以上にセネガルで「つながり」があることが大きい。

逆に、こうした人との「つながり」がなかったら、たぶん相当に過酷なものになっていたのだろうと思う。それに日本だったら、おそらく僕はこうした「つながり」をつくれていなかった、とも思う。

日本のママ中心のコミュニティで、いまのような関係性を築けるとは思えないし、日本で子育てをしていた頃も、妻には何人ものママ友がいたけど、僕にはパパ友、あるいはママ友と呼べる人はほとんどいなかった。

それが、セネガルだと日本人というだけで仲良くなりやすく、パパでもママでも関係なく、さまざまな「つながり」がある。

日本に比べるといろんな不便があることも、情報共有機会が増えたり、話が盛り上がる要素になったりするし、そんな環境で一緒に子育てをしているからか、なんというか仲間、おおげさに言えば戦友のようにも感じている。

子どもたちが大きくなっていつかまた住む場所や暮らし方はバラバラになっても、親同士の関係はずっと続いていくんだろうなと思える関係性を築けている人が何人もいる。

何より、そうした「つながり」をつくってくれているのは、子どもたちに他ならない。子どもが起点になっていろんな人との「つながり」ができて、いろんな景色を見せてくれている。

「子が親を育てる」といういうけど、子育てを通じて、たしかに自分自身も育てられているなと思う。子どもと一緒に過ごすことで見える世界が広がっているし、いろんな関係性のなかで子どもの親として(あるいは人として)どうあるといいのかを考える機会も増えた。

子育てを通じて考え、学び、気づきを得る営みが、親としての僕自身を育てているのかもしれないと思うと、子育てはやっぱり何物にも変えがたい経験だと思える。

そして、0歳のの子育てがまたはじまり、これまた結構大変だ。妻が復職してからは、日中はベビーシッターさんと僕とで搾乳された冷凍のミルクを微熱量で温め直してあげ、寝かしつけを何度も何度も繰り返し、夜中にも起こされて、とくにてんやわんやだ。

でもその大変さを補うには十分すぎるほどかわいい。3人目だから、親としても上の2人の頃と比べて、少しだけ余裕を持てている。だからこそ、最後になるであろう新生児の子育てを思いっきり味わえたらなと思っている。

いいなと思ったら応援しよう!