硬直する身体
身体が硬直する。
これも診察の際によく訊かれるテーマのひとつだ。
硬直と一口にいっても、実際にはいくつかある。
まず、常態としての硬直。
気づくと肩を竦め、歯を食いしばり、身を縮める方向へ身体を固くこわばらせている。酷い肩こりと顎関節症。
この硬直は、おそらく解離ではなく、過去の体験や環境に直接由来するものだと理解している。
私の場合は加えて腰のあたりから下に力を入れ続けるのをやめることができない。それからおなか。力を入れることは、拒絶そのものだから。
私は生を、性を、拒絶して生きている。
それから、ねじれる硬直。
小さな発作としての硬直が、日常的に起こる。
指があらぬ方向へねじれていく。他方の手がもう片方へ血がにじむほど食い込んでいく。身体がよじれていく。
視界が狭くなり、全体的に薄暗くなる。
主治医曰く、私の「人格交代への恐怖」が引き起こしている硬直であるらしい。
実際に、人格交代を起こして戻ってくると、嘘のように消え失せている。視界も明るくなって、部屋の灯りの照度を上げたのかと錯覚するほどだ。
ねじれる硬直が進んでいくと、棒のように身体が硬直(まさに硬直)して、呼吸もうまくできなくなる。
背中が弓なりに反っていく。う、う、う、という音がのどから漏れる。
てんかん発作にやや似ている。
これも解離によるものらしいが、昨今あまり見かけない発作であるとのことだ。
それから、口論などで追い詰められると吃音が出て、同じ語の繰り返しがはじまり、最終的に呼吸ができなくなって倒れることがある。
この際、身体が痙攣に近い強さで硬直する。
これは解離なのかそうではないのか(ベッセル・ヴァン・デア・コークのいう闘争/逃走反応の先の凍結反応の可能性があるのではないか、と最近ふと思いついて、そうだった、忘れないうちに主治医に訊いてみようか)。
いずれの硬直にも、私の場合は薬があまり効かない。エチゾラムは少し一つ目の硬直をゆるめてくれるような気がする。
少し、依存している。
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