問題解決をしたいなら先に問題をしっかり把握しないといけない
✅最初の問いかけがまちがっていたら成果が出ない
✅全部の問題を一度に解決するのは無理、ひとつに絞ろう
✅そのときどきで変化する問題に対処するには経験が必要
✅満足のいく内容の解決が得られるか、常に意識する
日々わき起こる様々な問題…
そのたびに問題解決に取り組もうとしますが、
中途半端な状態でつぎの問題に取り組んでいる…
情報過多といわれる現代において、
今まで気にならなかったことが自ずと気にかかるようになり、
ほっておけずに、なんとかしないと!
と思うことが多いと思います。
とりあえず深呼吸して、先ずは何を解決しないといけないのか、
それをしっかり見極めることが、
中途半端に問題が残ってにっちもさっちもいかない状況を解決するためには大事なんじゃないかな、と思います。
経営コンサルティングファームとして有名なボストンコンサルティンググループ(BCG)では、論点思考という手段を用いて問題解決に取り組むそうです。
BCGの論点思考は、問題解決において「表面的な現象」から「真の問題(論点)」を抽出するための体系的なフレームワークです。
人間の認知バイアスの観点から見ると、私たちは往々にして表面的な現象に囚われがちです(利用可能性ヒューリスティック)。
注)ヒューリスティックとは、複雑な意思決定や問題解決において、人間が無意識的に用いる経験則や直感的な判断のしかたのことです。完璧な解決策ではありませんが、限られた時間と情報の中で、比較的良好な結果を得るための心理的なショートカットとして機能します。
そのため、論理的な思考プロセスを通じてこれを克服する必要があります。
論点思考は4つのステップで構成されています。
第1ステップ 論点の洗い出し
ここでは、現象と本質的な問題を区別することが重要です。
例えば、外食産業の経営不振を例にとると、「料理が美味しくない」という現象の背後には「価格に見合う価値を提供できていない」という本質的な論点が潜んでいます。
これは、人間が持つ参照点依存性(価格を基準に価値を判断する傾向)に関連しています。第2ステップ 論点の絞り込み
ここでは仮説思考を用いて、実行可能性と効果の観点から論点を選別します。
行動経済学の損失回避性の観点からすると、人々は一般的に「失敗を避けたい」という心理が働くため、実現可能性の低い施策を避ける傾向があります。
そのため、容易に実行でき、かつ大きな効果が期待できる論点を優先的に選択することが推奨されます。第3ステップ 論点の最終確定
このプロセスでは、様々な関係者との対話や現場観察を通じて論点を検証します。
確証バイアス(自分の信念や仮説に合う情報を重視し、反する情報を軽視または無視してしまう心理的傾向)を避けるため、自分の仮説に反する情報にも注意を払う必要があります。
特に「現場100回」(机上の分析や推測だけでなく、実際の現場に何度も足を運び、直接観察・情報収集することで、より正確な問題把握と解決策を導き出す考え方)という考え方は、認知バイアスを排除し、より客観的な判断を可能にする重要な実践です。第4ステップ 論点の最終確認
ここでは全体を俯瞰し、選定した論点が組織や個人が重視する上位概念と整合しているかを確認します。
これは、人間の限定合理性(複雑な問題を単純化して捉えようとする傾向)を補完する重要なプロセスといえます。
この論点思考の特徴は、人間の思考特性や行動パターンを考慮しながら、体系的に問題解決に導く点にあります。
特に、初期段階で現象と本質を区別し、実行可能性と効果を重視する考え方は、さまざまな場面において、意思決定の質を高めるうえで非常に有効です。