病棟の患者さんと過ごした時間
出勤初日に言われた言葉は、「鬱はうつるから気をつけなさい」と言われ、びくびくしながらのスタート。
そんな病棟での日々は、とっても楽しかった。
朝はみんなでラジオ体操、お昼前には時代劇を患者さんと一緒に見たり。
みんな外には自由に出られないけれど、院内では比較的自由に過ごしていた。
ひたすら一日中廊下を歩く人。
見えない誰かとお話ししている人。
ベンチでいつも恋人のように寄り添うふたり。(後から聞いた話によると、それぞれ伴侶がいるとのこと)
私の絵を描いてくれる人もいた。これは今でも宝物。
患者さんたちはみんな優しい。とにかく優しい。
プライベートで嫌なことがあって出勤した時は、おずおず「何かありましたか?」と聞いてくれた方もいた。
ここにいる患者さんたちのほとんどが繊細な気持ちを持っていて、いつもと違う空気を察してしまうのだ。
そして他人に優しさを向けることもできる。
今流行りのHSPという表面的な繊細さではない。
自称繊細さんは、大体他人の気持ちには鈍感だ。
本当の繊細さは、自分にも周りの人にも繊細に捉えられるから、優しい気持ちで寄り添ってくれるものなのだよ。
患者さんたちはみんなそれぞれ薬を飲んでいた。
薬は長期的に症状を抑えることができる。
音楽は一瞬だ。
瞬楽しかったり、辛いことを忘れることができるかもしれないけれど、それは瞬間的なものだ。
だから薬には敵わないと思っていた。
でも、約束をして次会うのを指折り数えて待つっていうのも、メンタルの支えになるのだとみんなから教えてもらった。
昔の歌の歌詞で「次の約束があるから生きていけるよ」というのはまさに的を得てるのかもしれないな。
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