映画「とりつくしま」
監督:東かほり
今年の邦画のベストかもしれません。東直子さんの原作短編を娘の東かほりさんが監督。終映後にその意味が数段深まりました。お二人にとって特別な映画でしょう。本来は死を扱う映画は好みじゃないんです私。でも今作はとても好きですね。理由はうまく説明つきません。死が創作のためのネタに見えないからかも、、なんて。
亡くなった人の前に"とりつくしま係(キョンキョン!)"が現れ、
「この世に未練があるなら何かモノになって戻れる」と告げられて、それぞれあるモノになって自分のいない世界を見つめる。人生の本当の最後に大切な人のそばで過ごそうとするアディショナルタイム的な物語。
新たな角度から世界を見た気がします。こうして文章にするとファンタジー物語or世にも奇妙な物語かな?って思われちゃいそうで不本意ですが、めっちゃリアリティある仕上がりなのです。これもうまく説明できませんw 死後の世界は誰も正解が分からない上にほんとにこんな設定だったらいいなって希望を持つからかも、、なんて。
映画では4篇あるのですが亡くなった人も彼らが選ぶモノもバランスがとても良いなと。彼女であったり子供であったり祖母であったり。もちろん悲しくはあるんですけど。映画館を出てごちゃっとした新宿の街ですれ違う人々を眺めると「あの人もこの人も誰か大切な人を亡くした日を経ていま生きているんだよなあ」と思えちゃう。そしてなぜだか斉藤和義さんの"楽園"の歌詞が浮かんで口ずさんでしまいました。
♪迷わずにその瞳見つめれば、いつの日か燃えつきて死ねる。この道のどこかにあの日ぼくら居た楽園、今は雨の向こう。この旅をあなたと青い恋をした 楽園、雨が止めばここにあるよ〜♪
と脱線しました、すいません。雨が止んだ新宿でも楽園に感じたもので。
あくまで個人の感想です。
東京にお住まいの方には残念なお知らせなのですが、私は武蔵野館での最終上映日に観てしまいまして。オススメしておきながら都内では下北K2で1日1回上映してるだけの模様です。もしスケジュール許せばK2まで!一見の価値ある映画だと思います。大きく出ましたw
どの物語が刺さったか誰かと話し合いたい。noteのトップに貼った画像は鑑賞後に見るとマジ素敵だよねえって言われたい。私はお笑いコンビのシーンで涙が流れてしまいましたが皆さんどうじゃろう?って聞きたい。
自分だったら何にとりつくかな、、甲子園球場の一塁側スタンドですかね。