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判定偏差値と合格者平均偏差値の関係 ②高校受験(駿台中学生テスト)

模試の判定偏差値と合格者平均偏差値の関係を、受験タイミング(大学・高校・中学)ごとの代表的な模試で整理しています。前回の大学受験での駿台全国模試の分析につづいて、今回は高校受験での駿台中学生テストについて整理します。

なお、駿台中学生テストについては過去にある程度分析しているので、今回はどちらかというと、まとめ記事です。また、駿台中学生テストの判定偏差値の数字は、過去(2022年第5回)に調べたものを使っているので、少し古いです。ただ、大きな変動はないようなので、傾向は同じと考えられます。

0. まとめ

駿台中学生テストにおいて、確実圏偏差値が50台後半以上の進学校では、「合格者平均偏差値=確実圏偏差値ー6=可能圏偏差値−4」で概算できる。

1. 駿台中学生テストの統計的な特徴

過去の分析を元に整理すると、このような特徴が確認されています。

  • 確実圏偏差値(合格80%)と可能圏偏差値(合格60%)の差は平均で6.1。確実圏偏差値と可能圏偏差値の差は、偏差値が高いほど圧縮され、偏差値60を超えると差は4程度となる。

  • 過去にSNSに掲載されていた合否分布カーブ(サンプル数53件・平均可能圏偏差値59.0)を集計すると、合格者分布のピーク偏差値=確実圏偏差値−6=可能圏偏差値−2となった。

  • 合格者と不合格者が正規分布する場合、難関私立高校の平均的な倍率(3倍)でシミュレーションすると、確実圏偏差値60の高校の合格者平均偏差値は54、ボーダー偏差値は53となる。
    ⇒トップ校の理論値としても、合格者平均偏差値=確実圏偏差値−6と言える。

  • ただし、偏差値が下がると確実圏と可能圏の差が開くことから、確実圏偏差値55で合格者平均偏差値=確実圏偏差値−8、確実圏偏差値50で合格者平均偏差値=確実圏偏差値−9と差は拡大する。

確実圏偏差値が60前後となる高校は、県立千葉(59.9)、横浜翠嵐(59.4)、東海(59.0)、天王寺(60.8)、熊本(60.3)などの各都道府県のトップクラスの進学校と、立教新座(59.0)、青山学院(59.7)、明大明治(60.4)といったMARCH附属校上位となります。

2. 駿台中学生テストの母集団学力

今回新たに、駿台中学生テストの母集団の学力を分析してみます。駿台中学生テストの母集団は言い換えると、駿台中学生テスト偏差値50が合格者平均偏差値となる学校に相当すると考えられます。

倍率3倍の場合、確実圏偏差値55で合格者平均47(確実圏-8)、確実圏偏差値60で合格者平均54が理論値です。ここから、確実圏偏差値57〜58くらい高校で構成される集合が、駿台中学生テストの母集団と言えます。

確実圏偏差値57〜58の高校を抽出すると、このような高校になります(男女別募集の場合は、男女平均を採用)。首都圏・大阪以外のエリアの公立トップ校、私立トップ校が名前を連ねています。東京では戸山(都立トップ3の次のランク)、桐朋(私立3番手くらい)になるようです。

表1

一方で、過去に大学受験の駿台全国模試(高1)の母集団を分析したところ、母集団平均偏差値は駿台中学生テストで確実圏偏差値52.7と推定されました。これが高3になると有名進学校の受験生の模試受験が増え、浪人も加わるので、これよりも母集団レベルはあがります。

過去の分析では、難関国立10大学の現役合格者平均偏差値は、高1・2から高3でマイナス3でした。この場合、駿台全国模試(高3)の母集団は、駿台中学生テストの確実圏偏差値56程度の高校の集合と言えます。

一覧にすると、こうなります。

  • 駿台中学生テスト(中3)の母集団=確実圏偏差値57〜58(57.5)の高校の集合

  • 駿台全国模試(高1・2)の母集団=確実圏偏差値53前後の高校の集合

  • 駿台全国模試(高3)の母集団=確実圏偏差値56前後の高校の集合

これを見ると、模試の母集団レベルは、駿台中学生テスト(中3) > 駿台全国模試(高3)> 駿台全国模試(高1・2)の順に高いことがわかります。母集団レベルと偏差値は反比例するので、模試の偏差値は、 駿台全国模試(高1・2) > 駿台全国模試(高3) > 駿台中学生テスト(中3)となります。

この中央と右に対して、母集団偏差値の差57.5-56=1.5を使って変形すると、「駿台全国模試(高3)ー1.5=駿台中学生テスト(中3)」となります。この式は、過去に算定した変換式「駿台全国模試(高3)−3=駿台中学生テスト」とも概ね整合していますが、多少の誤差はあるようです。

3. 最後に

今回は過去の分析の整理が中心でしたが、これで駿台全国模試(大学受験)と駿台中学生テスト(高校受験)での、判定偏差値と合格者平均偏差値の関係の整理までできました。

次は最後の難関の合格力判定サピックスオープン(中学受験)での、判定偏差値と合格者平均偏差値の関係の分析に挑戦します。

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