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コーヒーメーカーのコツ(台所珈琲の足どり⑥)

ドリップ式のコーヒーメーカーを使うとき、ちょっとしたコツがふたつあります。そこを押さえていれば、ハンドドリップと大差ないほど、おいしいコーヒーをつくることができます。

(「好みの豆を買うこと」「挽きたてを使うこと」は、道具や淹れ方に関わらず、おいしいコーヒーには欠かせないことなので、ここでは前提として省略させてください)

①分量をはかる
ハンドドリップをはじめ、いろいろな道具で用いることのできる基本のレシピとして、「豆の16.5倍の湯を使用する」をおすすめしています(『台所珈琲の手びき』のレシピも、この通りにできています)。

本当はここに、ろ過と抽出の時間も関係してくるので、たいそう時間がかかってしまうような場合(たとえば、大きなドリッパーで、10人分くらいのコーヒーを淹れるなど)にはバランスが取れませんが、家で1人、2人分ほどをつくる場合や、4分くらいまでで淹れられる量・方法であれば、このレシピを「いつもの」としてよいかと思います。

ただし、これは「重さ(g)の比」です。

コーヒーメーカーには、「さじ」が付いていることがありますが、それではかることができるのは「体積(かさ)」です。さじ1杯の豆の「重さ」は、焙煎度によって異なります。同じすりきり1杯でも、浅やきは重く、深やきは軽いです。また、コーヒーメーカーに入れる水の量は、タンクの目盛りを見ることになっていますが、これも「体積」です。

「コーヒーメーカーは便利だけど、味が劣る」なんて思われてしまうのは、この「体積」、つまり「目分量」のレシピにしてしまう仕様だからなのかもしれません。さじと目盛りで合わせると、たいていは薄苦いコーヒーになります。

お菓子作りと同じで、ドリップコーヒーも分量(と、時間)が肝要です。もっとも大切なことを置き去りにして、湯温や注ぎ方などに集中しても、なかなかうまくはいきません。ぜひぜひスケールで「重さ」をはかって、ちょうどいいバランスにしてみてください。あとのことは些細なことなのだと、コーヒーメーカーが教えてくれます。

使うことのできる豆や水の最大量は、コーヒーメーカーによって決まっているので、それ以内であれば、どのような組み合わせでも大丈夫です。ざっくりとしたレシピ例を、以下に載せておきます。

・豆10g/(タンクに入れる量)水165g……(できあがり量)小さめカップ1杯分
・豆14g/水230g……マグ1杯分
・豆20g/水330g……小さめカップ2杯分
・豆25g/水415g……マグ2杯分

ちなみに挽き目は、ドリップと同じで中~粗挽きくらい。お湯が落ちるスピードは、コーヒーメーカーによって異なりますが、もし上記のレシピが落ち切るまでに5分以上かかっているのであれば、粉が細か過ぎるのかもしれません。湯が滞りなく通ることのできる、ちょうどいいすき間をつくってあげてください。

②保温機能を防ぐ
多くのコーヒーメーカーには、保温プレートが付いています。これは、タンクに入れた水を温めるための力を、せっかくだったら保温にも使おうという発想、一石二鳥的な機能です。

ただし、これが厄介です。抽出したコーヒーに熱を加えることは、たいへん繊細な作業で、味わいが損なわれてしまうことの方が多く、煮えたような味は、この保温プレートによるものです。

抽出後に保温スイッチを切ったのでは遅く、抽出中にも、この保温プレートからの熱は加えられます。これを防ぐため、わが家ではコースターなどを敷くようにしています。もちろん、メーカー推奨ではないので、自己責任となります。鍋敷きにも使うことのできるような、安全な素材を選んで使ってください。



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