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映画「朝が来る」
監督:河瀬直美
辻村深月原作のヒューマンミステリー!って書いてあるけどミステリーじゃないすね。子供が出来ない夫婦(永作さんアラタさん)と、、片や14歳で出産して子供を育てられない女子中学生(蒔田彩珠)の運命の物語、いや現実的な物語です。ポスターとかコピーとかちょっとズレてる気がしてもったいない。
河瀬直美さん監督作は少々苦手なのですが今作は好きです。偉そうに言ってしまいました。 さておき、特別養子縁組を通じて2組の人生が交錯し家族や子育てについて重たく考えさせる映画なので、どうしても養子縁組の制度や子育てケアだったりの社会派として話を捉えると思うんですけど、そうじゃないきっと。他人同士の交わりから生まれる希望みたいなことを語っている映画と捉えました。制度やその社会も当然大切なんじゃけど、それでもまずは個人々々ですよと。行動を起こしたり受け入れたり。どうにか進むことができるはず。何かを糾弾する場面はないし、それぞれに悩み苦しんでるけど結論を押し付けようとしていない脚本です。
効果的なのは養子縁組を斡旋するNPO(ベビーバトン)関係で出演してる本物の人たち。夫婦がベビーバトンの説明会で養子縁組経験者の話を聞くシーンがあるけど、この経験者の方々絶対本物。その切実さや涙が圧倒的なリアリティだった。この辺が河瀬さんの良いこだわりでしょうね。ドキュメントに勝るものがない部分やし。物語をよりナマ物として観ます。
悲劇的な現実のしんどい展開に目が離せずサビが来るのですが、そう、最後の予定調和的に感じるシーンはある種ファンタジーとして観ましょう。タイトルは「朝が来る」。朝よ来てくれ!に近いニュアンスですね観てる気持ちは、いつの間にか。
もしかこれから鑑賞する方に1つだけ。エンドロールで席を立たないでください。朝は歌の最後に来るのです。