2022年 宮城大学 前期 大問4
$${36}$$枚の札の入った箱を用意する.
札のそれぞれには, ハート, ダイヤ, スペード, クラブの$${4}$$種のマークと, $${2,3,\dots,10}$$の$${9}$$種の数とのペアが, 1つずつ重複なく書かれている.
次の手順(★)にしたがって座標平面上を移動していく点$${P}$$を考える.
(★) 箱から$${1}$$枚を無作為に取り出し, その札のマークの, ハート, ダイヤ, スペード, クラブに応じて, それぞれ$${x}$$軸の正の方向, $${x}$$軸の負の方向, $${y}$$軸の正の方向, $${y}$$軸の負の方向へ, 札に描かれた数だけ移動する. 一度取り出した札は元に戻さない.
例えば, 点$${P}$$が$${(x,y)}$$にあるとき, 箱からハートの$${5}$$の札を取り出したとき, 点$${P}$$は$${(x+5,y)}$$へ移動する.
点$${P}$$が$${(0,0)}$$にあり, 箱の中に$${36}$$枚の札が入った状態を初期状態という.
次の各問いはすべて初期状態から考え, 移動していくものとする.
次の各問いに答えよ.
(1) 手順(★)を$${2}$$回繰り返した結果, 点$${P}$$が$${x}$$軸上にある確率を求めよ.
(2) 手順(★)を$${2}$$回繰り返した結果, 点$${P}$$の$${x}$$座標と$${y}$$座標が共に正である確率を求めよ.
(3) 手順(★)を$${2}$$回繰り返した結果, 点$${P}$$が$${x}$$軸上の正の部分にある確率を求めよ.
(4) 手順(★)を$${3}$$回繰り返した結果, 点$${P}$$の$${x}$$座標と$${y}$$座標が共に正である確率を求めよ.
(5) 手順(★)を$${36}$$回繰り返したときの点$${P}$$の座標を求めよ.
解答
(1)
$${2}$$回の試行後に点$${P}$$が$${x}$$上にあるのは,
・$${2}$$回とも$${x}$$軸上しか動かない(ハートまたはダイヤを引く)
・$${2}$$回の引いたカードがスペードとクラブで同じ数字の組み合わせ
のどちらかである.
前者は, $${{}_{18}C_2=9\times{17}}$$通り, 後者は$${9}$$通りであり,
全組み合わせは$${{}_{36}C_2=18\times{35}}$$通りであるから,
求める確率は
$${\frac{9\times{17}+9}{18\times{35}}=\frac{9\times{18}}{18\times{35}}=\dfrac{9}{35}}$$である.
(2)
$${2}$$回の試行後に点$${P}$$の$${x,y}$$座標が共に正であるのは,
$${2}$$回の引いたカードがハート1枚とスペード1枚の場合である.
この組み合わせは$${9\times{9}}$$通りであるから,
求める確率は
$${\frac{9\times{9}}{18\times{35}}=\dfrac{9}{70}}$$である.
(3)
$${2}$$解の試行後に点$${P}$$が$${x}$$軸上の正の部分にあるのは,
・$${2}$$回とも$${x}$$軸を正の方向に動く(ハートを引く)
・$${2}$$解の引いたカードがハートとダイヤで, ハートの方が数字が大きい
のどちらかである.
前者は, $${{}_9C_2=36}$$通り, 後者は$${1+2+\dots+8=36}$$通りであるから,
求める確率は
$${\frac{36\times{2}}{18\times{35}}=\dfrac{4}{35}}$$である.
(4)
$${2}$$回以下の試行で, $${x}$$成分が正となるのは
・ハート$${1}$$回
・ハート$${2}$$回
・ハート$${1}$$回, ダイヤ$${1}$$回で, ハートの方が数字が大きい
のいずれかである.
同様に$${2}$$回以下の試行で, $${y}$$成分が正となるのは
・スペード$${1}$$回
・スペード$${2}$$回
・スペード$${1}$$, クラブ$${1}$$回で, スペードの方が数字が大きい
のいずれかである.
よって, $${3}$$回の試行で$${x,y}$$成分が共に正となる組み合わせは
①ハート$${1}$$回, スペード$${2}$$回
②ハート$${1}$$回, スペード$${1}$$回, クラブ$${1}$$回で, スペードの方がクラブより数字が大きい
③ハート$${2}$$回, スペード$${1}$$回
④ハート$${1}$$回, ダイヤ$${1}$$回, スペード$${1}$$回で, ハートの方がダイヤより数字が大きい
の4パターンに限られる. それぞれの組み合わせは,
①: $${9\times{{}_9C_2}=9\times{36}}$$通り
②: $${9\times{36}}$$通り
③: $${{}_9C_2\times{9}=36\times{9}}$$通り
④: $${36\times{9}}$$通り
全組み合わせは, $${{}_{36}C_3=6\times{35}\times{34}}$$通りだから,
求める確率は
$${\frac{4\times{9}\times{36}}{6\times{35}\times{34}}=\dfrac{108}{595}}$$である.
(5)
ハートとダイヤをすべて合わせると, 数字の総和が等しく移動方向が逆になるから,
移動の合計は$${0}$$となる.
スペードとクラブについても同様である.
したがって, すべての総和は$${x,y}$$軸方向共に$${0}$$,
すなわち求める座標は$${(0,0)}$$である.