イタリアを賢く旅行する14のコツ(2023年)
移住という言葉を、初めて意識した。
2年越しの新婚旅行で訪れたイタリア。旅程は10泊12日。彼の大陸ではすっかりコロナも鳴りを潜める中、海と太陽に恵まれたこの国の美しい衣食住を、旅行者なりに満喫することができた。
それができたのも、親身になっておすすめを教えてくれた日伊のご夫婦や中目黒のレストランのシェフ、快く送り出してくれた仲間や仕事のパートナーの方々ほか多くの人のおかげだ。そこでPay it forwardの教えに倣い、ここでは旅行中での気づきに基づいて、自分なりのTipsを書き残しておこうと思う。
特に、旅行代理店に頼まず、個人で旅行を組むときのポイントに焦点を当てている。世界が日常に戻りつつある中、これから増えるであろうイタリア旅行者にとって何かのヒントになれば幸いだ。
※この記事は基本的に記憶と経験を頼りに書いている。旅行に際しては必ず最新の公式情報を参照してほしい。
想定する読者
この記事では、個人旅行を考える以下のような(自分たちと似たような)読者を想定している。
イタリアに行くのは初めてくらいだ
海外旅行には慣れていて、ツアーよりも個人旅行を自分で組むのが好き
英語での日常会話は苦じゃない
旅程
今回の主な旅程としては以下の通り。
-- 往路:4/24 羽田→ミュンヘン経由→ヴェネツィア空港 --
-- 移動:空港からのバスで約30分 --
4/24-26 (2泊) ヴェネツィア
-- 移動:電車(Trenitalia)で約2時間 --
4/26-28 (2泊) フィレンツェ
-- 移動:電車(Trenitalia)で約2時間 --
4/28-29 (1泊) アッシジ
-- 移動:電車(Trenitalia)で約2時間 --
4/29-5/2 (3泊) ローマ
-- 移動:電車(Trenitalia)で約4時間→バス(Trenitalia)で約1時間 --
5/2-5/3 (1泊) アルベロベッロ
-- 移動:バス(Trenitalia)で約1時間→電車(私鉄Ferrotramviaria)で約20分→
国内線飛行機(ITA Airways、バーリ→ローマ経由→ヴェネツィア) --
5/3-5/4 (1泊) ヴェネツィア ※翌朝に備えて空港ホテル近くで寝ただけ
-- 復路:5/4 ヴェネツィア→フランクフルト経由→羽田 --
Tips(移動系)
実際にやっておいてよかったこと、後から考えればやっておけばよかったことなど。
1都市最低2泊は滞在する
今回は自分は初めてのイタリア旅行だったこともあり(妻は2回目)、なるべく多くの都市を見てまわりたいと思い、結構詰め詰めのスケジュールにした。普段はどちらかというと、少ない都市のローカルな部分までじっくり歩き回るのが好きな方なので、スタンプラリーというか作業ゲーにならないかちょっと心配していたが、結論十分に満喫できた。ただ、体力的にも10日で5都市で結構ギリギリだったかなとは思う。また、後半や天気が冴えず、土砂降りのアルベロベッロを歩き回るみたいなこともあったので、バッファーで各都市最低2泊は設けるといいかもしれない。
タクシー配車アプリ『FreeNow』を入れる
『FreeNow』は主にヨーロッパで展開するタクシー配車アプリで、日本でいうTaxi Goのようなもの。その場でタクシーを呼べて、目的地は事前にスマホのマップから指定、支払いもネットで自動決済、料金システムも標準的と非常に安心快適だ。たしか日本語は対応していないはずで、英語で操作する必要がある点は要注意だが、必要な情報は氏名や電話番号のほか、クレジットカード情報と標準的なものであり、操作はそこまで難しくないはず。タクシーに乗ってぼったくられるという海外旅行の風物詩は、テクノロジーの普及により過去のものになりつつあるようだ。
都市間の移動には新幹線を利用する
今回、都市間の移動は、基本的にイタリアのTrenitalia、日本でいうJRのような路線の新幹線を使った。驚いたことに(失礼ながら)、僕たちが体験した限りはほとんど定刻通りに運行していた。始発駅では必ず定刻(発車1分前にドアが閉まる)、途中停車駅でも5分前後のズレしかなかったのではないかと思う。さらに車内は清潔、サービスは快適だった。グリーン車的なものに乗ったからという理由もあるが、それでも価格は約2時間の移動で¥10,000前後と日本よりだいぶ安い。Trenitaliaの場合、公式サイトから事前に予約・決済することができる。なお、日本の新幹線と異なり、路線によって等級や早割り、人数割りなどのプランのバリエーションが豊富なので、自分たちにあったものを選ぶのが良い。予約完了後に表示されるPDF/QRコードをスクショしておこう。改札(ない駅もある)を通過する際や、車内で車掌から提示を求められた時(こっちは必ずある)に必要となる。
飛行機用のネックピローはいいやつを買う
個人的にはこれまでネックピローにいい印象がなかったのだが、ちょっと奮発していいやつを買ったところ、快適すぎてやばかった。それがこちら。
従来のよくあるネックピローのは呼吸でふくらませるエアバッグ型と、ビーズ型の2つだと思うが、前者はコンパクトなかわりに安定性や快適性が低く、ビーズ型はその逆なのがありがち。この商品はその2つのいいとこ取りで、yogiboのような低反発クッションを使っているため快適な上に、折りたたみ式でグレープフルーツ大に収納できる。疲労による着陸後のダウンタイムを抑えるためにも、めっちゃおすすめ。
お土産用にスーツケースは半分開けておく
イタリアの定番のお土産といえば、ブランドのファッションアイテムのほか、オリーブオイルやワイン、お菓子などだと思うが、これがかなりかさばる。出発時にはスーツケースの半分弱が空っぽなくらいでちょうどいいかもしれない。なお、僕たちが持っていったのは、Lサイズ(約80㍑)1つと、Mサイズ(約60㍑)1つ+手荷物2つ+予備用折りたたみバッグ。スペースを節約したければ、旅行用の小分けの洗濯用洗剤をもっていき、下着や肌着類は現地で洗濯してもいい。ちなみに、手荷物規定は各航空会社によってかなり細かく異なるので要確認だが、持ち込み手荷物の規定(たいてい1個/XX㍑まで)は、相当ゆるく運用されているように思うので、もしものときは手荷物にお土産を詰め込んで乗るのも最終手段。
Tips(観光系)
列に並ぶ時は一度先頭を確認する
レストランでもサッカー場でも、イタリアでの整列というものはかなり客同士の自治に委ねられている印象。係の人はのんびりしている。人気スポットは長い列ができていることもあるが、自分たちが並ぶべき列なのかちゃんと確認するといい。
入場券はTripadvisor等で事前に買う(ファストパス付きツアー/火〜金のもの)
史跡や美術館など、人気スポットの入場券は、当日を待たずに売り切れてしまうことが多々ある。また事前に買っておけば当日並ばずに済んだり、場合によっては割引が効いたりする。個人的には旅程がロックされすぎるのは好きではないのだけど、マストで行きたい場所があれば入場券は確保しておくのが良さそう。なお入場は多くの場合、個人入場と団体入場に分かれており、それぞれに通常通り列に並ぶものと、並ばずに済む優先ファストパスのものがある。団体入場はTripadvisorなどでサードパーティが販売しており、現地ガイドが見所を教えてくれるツアーパッケージになっている。基本的には英語一択になるだろうが、ミケランジェロの作品やら、荘厳な大聖堂やらの背景や見所などを解説してもらえると一段と楽しめるので結構おすすめ。 チケット予約時の説明に"Skip the Line"などと書かれているものがファストパスで、そうでないツアーもあると思われるので注意。
コンバースのCT70はローマのRinascenteで買う
これについてはめちゃくちゃニッチな話となるが、コンバースのスニーカーで日本未発売(※)モデル『チャックテイラー'70(Chuck Taylor'70)』を購入したい人がいれば、ローマのRinascenteという百貨店がおすすめ。フィレンツェなどの街中の個人商店にも在庫はあることにはあるのだが、こちらの百巻店はサイズやカラーなどの品揃えが圧倒的。夫婦揃って買うことができた。
※どうでもよいが、なぜ日本(だけ)未発売かというと、世界的にはコンバースの親会社であるNIKEが商品化権・販売権をもっているのに対し、日本は伊藤忠商事がもっており、両者は独立して商品の開発販売を行なっているかららしい。さらに脱線するが、Netflixの『AIR』では1980年代の「エアジョーダン」前夜、バスケ業界でNIKEがコンバースやアディダス相手に大きく水を開けられている様子が描かれおり、現在NIKEがコンバースを買収しているのには隔世の感がある。
サッカー観戦は、その都市の滞在期間の真ん中らへんに予定しておく
今回、念願のセリエAの試合を観ることができたのだが、予約後、出発前の数週間前で試合日時が変更されるというハプニングがあった。これにより旅行の日程自体も組み直さなければいけなくなった。なんでも、UEFA CL等のヨーロッパの他の試合でのチームの勝ち進み状況に応じて、セリエの試合は2〜3週間前まで頻繁に変わるのだそう。よって、旅行中に観戦を予定している場合は、その都市の滞在期間の真ん中らへんで取っておき、多少の変更には対応できる心づもりをしておいたほうがよいかもしれない。
余談となるが、ローマのスタジオ・オリンピコでサッカー観戦するときTipsを置いておく。
スタジアムには試合開始の2時間くらい前についておくと安心だろう。僕らは1時間位前をめがけていったのだが、入場ゲートがかなりカオスで、なぞに3回関門を通過する必要があったのと、人気カードで混雑していたこともあって、着席できたのは選手入場の直前くらいだった。またその時間だとグッズショップでも、ユニフォームなどのめぼしいものは売り切れてしまっていた
スタジアムのからの帰り道は混雑するので、試合日はスタジアムのできれば徒歩で20-30分圏内のホテルに滞在しておくとよい
Tips(過ごし方系)
蚊がやばい!!!虫除けとムヒは日本から必ず持っていく
旅行中、夫婦の間で流行語大賞を獲得した言葉がある。「ザンザーレ(zanzare)」、すなわちイタリア語で「蚊」だ。イタリアにも蚊はいて、特に水辺の都市には5月ごろからウヨウヨ出てくるようだ。その中でもザンザーレ・ティグレ(zanzare tigre)と呼ばれるシマ蚊は特に凶暴な種類。蚊はより強い遺伝子を残すためになるべく多様な人種の血を吸いたい本能があるらしく、普段イタリア人のアペロール味の血ばかりを吸って飽き飽きした彼らにとって、我々のような無垢のモンゴロイドは垂涎の的らしい。で、さらに注意すべきはここからで、イタリアで虫除けやムヒは基本的に薬局がでしか売っていない。しかも薬局の開き具合は役所並みで平日日中限定だ。おまけに値段が日本円にして1,500~2,000円もする。日本のドラッグストアで気軽に買える感覚とは異なり、どちらかというと漢方のような、きちんと薬剤師がいる薬局で処方されるイメージに近い。ネットで読み漁った記事によれば、そもそもイタリアの日常には痒み止めという概念があまりないらしく、他の軽い炎症と同じように扱われている模様。ともかく、悪の帝王ザンザーレの餌食になりたくなければ、日本の優れた虫除けとムヒは必ず持っていくべし(スプレータイプのものを持ち込む際は、各航空会社の荷物規定を確認のこと)。
Ahamo最強。追加料金や設定は不要で、現地で即4Gが繋がる
出発の数日前に、そういえば現地でのWi-Fiどうしようかなー、まあ店とかのやつ拾えばなんとかなるかーと考えつつ、契約しているAhamoで何ができるかググったところ、なんと設定不要で海外で4Gがつながること、しかも追加料金不要(日本で使っている通常のプラン内でギガ数を消費していくのみ)という衝撃の事実を知った。実際、市内ではサクサク動いてくれてネットで困ることはほぼなかった。Ahamoに乗り換える前は、いちいち空港でイモトのWi-Fiとかを借りて、料金たけーな、まあしゃーねーかとか思いながら、そして旅行中に紛失リスクに怯えたり、肝心なところで電源が切れたり電波が届かなかったり、そして帰ってきて返却だりーなとか思いながら過ごしていたのが嘘のようだ。この時代、他のキャリアでも当たり前のことなの?Ahamoはもっとアピールしてもいいと思う。
春の寒暖差は予想以上。服装は重ね着を基本に
僕たちはGW前後でイタリアを訪れたが、わりと寒暖差が激しかった。晴れた日には昼はTシャツ一枚でも過ごせたかと思えば、雨の日はダウンジャケットを来ている人も結構見かけた。とくに日差しや風の有無で体感気温は激変する。体温調節しやすい重ね着がおすすめ。我らがユニクロのウルトラライトダウンももちろん活躍する。
スリ対策にユニクロのカバンを使う
昔イタリアに住んでいたことがあるおばあちゃんや父親にも、そして前回のイタリアでもスリ被害にあった妻にも、口酸っぱくスリには気をつけろと言われていた。それで買ったのがユニクロのこれ。
ここに財布やスマホ、ペットボトルなどすべてを収納し、肩から前にかける。ポケットが空になるのでスリに遭う心配もない。気持ち的に楽でかなり重宝した。ちなみに妻は旅の間ずっとスマホを首から下げるやつを着用しており、これもスリ対策ができ、両手も空いて楽になるので便利そうだった。なお、腕時計は盗難と紛失が怖かったので今回は持っていかなかった。
現金は最小限でOK、基本はクレジットカードが使える
親世代にきくとイタリアは現金しか使えないところが多いという印象だったが、大都市ではほとんどの店でクレジットカードを使うことができた。現金で支払うのは、駅などのトイレに入るとき(1€硬貨が必要)や、郊外の街の個人商店で支払うときだけだ(僕たちがお店で現金をつかったのはアルベロベッロでおばあちゃんが経営するお土産屋さんでオーナメントを買ったときの1度だけだった)。とはいえ緊急でひつようになるときもあるかもしれないから、おそらく1週間なら3万円分くらい換金していけば十分なのでないか。
各都市で巡ったところ(レストランや観光名所)
需要があれば書きます