応援団
幼稚園小学校と運動会で
後ろから数えて一等賞を総なめにした
中学に入って
体育祭の出場をなんとか免れる為に
一年二年と応援団に立候補した
私の声は通りが良く
先輩達から
「よはく!声出ててえらいぞ!」
よく声をかけられた
練習が佳境になるにつれ周りの声が枯れていく
私の声は枯れ知らず
今度は
「よはくだけ練習サボってるんじゃないか!?」
そう言われる様になった
枯れないものは枯れないし
通る声はどうにも出来ないから
精一杯声を出し続けた
いつか声枯れるかも知れない
謎の憧れが生まれた
だが風邪を引いても肺炎になっても声が枯れた事はない
もちろん応援団でも枯れない大きな声で応援した
二年の応援団は先輩が気合いの入ったヤンキー(死語?)で
応援団の衣装は
団長はボンタン(知ってる?)に上半身裸
副団長は紫のボンタンに上半身サラシ(見た事ある?)
団員は
男子はボンタンにブレザー
女子はくるぶし丈のスカートに(今で言うマキシ丈)
胸元が見えない様
素肌にベストとブレザーだった
靴は全員素足にローファー
くっそ暑かった
先輩は応援に一生懸命で
応援歌も全てオリジナルだった
いよいよ体育祭
ボンタンにサラシにブレザーにロングスカート
10月の高い空の下
気合いの入った応援は続いた
どの組より声が出ていた
体育祭の順位発表
緊張が走る
まずは組の順位発表
そして応援団の順位発表
マイクがキーンと鳴り
「ここで説明します。白組の応援団は
PTAからの意見があり順位無しとなります。
白組の応援団は順位無しです」
副団長が「うっそだろっ!!!」と叫び
団長と抱き合って号泣し始めた
団長と副団長を見ている事が出来ず
下を向いた
ポタポタッポタッ
地面が濡れた
気付いたら私は泣いていた
自分の気持ちがよく分からないまま
声を出さずに泣いていた
涙が次から次へと溢れ
鼻水と涙でぐしゃぐしゃの顔を上げられなった
突っ立ってる私に気付いたらしい団長と副団長に
急に抱き締められ
「悔しいなぁ!」
そう団長が言った瞬間3人で抱き合って号泣した
それ以降
応援団をやる事はなかった
寄せ書きでいっぱいの
あの長い白鉢巻きを探したが
見つからなかった