田中洋平_
鑑賞して好みだった映画だけ感想を書いてます。限りなく備忘録です。すいません。
監督:東かほり 今年の邦画のベストかもしれません。東直子さんの原作短編を娘の東かほりさんが監督。終映後にその意味が数段深まりました。お二人にとって特別な映画でしょう。本来は死を扱う映画は好みじゃないんです私。でも今作はとても好きですね。理由はうまく説明つきません。死が創作のためのネタに見えないからかも、、なんて。 亡くなった人の前に"とりつくしま係(キョンキョン!)"が現れ、 「この世に未練があるなら何かモノになって戻れる」と告げられて、それぞれあるモノになって自分のいな
監督:奥山大史 雪深い地方の街。言葉がうまく出てこない少年。選手を引退して恋人の地元でスケートを教えるコーチ。コーチのことが少し気になるフィギュアスケート少女。3人が過ごしたある冬の物語。 「美しい映画」「瑞々しい青春」「心地よいスケート」「あったかい気持ちになる物語」「最高の余韻」などなどの感想が舞ってますね。コンディションか年齢かはたまた性別か、、人によって捉え方が異なる映画なんだなきっと。私にはとっても痛みを感じる映画でした。どうしようもできなかった痛み、手が届か
監督:レア・フェネール ルイーズとソフィアは念願の助産師として働き始めるが、初日から壮絶な現場に圧倒される。新しい命に出会う喜びが助産師たちの結束を強めていく一方、オーバーワークとストレスに押しつぶされそうになる日々をドキュメントさながらのリアリティで描いた"どうやって撮影したんじゃ?"的映画。 100分間あの病院に連れてこられて彼女たちの隣に居たような、、息つくヒマのない映画でした。助産師たちの実態を観客に体験させるためのスピーディな脚本だと思います。実際に出産する方々
大盛り上がりでしたね。毎度のことですが始まると自然と見ちゃうし盛り上がっちゃうものです五輪も。 レスリングのメダルラッシュ特に凄かった。北口さんも勝負強かった! 正直に言ってしまうと4年に一度しか見てないマイナー競技の選手たちの姿の方が感動しますね。サッカーやテニスやゴルフでイマイチ心が動かないのは選手たちがオリンピックだけを目指してないからでしょう。 残念な問題も起きました、しかも多々。「そんなことあったね」で終わらせず次までに解決が必要です。セーヌ川で強行したトライアス
監督:リラ・アビレス 夏の終わり、メキシコ。7歳の少女ソルは父トナの誕生日パーティのために祖父の家を訪ねる。祖父の家で病気療養中のトナは夜のパーティに備えて体調を整え、ソルはトナの部屋に入れない。トナの姉たちはパーティの準備をしつつトナの病状と今後の相談もしている。やがて家族と友人たちが揃いパーティが始まる。 ※今回はネタバレしないと感想書けないので以下ご注意ください! トナのおそらく最期の誕生日パーティってことか、、と早めに勘ずくんです。悲しさが充満した物語だなあ、、
監督:マリー・アマシュケリ 父親とパリで暮らす6歳のクレオはいつもそばにいてくれるナニーのグロリアが大好き。母娘のような2人だったが、ある日グロリアは家庭の事情から故郷カーボベルデに帰ってしまう。その年の夏休み、クレオは海を渡りグロリアに会いに行くのだ。 予告を見た時からこいつはハンカチマル必案件だぞと思ってましたが、やはりタオル地のハンカチ最高です。ただし泣かせに行く演出はありません! むしろ"そっちだったか〜"と想定の斜め上を見させられた感覚でした。私だけかな。想定は
監督:吉田恵輔 6歳の娘が行方不明になり、手がかりもなく懸命に探し続ける夫婦。夫婦間の温度差やマスコミの報道・SNSでの誹謗中傷によりいつしか母親は「心」をなくしていく。夫婦と周囲の人々の物語。物語なのかな?これは。属性を判断するのが難しい。見ててつらすぎるオススメしにくい映画です。 吉田監督の仕事だな〜ってまずは唸るしかない。ネタバレしたくないので展開や行方不明事件そのものについては書きません。あしからず。今作での吉田監督の人間について描いているやり口について書きておきま
監督:木寺一孝 GW初日は158分の映画を見るに限る!体力使うし。って覚悟してても骨太が過ぎる飯塚事件のドキュメンタリーでした。158分あっという間。集中させられちゃう。でもしっかり首と腰には痛みを伴います。 ※飯塚事件についてご存知ない方はwikiで読んでくださいませ。 捜査した警察、再審請求する弁護士、報道し続ける新聞記者の3者の主張が聞けて多角的に事件をつかめる。とても分かりやすい。2人の女児が殺害された痛ましい事件。容疑者が逮捕されて死刑判決が出ているこの事件を
監督:木村聡志 美容室で働くむっちゃん(莉子)は先輩のグリコ(筧美和子)と仲良くなる。グリコに復縁を迫るモー、グリコの知り合いでイケメンのベンジー、、4人の恋の矢印がグルッと絡み合う物語。 恋愛群像笑劇を好む演出家たちが嫉妬しそうな脚本!絶妙にいそうでいない人々による会話がいちいち面白いやつ。セリフの言い方とか間も良いのじゃろうけど、会話のセレクトというかネタが秀逸。長回しで会話を楽しむって観点からだと舞台化したら面白そう。この恋愛たちには答えを出さないでずっとグルグルとや
監督:ビクトル・エリセ ビクトル・エリセの31年ぶり長編映画。みなさん楽しみにしておられたのではないでしょうか、私もです。期待に違わぬ169分でした。生きて映画を見続けた者たちへのご褒美なのじゃろか。 あらすじこちら→「別れのまなざし」という映画の撮影中に主演俳優のフリオ・アレナスが失踪してしまう。状況から自殺と見られたが遺体はなく、、22年が経つ。映画の監督でフリオの親友だったミゲルはこの未解決事件の謎を追うTV番組に出演することに。出演に際して当時の関係者に再会し自身
監督:ギャスパー・ノエ 心臓に持病を抱える夫と認知症が重くなってきた妻。老老介護の末に人生最後が近づく2人のドキュメントのような物語。 12/8公開の今作ようやく観てきました。これは凄い!観た方がいいって言いたくなるヤツです。タイミング遅いですが。 凄いと言いつつも。最初に書きますが、この映画は誰かの批評や感想を気にするもんではありません。観た人の環境・状況で感じることが異なりすぎるはずなので。私の感想はあくまで私の背景での感想。人間ドックD判定の45歳独身おっさん、仕事
大晦日の午前中に大掃除するのがルーティーンになってきまして。気がつけばなんとなく。掃除機かけて拭き掃除して映画のDVDとパンフレットの棚を拭いていると、、脱線。年末だし寅さんに会いたくなって"男はつらいよ"の第何作を見ようかな〜って展開に。で昼飯に蕎麦食べにいって午後ゆったりと「男はつらいよ第10作 寅次郎夢枕」を見ちゃう。最高ですね。 今年もいい映画見れたなって気になるからお安いご用。 2023年は5月にフリーランスを解消して会社に加入したこともあり、鑑賞本数は自ずと減っ
監督:アナ・リリ・アミリプール 12年間精神病院に隔離されていたモナ・リザ。 ある満月の夜、突如として特殊な能力が身につき病院から脱走する。12年ぶりの外の世界で彼女はどうなっちゃうのかって物語。 チラシのビジュアルから想像つかなかったけど意外と痛快な映画でした。 ズラした設定(特殊能力)は1つだけにして脱走した先の世界や登場キャラはめっちゃリアルなのがいい。リアルタラしめてるのはニューオリンズってロケーションかも。ストリッパーとか用心棒とかヒト癖あるキャラがほんとにいそ
監督:塚本晋也 終戦直後、半焼けになった小さな居酒屋で一人暮らす女。体を売りながら絶望の淵で生きていた。ある日から家族をなくした子供と復員兵が店に入り浸るようになる。 日曜日の夜に萎えたなあ、、なるべく短く書こう。95分の尺でどっと疲れる映画でした。終戦後を描く塚本監督の角度が秀逸な上に役者の強い演技が圧となって見る者にのしかかる映画だから。 趣里さん素晴らしいですよほんとに。 戦争の悲劇を描いた今作は戦場ではなくそこらの街の片隅に生きながらえていた人々の姿に焦点を合わ
監督:川北ゆめき ボクは器械体操部のまなみちゃんという平凡な女の子を好きになり、高校〜大学〜現在でいくつかの恋愛を経てもずっと好きだった。そしてまなみちゃんは自分ではない誰かと結婚する日が来る。淡い10年の物語。 冒頭に言ってしまうと、、、この映画の主人公が全然好きじゃないです。軽くて、ノリでうまくいっちゃうこともあるやつ。監督ご自身の回顧物語なので書くの心苦しいですが、映画の中のYUZUくんはどうにも好きじゃない。それでも今作はなかなかに響きました。ずっと好きだったまな
監督:チョン・ジュリ 実習生として大手通信会社のコールセンターで働き始めた高校生が3ヶ月後に自死した。2017年韓国の全州市で起きた事件。ダンス好きの明るい少女ソヒがなぜ自死に至ったのかを2部構成で追及した映画。 報道と創作について学べる映画でした。実際の自殺が起きた時は世間に注目されていなかったそうで、ある人権活動家が記事にしたことをきっかけに事件が明るみに出てコールセンター側が労働環境の改善を発表する。その後も実習生が死亡する事件が相次ぎ、2023年3月に現場実習生の