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4か月間、大学の非常勤講師を勤めた話
勤め先のプロジェクトで昨年の9月から約4か月間、都内の大学で非常勤講師を勤めました。
これまでのキャリアで、ビジネスマン相手にセミナーをしたことはあったのですが、学生に対して話す、ということは初めての経験でした。大変なことも多かったのですが、大変貴重な経験でしたので書ける範囲でまとめたいと思います。
プロジェクトの概要
・2024年9月から2025年1月までの約4か月間で、全15回の授業。
・授業は1コマ90分。
・講義のテーマはDX(デジタルトランスフォーメーション)。
・履修者は100名強。3年生か4年生がメイン。
自身の学生時代との違い
自分も20年前は今回の履修者と同じ大学生でした。その頃と今の大学の違いを挙げます(あくまで自分が担当した大学の話です)。
・学生はIDカードを持っていて、出欠はそのIDカードで管理。(授業開始前後にIDカードをピッとかざせばそれで大学のシステムに出席と記録される)
・IDカードを忘れた学生は先生に申告し、先生がシステムで欠席→出席に修正する(毎回何人かは忘れる学生がいました)。
・学校のteamsアカウントを用意され、授業以外での学生とのやり取りはteamsを使う。学生証忘れました、前回休んだので追試を受けたいです、今の自分の点数を教えてほしいです、的なやり取りが多い。
・授業中にPCやタブレット、スマホでメモをとる学生も多い。ノートでメモをとる学生もいましたが、デジタルデバイスを使う学生の方が多かったです(スマホを横向きにして明らかにゲームしてそうな学生もいましたが、、)。
と、あたりまえですが自分の大学生時代よりデジタル化が進んでいました。自分のときは出欠は返事か紙だったなぁ、、。
授業の様子、学生の反応、工夫した点
・授業は毎回平均して60~80名が出席
出席データを見ると80でも目視で数えると絶対80いないときもあります(笑)。最初にIDカードをピッってやって授業にでない学生もいるそうで、代返もデジタル化しています(自分でやるから代返ってそもそも言わないかも)。
自分としては、1人でも多く単位とってほしかったし、自分も大学生時代はよくしていたので、、このあたりは容認していました。
・初回の授業で1番想定外だったこと
学生に話かけてもノーリアクションで、基本話をしてくれないこと。
学生は就職に興味があるから、自分のこれまでのキャリアとか転職話とか興味あるだろうな、と思って「聞きたい人、興味ある人ー?」と言ってもノーリアクションで、え、、この話用意してきたのに、、とメンタル潰れかけたことを今でも鮮明に覚えてます(この調子で全15回やり切れるのか、と)。
ただ、自分も同じ大学生で大人数の授業だったら彼らと同じリアクションをするかと思います。
・学生とのコミュニケーションにチャットツールを活用
でも、学生とコミュニケーションをとりたくて、同僚からのアドバイスでオンラインチャットツール(匿名での投稿が可能)を使い、文字で会話することにしました。
チャットツールはこのSlidoをよく活用しました。無料でもチャットや投票機能を使ったりすることもできます。
これだと、学生の方は色々意見を言ってくれる(もちろん全員ではないけど)。アクセスするためのQRコードを見せると、すぐスマホで読みとって、使ってくれました。
ITが苦手な人だと「どう使うんですかこれ」って聞かれたりするのですが、さすがデジタルネイティブの大学生、使い方分からないから教えてください、と言う人は1人もいませんでした。
チャットを使うタイミングとしては、
①授業開始時
→軽いテーマを投げてそれに答えてもらいウォーミングアップ、アイスブレイク的なやり取りに。以下の画像は授業開始時で確か連休中何しましたか、的なテーマだったかと思います。「ずっとバイトしてたんだ、お疲れ様でした」「韓国!海外か!いいですね」という感じでこのチャットに対し、自分がリアクションを入れる感じでコミュニケーションをとります。
![](https://assets.st-note.com/img/1738048991-SYj8tJvu1r6boegKQDiMp53F.png)
②授業の合間に
→今までの授業の内容を踏まえて皆さんの感想、考えをチャットに入れてください、という感じで息抜きがてらに1,2回くらい投稿してもらいます。
③上記以外で自由に
→チャットしてください、以外のときも自由にチャットは入れてもOK(そんなにする学生多くないですが)。「今のところもう1回」「そういうこともあるんだ」「○○の方がよくない」的なことを書きこんでくれる学生もいます。授業のスライドで進めながら、チャットを確認、というのが大変な場面もたまにありました。
あとは、上述した出欠のIDカードを忘れた学生の申告用としても使いました。口頭で申告されてもこちらがメモするの大変だったり誤るといけないので、忘れた旨と学籍番号、名前をチャットに投稿してもらい、それを参照して情報修正する、という形でも活用しました。
![](https://assets.st-note.com/img/1737844968-KyNjIxd21rTtFCGPHZ83WS5E.png)
自分へのコメントやフィードバックもたまにあったり。
と、このように、自分が質問して、チャットに投稿してもらって、それを拾って会話を広げたり、ライブ配信みたいな感じでの授業がベースになりました。
学生からも匿名で色々質問できたり、意見言えるのはすごいいい、大勢いると聞くのが恥ずかしいから、となかなかの高評価でした。
・完全ペーパレスで授業を進めた
授業の資料の共有もteams。テストはformsを使ってスマホからオンラインで回答。講師控室で自由に資料の印刷はさせてもらえましたが、4か月間完全ペーパレスで終わることができました。
ただ、他の授業の先生は紙のレポートを毎回提出させるやり方をしてたりもします。授業の進め方も先生によって異なるようです。
・久保さんと久保先生
先生と呼ばれるのが苦手で、久保さんと呼んでほしいと事あるごとに呼びかけてましたが、久保さんと久保先生半々くらいだったかと思います。学生的に先生の方が呼びやすいのか、それともさん付けは抵抗あるのか(年齢倍くらい違いますしね)・・
・授業が90分でとにかく長い
90分って長いですよね。。サッカーの前後半合わせた時間です。
会社の会議の60分でも長いと感じるのに。
会議とかを早く終わらせるのは得意なのですが、与えられた時間をいっぱい使うのが苦手です。前半の講義が終わったら、本題以外の頭の体操とか世の中のニュースの紹介とかを挟みうまく時間を使いました。
パワポの資料が毎回見やすいけどどうやってるの?と学生に言われて授業の合間にプチパワポ講座をしたときもありました。
・就職関係の質問とかが多い
毎授業毎に最後に小テストとアンケートを実施し、授業に関すること、しないことなんでもいいから聞きたいことありますか?の欄にはやはり就職関連の質問が多かった印象です。
-働きたい職業はあるけど給与が低く、諦めた方がいいですか?
-○○の職業で活きる資格ってなんですか?
-いまだにやりたいことがありません。どうすればいいですか?
などなど。もちろんすでに就職先が決まってる学生もいましたが、決まってない学生からは上記のような質問があり、自分が答えられる範囲ですが意見をお伝えしました。少しは参考になってたら嬉しく思います。
最後の授業の最後で伝えたこと
そんなこんなで授業は進んでいき、最後の15回目の授業を迎えました(初回から最終回まで長く早かったです)。
最後、せっかくなので何か学生たちにメッセージを伝えたいな、と考えていて
この記事の内容をかいつまんで伝えることにしました。
皆さまの仕事をする目的の多くに「お金」が占めると思います。
(久保もそうです)
では、毎月生活に困らないお金を必ずもらえるとしたら
(月100万でも1000万でもいくらでもOK)
皆さまは、「仕事」を続けますか?
「Yes」ならお金以外に仕事をする目的があるはずです。
その「Yes」の理由は何か・・
そこがしっかりすると仕事や人生がきっと更に充実すると思います。
(久保は時間がかかり、比較的最近その理由がはっきりしました)
この問いかけは「No」の人を否定するものではありません。
十分なお金が手に入ったら仕事をせず好きなことをする、という選択も大いにアリだと思います。
今はピンとこないかもしれませんが、
皆さまが4月から何かしらの仕事に就いて
しばらくしてもし覚えてたらよかったら向き合ってみてください。
と、こんな感じで、自分が記事に書いた仕事をする目的は伝えず、投げかけだけしました(後で教えてって学生に言われたけど断固拒否しました笑)。
大学生というのは社会に出る一歩手前の状態で色々な不安を抱えてると思います。
そして、実際に社会に出ると、辛いこと、苦しいこと、嫌なこと、むかつくこと、、などのネガティブなことがたくさん身に降りかかります。自分はそうでした。
それでも自分は仕事をしない人生は考えられず、今まで続けてきて、それのおかげで少しは人としても成長し、充実した人生を送れています。
自分と同じ仕事に対する向き合い方をしてもらいたいな、と思って今回の言葉を最後に伝えました。
といっても、実際に社会に出る前なので、リアリティを持ってこの問いについて考えられる学生はほぼいなかったと思います。ただ、彼らが社会に出て1年後でも3年後でもいいのですが、自分の伝えたことをもし覚えてたら、(自分も20代の頃にこの問いかけに出会ったので)昔の自分のように、自身と向き合って考えてもらえたら嬉しいな、と思いました。
最後の授業で学生から頂いたコメント
最後の授業での学生からもらったお気に入りコメントをまとめました(一部抜粋)。
![](https://assets.st-note.com/img/1737845554-HLo7SQkaPw3s4GYtp1rvOXVq.jpg?width=1200)
こういう嬉しいことを言われるとこれまでの苦労が一気に吹き飛び、改めてやってよかったなと思います。
そういえば小学生の低学年くらいの頃に学校の先生になりたい、という夢を抱いてた時が一時期ありました。
このような形で実現するとは少し前までは思いもよりませんでした。本当に人生はどうなるか分からないですね。
機会があれば、自分なんぞでよければ、また大学での授業をしてみたいと思いました。
自分の講座を受講してくれた学生全員の今後の人生がよりよいものになるよう心より祈念したいと思います。