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「錯覚の法則」(西田文郎著)を聴いてみた

今年は「帰属から独立へ」がテーマの年になると思い、自分の裁量で物事を進めるために参考になりそうな書籍を聴いています。

本書は、長年にわたりトップ経営者や一流アスリートへの指導を行ってきた著者が、人間の脳に宿る「錯覚」をいかにポジティブに活用するかを説いた書籍です。

著者によれば、私たちが日々感じる「できない」「つらい」といったネガティブな感情や思考の多くは、脳が生み出す一種の錯覚であるといいます。

本書は、脳科学や心理学の見地から、錯覚を利用して自らを成功へ導くための実践的な手法を提示しており、ビジネスだけでなくスポーツや日常生活のあらゆるシーンで応用可能な内容となっています。


本書の概要

「錯覚」を味方にする思考

著者はまず、人間の脳が現実をそのままではなく「主観」を通じて捉えている点に注目します。

たとえば、同じできごとに遭遇しても、ある人は「絶好のチャンス」と捉え、別の人は「大きなリスク」と捉えるという具合です。

これは脳が状況をどう錯覚するかによって行動や結果が大きく変わることを意味します。

本書では、この錯覚をネガティブな方向ではなく、いかにポジティブな方向へと転換していくかが重要だと説かれています。

潜在意識と「書き換え」の方法

脳の錯覚は、幼少期からの経験や日々の言葉選びによって無意識に作られることが多いといいます。

人が「できるわけがない」と思い込むのも、過去の失敗経験や周囲の否定的な言葉が潜在意識に刷り込まれている結果だと分析されています。

そこで本書では、ポジティブな言葉やイメージを強化することで潜在意識を書き換え、脳が生み出す錯覚を「自分はできるはずだ」「成功して当然だ」という方向へ変えていく具体的なトレーニング手法を紹介します。

セルフ・トークやイメージトレーニングの実践例が詳しく示されているため、日常生活にすぐ取り入れやすい点が特徴的です。

「錯覚の連鎖」が生む成功サイクル

一度ポジティブな錯覚が生まれると、それはさらなるプラスの行動を誘発すると著者は説きます。

たとえば「自分はもっと成長できる」と脳が錯覚すると、新しいチャレンジに挑戦する意欲がわき、結果としてその成長を実現できる可能性が高まります。

こうした成功体験の積み重ねは脳に「やはり自分には力がある」という確信を根づかせ、さらに次のチャレンジを肯定的に捉える好循環を生み出します。

著者はこのプロセスを「錯覚の連鎖」と呼び、個人だけでなく組織全体にも大きな変化をもたらす力があると強調しています。


本書の活用法

成功を前提とする目標設定

経営者やリーダー、受験生など、あらゆる場面で活用できるのが「成功を前提とする目標設定」です。

著者の提唱するポジティブな錯覚を活用するには、ゴールを設定する段階で「自分ならできる」と思い込むことが大切です。

最初から失敗のシナリオを想定したり、保険をかけたりするクセを排除し、成功を当たり前として捉える考え方を習慣化していくことで、脳の働きをより実効的に引き出すことができます。

プラスの言葉で組織文化を変える

本書で強調されるのは、個人だけでなくチームや組織全体に「プラスの言葉」を積極的に投げかける大切さです。

たとえば「まだできない」ではなく「あと少しでできるようになる」という言い回しを使う、ミスが起きても「次はこうやればもっとよくなる」と励ますなど、言葉選びの積み重ねが組織全体の錯覚をポジティブ方向へ誘導します。

これによりメンバーの自己肯定感が高まり、組織のパフォーマンス向上を期待できるのです。

セルフ・イメージの再構築

「錯覚の法則」を実践するうえで欠かせないのが、セルフ・イメージを定期的に見直すことです。

自分自身をどう捉えているかというイメージは、他人の評価や過去の経験に左右されがちですが、意識的に「自分は優れた能力を持っている」「困難を乗り越える力がある」と再設定し続けることで、ネガティブに歪められた錯覚をポジティブな錯覚へと書き換えることが可能になります。

これを習慣化することで、常に新たな挑戦を楽しめる脳の状態を維持することができるでしょう。


わたしの感想

本書を聴いて最も印象に残るのは、脳の持つ「思い込みの力」が、私たちの行動や結果にどれほど影響するかを改めて実感できる点です。

ネガティブな錯覚に縛られていると、チャレンジ精神や自己肯定感が低下し、結果として行動範囲が狭まってしまいます。

しかし、本書が示すようにポジティブな言葉やイメージを使って脳を上書きしていけば、「できるはずがない」というブレーキは取り外され、自分自身をより大きな成功へと導く可能性が高まるのだと感じました。

さらに、本書は単なる精神論や根性論ではなく、脳科学や心理学の知見をベースに具体的な方法論を提示しているため、誰でも実践しやすいのが魅力です。

スポーツやビジネスだけでなく、日常生活の中で小さな変化から始められる手軽さもあり、継続することで確かな効果を期待できるでしょう。

錯覚という、一見ネガティブに捉えられがちな要素を逆手に取り、自己成長へと繋げる視点は多くの読者にとって新鮮な発見となるに違いありません。

今後、さらなるスキルアップや組織改革を目指すかたにとっても、本書が示す「脳の使い方」を実践することで新たな可能性の扉を開くきっかけになるのではないかと思います。

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耀興
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