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2024年を振り返るその③:白いハコクローズ・振り返りの会
2024年を振り返ってみて、まだ書いていなかった大事なイベントがある。
2023年5月にオープンした向ヶ丘遊園駅前・白いハコが本年12月15日をもってクローズした。今年は特に頻繁に利用させてもらったし、ここで知り合った仲間も多い。半分自薦・半分他薦的にクローズ前日の打ち上げパーティ前の時間をもらって利用者調査アンケートの結果を見ながら、白いハコが私たちの街に果たした役割を考える会をやってみた。
ただ、問題はその形式である。結局当日はラジオの公開収録のようなレイアウト・メニューで行った。
子供の頃からラジオリスナーだし、大人になってからもiPhoneでポッドキャスト、radikoと再びラジオ番組を聴く環境が整って、よく聴いている。
ラジオは、モノローグ(一人語り)とダイアローグ(会話・対話)でスタイルが異なるが、どちらかというとダイアローグの方が好きだ。プロの話し手同士だと、その掛け合いの絶妙さで笑ったり共感したりする。リスナーから寄せられたハガキやメールのメッセージを読んで一緒に考えたりもする。テレビやネット番組とも違う独特の「コミュニティ」形成機能がある。
決められた時間内に内容を詰め込む事自体、聴く側も集中できるし、その時間が濃密で活性化される。
白いハコクローズ前日に、運営者のマキさんが駅前本棚メンバー向けの1日を空けてくれた。その日は本棚メンバーがそれぞれの企画でタイムテーブルを埋め尽くしたのだが、自分と佐々木さんが任された時間は、打ち上げ前の最後の時間である。
当初は、アンケート結果を読み上げて、座談会的に意見を言い合う会にしようかと思っていたが、物足りない。「終わり」がベースの会なので、座談会では少し悲しさが増しそうで、不本意な形、残念な形で終わりそうだと思った。そうじゃなく終わるには何か仕掛けが必要だと思ったし、あーだこーだワイワイガヤガヤ言い合うにはラジオでダイアローグをやるのが形式としていちばんしっくりくる。
構成台本は、自分が作った。今まで自分が聴いてきたたくさんのラジオのマナーとトーンを思い出しながら集中して仕事おわりの平日夜に2時間ほどでガッと作った。初めてのことだが案外出来るものである。40代はこれだから面白い。色々なものを見聞きして頭の中にだいぶ素材が溜まっている。それを出してみたのだ。
構成原稿の雛形はネットに転がっているフリーの式典台本をお借りした。全体の背骨となる経過時間の欄、話すセリフの欄、音響効果の欄が縦軸・横軸で別々に表現されていれば、関わるメンバー全員が概要を把握できる。仕事でも式典の原稿を作ったりしていたので案外難しくなかった。
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選曲にはたまちゃんを指名させてもらった。彼女もまた一人語りのラジオをやっていたし、DJもやっていたので構成原稿を渡して概要を伝えると、フリー素材の中から適切な曲を選んでくれていたし、何より卓上マイクスタンドを百円ショップの素材から器用に組み立てくれたりする。本当にすごい方である。
話すパートナーの佐々木さんは、普段から「さとみの本棚」というインスタライブ配信で本棚メンバーに対するインタビューを行っている。当初は別枠で「さとみの本棚」をやる予定だったが私の企画と内容が似ているということで合流することになった。
原稿を読みながらの司会進行がお得意かは知らなかった。ただお仕事でもファシリテーターをやっておられるし、日頃の会話から自分と適切に会話が弾む方なので問題ないだろうと思って、セリフの部分を作っていった。
想定していなかったのは、当日一緒に喋ろうと思っていた竹村先生が諸事情あって現場に来られなかったことだ。
ただ、当日欠席が分かった時にもたまちゃんはなんとかなると言っていたが、その理由は後でわかる。
アンケートは遅くとも12月1日からは始めたかった。可能な限り広く意見を募集して様々な人のエピソードを見てみたかったから、当日までに二週間は確保したかった。
アンケートは大まかに回答者の属性を問うパート、5段階評価の部門別満足度パート、どんな施設なら利用するかをフリーに書くパート、そして白いハコへのメッセージパートの4つに分かれる。Google formを利用して本棚メンバー有志と白いハコ共催で実施した。
アンケート結果の利用許諾については十分に果たせなかったところがある。個人を特定出来るようなエピソードや属性情報は削除して発表した。
構成はメンバーに提出できたが、仕事でなかなか現地に向かえない自分に代わってたまちゃんはPA機材の確認、佐々木さんは南雲さんに撮影録音の依頼をしてくださり、この催しが記録に残ることになる。
溜まってくるアンケート結果を毎日スマホから確認して何度か読んでいくうちに特に最後の白いハコに対するメッセージとエピソードが頭に入っていく。これが当日の会を回していくのに役に立った。誰かのエピソードや当日話された話題と繋げたりすることが出来た。
当日は正午頃までアンケートの整理と原稿の印刷に追われる。それぞれ4部印刷して用意したと思う。当日現場でアンケート結果のグラフをスライドに転記してプロジェクターで投影することにした。ラジオのような、ゼミのような、座談会のような不思議な形式。音声だけでは伝わりにくい部分を視覚補助できる方が良いと判断したためだ。
出番の前にマキさんに話す内容を説明しながらマキさんに竹村先生の代役を依頼した。これも良かった。
そうこうしているうちに我々の前のパートの音楽イベントが終わる。
開始の16時まで40分の準備時間があるため、セッティングと流れの確認を行った。
ラジオなのだからメンバーが固まって車座になり座る必要がある。そして色々な資料やマイクをおく必要もある。駅前本棚の前に置いてある大きな机を中心に据えた。そこにPA卓もマイクも資料も載せた。
4人が座ってみた風景を見てスミさん達が机を飾り出してくれた。本棚のロゴやここで生まれたキャラクターの人形を置いて。自分は本棚メンバーの本で面白かったものをまとめて立てて置いてみた。立派なスタジオの出来上がりである。もう阿吽でいろんなメンバーが気づいたことをやっていくうちに何かがカタチになる。南雲さんのカメラとレコーダーもセッティング出来た。インスタライブも一応回してみようということになり様々なメディアで記録し、かつ当日現場にいない方にも内容をシェアできた。
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会の前も、やっている最中も「いい企画じゃないか、それなのになぜ最終回の今やるんだ(もっと早くからやっておけば良かった)」ということを冗談めかして言っていたが、スミさんは明解に「いや、逆にこれが白いハコで生まれたコミュニティの一つの到達点なんだ」という趣旨の言葉を返してくれた。そういうことなのかもしれない。
本番は以下のスタンドFMの配信をお聞きいただきたい。
マキさんが淀みなく今までの経緯や、思いを語ってくれた。こちらの投げかけに適切に反応、回答してくださった。
マキさんが登壇していなかったら「答え合わせ」と「これから」について語る人がいなかったので随分違ったものになっていただろう。
佐々木さんもやったことないのになぜか上手い。本物のナビゲーターのようだった。自分もなんか語ってる。たまちゃん曲出しのタイミングよし。
なんか上手く出来てしまった。台本に書いてない事も即興で打ち合わせなしで盛り込んでも出来てしまう。不思議だが日々の交流を考えれば不思議ではないかも。
自分が街に出始めて、白いハコが出来てここまでくるのにたった一年半。今年は密度の濃い一年だった。
皆さんにとって今年はどんな年だっただろうか。