だんだんと曖昧になる東京と故郷の境界線
目を覚ましたのは、今日が仕事だからでも朝に何か楽しみな予定があるからでもない、いつも通りの時間に時計が鳴ったから、ただそれだけだ。
東京は、あえて「東京は」と言わせてもらうけれど、密度が高くて余白がなくて、ただそこに居るだけで窮屈な気持ちになる場所だ。
「俺の地元は何にもないよ」なんて半分冗談、半分本気で言っていたけれど、今思えば、何にもないのが良くてそれで十分だった。
やけに広い道路、空間を持て余した公園、高さのない建物群。
生まれ育った場所が東京ではないからこそ、