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ちょうどいい電動ミル(台所珈琲の足どり⑧)

前回の最後に、コーヒーミルの話が出てきました。これくらいの電動ミルがあれば嬉しいなと思っていた感じのものを、この秋に見つけたという話です。せっかくなので、その「これくらい」について書いておこうと思います。

コーヒーミルは、コーヒー豆を粉砕する道具です。これは料理で言うところの包丁くらいのもの。無くても調理はできますが、材料の日持ちや品質、「挽きたて」のおいしさ、あるいは家計のことなどを考慮した場合、やっぱり置いておきたいものです。

粉にする方法は様々で、回転するプロペラにぶつけたり、石臼のようにすり潰したり、回転する刃で切り刻んだりします。また、刃の素材も様々、手で挽くのか、電動なのかという違いもあります。

そういう分類はさておき、わが家ではふだん、いわゆる「業務用」のミルは使わず、「家庭用」を使っています。「業務用」が良品で「家庭用」はチャチなもの、ということはなく、おいしいコーヒーをつくることができます。

「業務用」と「家庭用」の一番の違いは、「一定時間内に連続してこなすことのできる仕事量」です。これはたとえば、一度に挽くことのできる量(容量)の違いです。また、休憩せずに働くことのできる時間の違いです。そのためのパワーや強度が違います。

わが家では、一度に25gくらい(マグ2杯分のコーヒーに必要な豆の量)を挽くことができれば十分です。連続して3回も4回も淹れることなどないので、朝挽いた後は、昼まで休憩していただいても問題ありません。

その一回の仕事をおこなうためのスピードも、たいして求めておりません。欲を言えば、やかんでお湯を沸かしているあいだくらいに終えていただけると助かります。特にこれからの季節(冬)は、空気が乾燥するので、静電気が起こりやすくなります。手挽きくらいのスピードの方が、静電気も少なく、粉が散らばるストレスがないので、むしろ嬉しいです。

粉の均一性や精度はどうでしょうか。たとえば、玉ねぎのみじん切りをするとき、刻み具合がなんとなく整うようにしている気がします。わざわざめちゃくちゃにすることもなければ、結果的にまちまちになったところで、反省することもありません。料理でなくても、ピザの切り分けなどもそんな感じですね。それくらいで十分です。

豆を焼いている立場からすると、そもそも昨日の豆と今日の豆は違います。農作物なので、毎度違います。焙煎後の移ろいもあります。だからと言ってさじを投げるわけではなく、そういう揺らぎも変化も、まるっと含めておいしく飲むことができるように、焙煎やブレンド、レシピや淹れ方のコツなどを考えています。それくらいは、こちらにお任せくださいませ。

ざっくりしていますが、これが私たちがミルに求めていた仕事でした。電動ミルは「業務用」が多いので、かえって「ちょうどいい」が見つからなかったのですが、レコルトのコードレスミルは、久しぶりに嬉しい発見となりました。


コニカル(円すい)式、手挽きミルに多い構造です。
刃はセラミックなので、水洗いができます。
「時々掃除をする気になること」は
どのような道具でも重要です。
バネとハンドルによる挽き目の調整ですが
ひとまず最大限に締めた後(FINE)
5回か6回緩めたくらい(COARSE)が
ドリップにちょうどいい「中粗挽き」になりました。
こんな感じです。
長く使っていると、そのうちバネが弱くなって、
先ほどの緩める回数など変わると思います。





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