映画「正義の行方」
監督:木寺一孝
GW初日は158分の映画を見るに限る!体力使うし。って覚悟してても骨太が過ぎる飯塚事件のドキュメンタリーでした。158分あっという間。集中させられちゃう。でもしっかり首と腰には痛みを伴います。
※飯塚事件についてご存知ない方はwikiで読んでくださいませ。
捜査した警察、再審請求する弁護士、報道し続ける新聞記者の3者の主張が聞けて多角的に事件をつかめる。とても分かりやすい。2人の女児が殺害された痛ましい事件。容疑者が逮捕されて死刑判決が出ているこの事件を特別にしたのは犯人とされる男が否認し続けたのに死刑執行が早すぎたこと。決定的な証拠が不足していることから執行後に再審を求めていること。
警察も弁護士も記者もそれぞれ事件を解決したい正義感を持っていた。しかし真相は闇の中なので3者とも自責を抱えている。インタビューを聞きながら徐々にその自責への対処の違い=立場の違いだと分かってきてしんどいんですね。警察は自分たちの捜査を否定しにくいのは明らかです。
事実はどうなんだろうと推理しながら観客は見るのですが、、根っこには事件を今ほじくり返しても既に死刑が執行されている辛さがある。それが緊迫感を生んでるのかも。もし今後真犯人が見つかってもそれは1つ大きな悲劇が足されることを意味する。この事件独特の構造を巧みに見せているドキュメンタリーです。
ただ1点。消化不良なのは司法側の声が聞けなかったこと。制作サイドも取材を試みた気がするけど。最初の判決についても判断材料をあらためて聞きたいし、証拠に穴が見えてきたりで再審請求してるのに退けるのはなぜなんだと。保身じゃないのでしょうね?そこに正義はあんのかい?と。
実際の裁判官が難しくとも司法側のどなたかの声は聞いてみたい。
あ、もう一人は法務大臣か。死刑執行はどうして早く決めたのです?と問いたいところ。
飯塚事件について大枠しか知らなかった私ですが。今作を見てかなり問題を把握できました。事前に知見がなくても158分で存分に考えられる丁寧な構成なのでぜひご覧いただき、まだ終わっていない事件であると認識してくれる人が増えたらなと思います。
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