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16年前の夏、ラジオで言われた「あなたの命はあなただけのものじゃない」に今も救われている

僕は小学3年生のころからラジオが好きだ。


スタジオにいるパーソナリティーさんの声がマイクをとおして、たくさんの人に届くのが不思議で毎日興奮していた。


その後は関西のFMラジオ局やFM OSAKAからニッポン放送の深夜枠の番組に30歳ごろまで没頭。


いまはその過程で知り合った、ラジオDJのレモンさん(山本シュウさん)のコミュニティ「レモンさんのビタミンラジオ局」に参加している。

今回はレモンさん(山本シュウさん)に出会ったきっかけと初めて紹介してもらったメールのエピソードを振り返ってみたい。


僕とレモンさんとの出会い

僕がレモンさんと出会ったのは、2008年1月14日(祝・月)のFM OSAKA「LOVE FLAP〜成人の日 LIVE  SDD SPECIAL」だった。

SDDとは「STOP DRUNK DRIVING」の略でFM OSAKAでいまも続いている飲酒運転撲滅プロジェクト。


レモンさんは当時、そのプロジェクトの集大成の「LIVE SDD」(TRF、STARDUST REVUEなどが出演する大阪城ホールでのライブ)のMCを担当されていたための番組ゲストだった。

関西で有名なラジオDJの谷口キヨコさんとの掛け合いトークがおもしろく、声もいい声されてるし、「一体どんな方なんだろう?」と調べ始めると、これも当時担当されていた「SHOO POWER CAMP」というお悩み相談ラジオのPodcastが見つかった。

いまはPostCastが消えてしまったので、
2008年当時の番組のイベント情報です。

バックミュージックなしの静かな雰囲気でリスナーの相談にのりながら、何度も言われる「できる範囲でできることをあきらめないで」という言葉がグッと心に刺さって、それ以来、兄弟番組のリクエスト番組「SHOO POWER REQUEST」という番組も聞くようになって、トークライブにもたくさん足を運んだ。


FM OSAKAの番組を卒業されてからも、トークライブに足を運んだほか、いまもMCを担当されているNHK Eテレ「バリバラ」の出演・観覧で何度もお会いしてお話し、2020年からは「レモンさんのビタミンラジオ局」の常連ビタ民(リスナー)になった。

レモンさんに初めて紹介してもらったお悩み相談メール〜生まれたことと生きていることの尊さ〜

レモンさんに初めてお悩み相談メールを紹介していただいたのは、2008年7月18日(金)深夜3時からの「SHOO POWER CAMP」だった。


なんと!紹介していただいたときの過去のブログが残っていて、びっくりした。

いま再現してみると、こんな感じだったと思う。

レモンさん、こんばんは。

谷口キヨコさんの「LOVE FLAP」でレモンさんを初めて知って「SHOO POWER CAMP」を聞くようになりました。

僕は発達障害で毎日が楽しくありません。

家と大学の往復の毎日で、友達はいないし講義はわからないし、家に帰ったら「あんた!大学でダラダラしてんとバイトしなさい」と言われます。

他の子みたいに充実した毎日をおくりたいのですが、怒られたらすぐ傷つくし、そんなに上手にしゃべれないです。

そして生きていたって、いつか必ず大きな地震が来るかもしれず怖い思いをしなきゃいけないし、自分の人生でやりたいことは全部やり尽したので、いっそのこと世の中から消えて楽になりたいと思うことがあります。

ずるい考えだというのはわかっているのですが苦しいです。

なので番組にメールを送りました。

2008年7月18日(金)放送
FM OSAKA「SHOO POWER CAMP」

レモンさんは「ようへいくん。メールありがとう! 最近は発達障害について言われてきてるよね。せっかく就職したり進学できたりしても苦手なことが出てきた途端、パニックになって親や上司の人から怒られて、すぐにやめてしまうっていうのは残念やし、もっと周りが工夫できることがないんかなって思う」


「地震もそこらじゅうで起こってるよね。たしかに明日なにが僕らの前に起こるかわからへんし死んでしまう可能性もある。けどな。ようへいくん。これだけは忘れんといて。あなたの命はあなただけのものじゃない!


「鹿児島でのトークライブのときに知覧の戦争博物館(知覧特攻平和会館)に寄ってきてんけど、60年前日本は戦争やってて、当時10代・20代の僕らの先輩たちが日本を守るために命をかけて知覧から戦闘機で飛び立って沖縄のアメリカ軍の軍艦に突っ込んでいってん」

「そのとき先輩たちが知覧に残して行った遺書の中にはな『今までありがとうございました。僕は大日本帝国のために散ります。僕のことは忘れて幸せに過ごしてください。お体大切に』って書いてあった。自分が死ぬ運命にあるのに家族や恋人のことを心配してて一つひとつ読むたびにホンマに涙が止まらんかった」


「もちろん特攻にはいろんな意見があるし、戦争は二度と起こしたらあかんと思うけど、特攻に行った人だけじゃなくて、僕らのひいじいちゃんやひいばあちゃんたちは戦時中必死に僕らに命をつないでくれたんや。それだけは絶対に忘れたらあかん!」


「しんどいことも多いと思うし、嫌なこともあると思う。けど少しでもハッピーに生きられるように、できることをできる範囲であきらめないで考えてほしいな。またなんかあったらいつでもメールちょうだい!」


当時は「だれか僕のことをわかってよ〜」という気持ちが強く、とにかくメールを読んでもらいたい気持ちが先行していたが、レモンさんのメッセージに「ハッ」ってさせられた。


まず、僕の母方・父方の祖父ともに遠くの部隊には行かされなかったものの徴兵はされてるし、もしどちらかになにかあれば母と父は生まれてこなかった。


そして母と父が手話という共通の趣味を持ってサークルで出会わなければ僕は生まれてこなかった。


自分がしんどいと、どうしても自分のことしか見えなくなるけど、生まれたくても、生きたくても、そうならなかった命はばく大な数あるし「自分が生まれて生きていること」がどれだけ尊いことか気づかされた。


レモンさん曰く、当時は本当に忙し過ぎて、リスナーさんの相談にのり終わって音楽がながれ出すとスタジオの床でバタっと横になって寝て、音楽が終わりかけると後輩のDJさんに起こしてもらっていたそうだ。


他にもっと深刻なお悩みを持ったリスナーさんも多かった中で、本当にありがたいことだったと、いまでも思っている。

あれから16年・・・

基本的にいまもしゃべるのが下手で、人間関係も苦手で、怒られるのも嫌だが、レモンさんと出会ってから「だれかと比べて下手・苦手」という意識がなくなって、自分の仕草や声やしゃべり方が一瞬嫌になっても、「これが自分なんだ!」と受け入れられるようになった。


そして「人からの叱責や注意が正しくて、自分はまちがえているとは限らない。すぐ感情的にならず、いまやることに一点集中する練習しよう」と思えるようになったことが大きい。


実はレモンさん自身も35歳まではやさしいけれど、事あるごとに怒ったり、やんちゃしたりしてしまうことに苦労されていた。


だから、専門知識だけの心理学者やカウンセラーさんに専門知識や解決方法を教えてもらうよりも、経験に裏打ちされたお話に納得させられることが多い。


なおかつ答えを押しつけず、自分の課題を自分で考えられるようにヒントを与えてくださるので、いつも助けられている。


僕もレモンさんのようにパワフルにとはいかないけど、目の前に困ってる人がいたら、その人に助けることを押しつけるのではなく、その人が思う幸せをちゃんと聴いて手助けできるようになっていきたい。

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