道具のいろいろ(台所珈琲の足どり①)
昨年発行した『台所珈琲の手びき』は、生活になじむ、家のコーヒーについての冊子です。ひとつの家庭料理としてコーヒーを眺め、主に材料のこと(豆選びや水について)と、調理のこと(ドリップについて)を書きました。ふわっとさせるのではなく、さらりとした流れの中で、太い骨をつかむことができるような手引きになればと意識しました。
その中で、読書の習慣がない人にでも、気が向くサイズ感も大切にしたかったので、「書いた方が丁寧かも」と思いつつ、そぎ落とした部分があります。その代表が、ペーパードリップ以外の淹れ方についてです。
『台所珈琲の手びき』では、わが家の「いつもの」になっている「ペーパードリップ(円すい形)」が、ひとつの結論というか、前提(おすすめ)として話が進んでいきます。その理由についてもちらっと書いていますが、ちらっとです。
でも、世を見渡せば、たとえばネルドリップやエスプレッソ、フレンチプレスやコーヒーメーカーなど、もっと幅広い作り方があるように見えます。実際、コーヒー教室の終盤に「なにか質問はありますか?」と聞いてみると、「~ってどうなんですか?」と、ほかの道具の話を尋ねられることがとても多い気がします。
そこで、『台所珈琲の手びき』の続編として、そのあたりを再び丁寧にまとめてみることにしました。せっかくなので、改めて生活の中で使ってみたり、新鮮な気持ちで商品棚を眺めてみたりしながら、いろいろと面白がってやっている最中です。ふと、これはもしかして、「生活になじむコーヒー」を届ける上で、柔軟さや懐の深さに繋がるような、ちょうどいいストレッチになるのでは?なんてことを感じたりもします。
寄り道のような、ちょっとした旅のようなこの話を、『台所珈琲の足どり』と題して、時々書いてみます。三日坊主、いえ丸坊主。歩いては止まり、歩いては止まりの千鳥足でいってみたいと思います。誰かの生活になじむ部分があれば、ラッキーということで。
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