どうして僕は頭が悪いのだろう。どうして僕はバカなんだろう。
「お前はバカだ。何にもできない、ただの大バカだ。犬の方がまだ賢い」
あれは中学の頃の時。
クラスの一番人気、内田君の一言でみんなは大笑いする。
僕はただ笑う。そうするしかない。だってそれは本当のことだと思っていたから。今でも覚えている、あの時のクラスのみんなの笑顔を。
この世に生を受けて、賢いと言われたことは一度もない。
その代わりに、何度も「バカ」と呼ばれて来た。
テストの順位は毎回最下位。
一念発起して教科書を開いてみても、何が書いてあるのかすら理解出来ない。漢字も英単語も数式も覚えられない。とにかく、勉強というものは何も出来なかった。たくさんバカにされた。たくさん笑われた。
いわゆるFランク大学に入学すると、わざわざ「お前は○○大入ったバカだ」と知り合いから電話がかかって来ることもあった。それくらい、僕は多くの人になじられ、貶され、傷つけられた。
双極性障害になり、家でぐったりと寝ていると、youtubeを見て過ごすことが大半である。そこで見るのは、ほとんどが教養系の動画だ。哲学やら世界史やら文学やら、そういった類のことを紹介している動画をよく見る、また、堀元見のような知識をひけらかし他者をバカにするような冷笑系のインフルエンサー等の動画や、高学歴の方々の動画もよく見る。
そして、私はいつも思うのだ。
「どうして私はバカなのだろう」と。
頭さえよければ、どんな問題も、どんな苦しみも、全て解決するのに。
誰からもバカにされず、生きていくことが出来るのに。
読んでみたい本がある。けど、読めない。
やってみたい仕事がある。けど、できない。
夢の中でも、バカにされたことが蘇る。
僕は起きる、トイレに行き、台所で水を飲む。
何も聞こえない、静かな空間で、夢で見た風景を思い出す。
涙は出ない。ただ胸が苦しいだけなのだ。その苦しみを、もうずっと味わっている。
難しい本を読みたかった。
難しい仕事をしたかった。
誰にもバカにされず、人と交流をしたかった。
自分の生まれた環境を恨むしかないのか。
今日も、何のためにもならない教養系youtubeを見て、賢くなったつもりになる。
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