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クラフトサケという「日本酒ではないサケ」の可能性。

若者がお酒を飲まなくなったと言われて久しい。ましてや日本酒に至っては最盛期の3分の1にまで消費量が落ち込んでいるらしい。

「若者が日本酒を飲まなくなったこれだけの理由」

日本酒が飲まれなくなった原因は記事に任せるが、一方で個人的にはお酒離れと言ってもたぶん酒好きは実はそんなに減っていない気がするし、特定のお酒のブームは定期的に起きている。まさにクラフトビールなんかは近年のブームのひとつだが、クラフトビールの魅力が味はもちろんのこと、どこで作られ・誰に作られているかという個性や背景を知ることも魅力のひとつだとしたら、日本酒だって同じくらい面白いと言いたい。

日本酒は歴史的に見て、まだはるか昔鎖国をしていたころの日本にとって、娯楽の頂点のひとつだったに違いない。今ほど娯楽の選択肢のなかった当時、ストレス解消方法は自然とお酒になりそうなものだ。そして、そのはるか昔から日本酒は連綿と受け継がれている。

そして器を作るのにが大事なのと同じく、お酒づくりにはが欠かせない。
日本は縦に長く、起伏も激しいので、気候や文化の地域差が生まれやすい。つまり土(=器)水(=酒)も土地によって個性が違うのだ。だから、旅先で美味しい地場の食べ物を楽しむのと同様に、日本酒も同じ文脈で楽しめるものなのだ。
そう、日本酒は元祖クラフト系なのである。

そしてお酒の消費量が下がるなかで、日本酒の各蔵も手をこまねいている訳ではない。古い感性に縛られず、若いアトツギが現代の感性に合うお酒やクリエイティブを作り、挑戦を重ねている。
(Makuakeにはそんなプロジェクトがたくさんある。)
ただ、障害もある。日本酒は新規参入が非常にしにくいのだ。現状、新規参入を認めると供給過剰なるため、清酒製造免許の新規取得がほとんど認められていない。つまり、若い挑戦者が日本酒を作りたいと思っても自分の醸造所を作れないのだ。

だが、そんな状況を逆手に取り、「クラフトサケ」というジャンルのお酒が生まれている。秋田の「稲とアガベ」や福島の「haccoba」、東京の「WAKAZE」などなど、それらは全国に及ぶ。
「クラフトサケ」は、お米を原料としながら、従来の「日本酒」では法的に採用できないプロセスを取り入れた、新しいジャンルのお酒だ。
いわく、清酒を作る手順に何かを引くか足すかすると、それは清酒でない=「クラフトサケ」になるというのだ。

そのため「クラフトサケ」は自由でさまざまなコラボをしている。そして飲めば分かるが、フルーティであったり、非常に飲みやすいものが多く、クリエイティブも相まって若い世代や女性向けのお洒落なお酒になっている。

「伊良コーラ」のコーラ粕を再利用したクラフトサケ!「稲とアガベとイヨシ」「ハッコーラ」

haccoba×クラフトビール「COEDO」のコラボ酒

カカオのお酒「カカオの夏休み」

「クラフトサケ」の醸造所は、日本酒の蔵で修行を積んだ方がほとんどで、ちゃんと日本酒がなんたるかを熟知し、リスペクトの気持ちを持ち、「クラフトサケ」を作っている方が多い。だから、日本酒をライバル視している訳でもなく、共に日本酒を盛り上げるために日本酒イベントにも出店したりしている。

そう日本酒は面白い。自分はこのことを知って「クラフトサケ」も日本酒も好きになった。
どこで作られ・誰に作られているかという背景を知ったら、「クラフトサケ」(そして日本酒も)を美味しく飲めると思わないだろうか。

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