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もしも大阪大入学者が京大を受験したら、何人が合格できるのか?

ある人からこちらのXの投稿を紹介してもらいました。

「もしも○○大学の入学者が、△△大学を受験したら何人が合格するか?」というシミュレーションは、「もしも早慶の入学者が東大を受験したら」や「もしも東工大の入学者が京大を受験したら」など、これまで色々なパターンで行ってきました。

ただ、地帝入学者の東大受験シミュレーションは行ってますが、大阪大だけを特出しして、しかも京大の受験シミュレーションはやってませんでした。もしかしたら、関西地区の学力上位層にとって、京大と大阪大の比較はごく普通のことなのかもしれません(首都圏の東大と東工大、東大と早慶みたいな感覚?)。

そこで、いつものパターンで計算してみましたので、ご紹介します。

0. まとめ

  • もしも大阪大の入学者が、近い専攻の京都大の学部・学科を受験する場合、合格するのは2〜3割程度。

1. 大阪大と京都大の学部学科の比較

シミュレーションの前に、それぞれの大学の学部・学科の構成を見てみます。駿台全国模試の合格目標ライン偏差値(合格80%相当)は、2025年2月に調査した数字です。網掛けは対応する学部・学科がなさそうなところです。

表1

シミュレーションにあたり、いつものように科目数の補正を行っています。1科目増減で総合偏差値-1/+1(理系国語の増減は-2/+2)です。今回から受験者側(この場合は大阪大)に補正をかけています。

大阪大の入学者の京大受験シミュレーションを行うにあたり、近い専攻の学部・学科を受験するという前提を置くため、学部・学科の対応を整理する必要があります。細かい専門の差異はあるかもしれませんが、両大学のホームページも見ながら、こちらのような対応でシミュレーションを行うことにします。

表2

なお、以下のシミュレーションでは合格者数=入学者数として扱います。大阪大は難関国立大なので、合格後の入学辞退は推定に大きな影響を与えないと判断しています。また、一般入試の数字のみを分析対象としています。

2. 共通テストリサーチモデル

まずは共通テストリサーチのデータを用いたシミュレーションです。共通テストリサーチは集計済みの2020−2024年度のデータを用います。なお、得点率の計算は大学ごとの科目配点で行いますので、誤差を内包しています。また、京大・総合人間学部は配点が特殊なので、このモデルでは分析対称から除外します。

この考え方で、京大の学部学科ごとに定員=リサーチでの志望者累計となる得点率を集計すると、次のようになっています。これを合格最低点得点率と定義し、この得点率を超える受験生は京大に合格する学力があるとみなします。

表3

表2の対応表を元に、大阪大の学部学科のリサーチデータから、この合格最低点得点率を超える人数を集計して合格率を計算すると、このようになりました。

表4

右下にあるように、全体の合格率は48.8%です。共通テスト(1次試験)だけでみれば、大阪大の入学者のうち約半分が京大に合格できる学力があると言えます。

ただ、京大は2次試験比率が高いので、2次試験の学力も評価する必要があります。続いて、別のモデルで2次試験に相当するシミュレーションを行います。

3. 模試判定モデル

模試判定モデルは、各大学の倍率と駿台全国模試の合格目標ラインを元に、受験者のA〜E判定の分布を想定して、合格者の偏差値分布を推定した上で、そこから別の大学の受験シミュレーションを行うものです。詳細は過去記事をご参照ください。

このモデルで大阪大入学者の京大受験シミュレーションを行った結果は、以下の通りです。

表5
表6
表7

合格率は12.4%〜31.9%に分布しています。京大合格推定者合計÷大阪大入学者合計を計算すると、20.2%でした。大阪大学入学者で京大2次試験に合格できる学力があるのは約2割と言えます。

4. 合格率の評価

大阪大入学者の京大受験を2つのモデルでシミュレーションしましたが、共通テストモデルでは合格率4割、模試判定モデルでは合格率2割と大きな差異が出てしまいました。これをどう見るかは、2つの見方があります。

  • 駿台全国模試の合格目標ライン(合格率80%)は共通テストも含む学力レベルを示していると解釈し、模試判定モデルの結果のみを採用

  • 大学によっては共通テストの比率が高いので、1次:2次の配点の比率に合わせて、2つのモデルのシミュレーション結果を加重平均する

前者の場合、合格率は20.2%です。後者は計算すると、合格率28.9%となります。

表8

この2つを併記するなら、「もしも大阪大入学者が、京都大の専攻の近い学部学科を受験するなら、合格するのは2〜3割程度」という結論となります。

5. 最後に

以前に旧・東工大(東京科学大の理工系学部)の京大受験シミュレーションを行った時には、模試判定モデルで合格率29.1%でした。同じモデルだと大阪大は20.2%ですが、これは文系や医学部も含むので、旧東工大に合わせて理学部と工学部だけを抜き出すと、模試判定モデルで合格率は16.9%まで落ちます。

表9

同じような学部を対称に同一モデルでシミュレーションすると、京大の合格率は旧東工大(29.1%)は大阪大(16.9%)の倍くらいという感じです。これは、旧・東工大の学力レベル(入試難易度)は大阪大より高いという一般的な認識と合うので、まあ悪くないシミュレーション結果かなと思います。


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