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メガテン5をプレイしたけどプレスターンバトルはそろそろ限界なのでは
少し前に『真・女神転生Ⅴ』をクリアしました。
難易度ノーマルでしたがN→L→隠しと引き継ぎで3周してそれなりに堪能したと思います。
プレイしててありがちなJPRGっぽさとかストーリーとかイマイチに感じた点は色々ありましたが、一番気になったのはプレスターンバトルでした。
女神転生とその派生作品をそこまで遊んでいるわけではないのですが、メガテン5のプレスターンバトルには行き詰まりを感じてしまいました。
ちなみにサムネはメガテン5に登場する悪魔、ではなくCanvaのText to Imageが生成した「メガテンに出てきそうな無敵の怪物」です。
「炎も氷も風も雷も武器(物理)も跳ね返す無敵の悪魔」を作りたかったけど、試行が大変で割りとメガテンぽいこの画像で妥協しました……。
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そもそもプレスターンバトルとは
プレスターンバトルというのは、近年の女神転生シリーズとその派生作品で採用されているバトルシステムです。
本作のバトルは、コマンド制のプレスターンバトル。
敵の弱点を突くことで、味方の行動回数が増え有利に戦うことが出来る。
しかし敵に弱点で攻撃をされると一気に不利な戦局に。
シンプルながら、戦術に富むやりごたえ抜群のバトルシステムだ。
本作では新たなスキルも複数追加されている。より戦略の幅が広がったバトルを楽しもう。
公式では「弱点を突くと行動回数が増える」とありますが、実際には攻撃を受ける側の耐性と攻撃の当たり外れ等によって、普通に行動回数を消費する以外に下のようなパターンに分かれます。
弱点属性で攻撃するorクリティカル→行動回数が1増える
無効な属性で攻撃するorMISS→行動回数が1減る
反射or吸収される属性で攻撃する→ターン終了
相手の弱点を突くPT構成を組めば、圧倒的に楽にクリアできる。
それだけでなく、このシステムは敵味方両方に適応されるので、油断していると「不意打ちからの全体攻撃で弱点orクリティカルを連発されて壊滅」「初見の相手に無効属性で攻撃してしまってターンの予定が狂ってピンチ」「反射されてダメージをくらったうえにそのまま攻撃をされる(実戦ではまずない)」等の展開があるため、常に適度な緊張感があるのが魅力です。
……魅力のはずなのですが、メガテン5の場合は複数のシステム要素が絡み合ってプレスターンバトルの魅力が無効化されてしまっています。行動回数-1。
メガテン5におけるプレスターンバトルの阻害要因
私がメガテン5でバトルシステムに関連して問題に感じたのは主に5つ。
スキルが自由に継承できる
仲魔に自由にスキルを習得させられる
敵の耐性と攻撃を店売りアイテムで鑑定できる
仲魔のストック数が多い
上記に4つ対する敵側の解決策の筋が悪い
1. スキルが自由に継承できる
女神転生というゲームの特徴的なシステムに、戦闘で遭遇した悪魔を交渉で仲間にし、彼らを材料にしてさらに強力な悪魔を作り出す悪魔合体があります。
メガテン5には悪魔合体に際してスキル継承というプロセスがあります。
スキル継承というのは、合体後の悪魔の初期スキルの残り枠に、合体元の悪魔(通常は2体)の持つスキルを自由に継承することができるというシステムです。
ここでいうスキルというのは、攻撃呪文とかパッシブアビリティとか、そういうのを含めた一切合切のことです。
さらに火炎耐性・電撃無効・衝撃反射・氷結吸収のような耐性を変化させるスキルもあり、耐性スキルはその悪魔生来の弱点より優先されます。
なのでスキル継承を考慮して悪魔合体のプランを立てれば、アタッカーの悪魔に自分の得意な属性のダメージをアップさせるスキルやクリティカル率をアップさせるスキル+太い弱点(火炎アタッカーなら氷結とか)の耐性スキルを揃えるだとか、タンク(防御役)の悪魔に挑発スキル+補助スキル+念のために弱点を塞ぐ耐性スキルを揃えるだとか、そんな悪魔がすぐ作れてしまいます。
で、アタッカーやタンクが敵のレベルについていけなくなると、悪魔合体で同ロール悪魔に必須スキル群を継承していけば、延々とアタッカーやタンクをPTに揃えておくことができるわけです。
しかもゲームが進行するにつれ、色々なスキルを持った悪魔が登場するし、悪魔のスキル枠も段々増やせるので、どんどんロールごとのスキルをまるっと継承できるようになってしまう。
作る過程は結構面白いけど、やっぱり簡単に弱点を塞げるというのはよろしくない。
また副次的な問題として、悪魔合体で事故が発生して予想外の悪魔になった時に、レベルは高くても合体元から継承するつもりだったスキル群がマッチしないからゴミ!みたいになって合体事故がまったく嬉しくない、というのもありました。
2. 仲魔に自由にスキルを習得させられる
メガテン5には写せ身というアイテムがあって、敵を倒したり交渉結果によってまれにその悪魔の写せ身が手に入ったり、宝箱の中身や店でも入手できるものです。
写せ身を消費することで写せ身になった悪魔のスキルを主人公や仲魔に覚えさせたり、写せ身になった悪魔の耐性を主人公にコピーできたりします。
この写せ身を使ってスキル継承で習得させきれなかったスキル構成を補完できるわけです。
どちらかといえば主人公の強化に使う機会の方が多かったですが、店売りの写せ身でも主人公の耐性や攻撃スキルを簡単に変更できるので、やはりプレスターンバトル上の緊張感は減ります。
途中で攻略を考えるのが面倒になった時には、物理吸収の軍神ジークフリートに継承+写せ身で無効化×4を付けたでゴリ押しとかしていました。
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通常攻撃はすべて物理属性なので、挑発して殴られればHP回復しつつ相手ターンを終了、弱点も減らしてあるので大体の場に出せるというしょーもないやつです。
同様に主人公も写せ身で上述のジークフリート、そしてギリメカラやランダ(共に物理反射)の耐性をコピーしてさらに写せ身で多数ある弱点の中でボスの使う属性だけ潰せば、そうそうボス戦でゲームオーバーにならなくできます。
3.敵の耐性と攻撃を店売りアイテムで鑑定できる
そのまんまです。
1行動消費すれば敵の耐性も使ってくる攻撃とその属性もすべてわかるので、初見の敵に云々〜みたいなプレスターンバトルの怖さはほぼ無効化されます。
「どうせググるなりリセットするなりで敵の情報なんて調べられるし」という前提があるものとは思いますが、それでいいのかとは思ってしまいます。
さらには店売りアイテムでイベント戦闘以外は100%逃げられるアイテムもあるので、敵の情報をアイテムで調べる→アイテムで逃げる→敵に合わせたPT構成に変えて再戦闘みたいなこともやりたいだけできます。
ゲーマーは露骨に有利な選択肢があればそれを選ぶ生き物なので「文句があるなら使わなければいい」みたいな理屈はなしです。
4.仲魔のストック数が多い
1〜3を見て「そうはいっても各ロールの悪魔や合体素材用の悪魔を全部同時にストックするとか無理じゃないの?」と思うかもしれません。
ですがメガテン5の仲間枠は進行にしたがってどんどん増え、最終的に20以上の仲間を同時にストック可能になります。
さらには金を払って登録した悪魔を呼び出す悪魔全書というシステムもあるうえに結構お安いので、一度スキルが揃い始めたら布陣は万全です。
「仲魔枠が足りなくて相性の悪い仲魔で戦う羽目に」みたいな展開は一切ありませんでした。
属性ごとにアタッカーとタンクを揃ったらあとは主人公を写せ身で微調整すれば、どのボスも似たような戦法で特に苦労もなく勝ててしまう。
状態異常攻撃と異常状態の対象にダメージアップするスキル構成とか、スキルのラインナップ上は結構色々な構成が組めるんですけどね。
やる意味がない。
だから結果的にすごく構成の幅が狭く感じてしまう。
5.上記に4つ対する敵側の解決策の筋が悪い
で、こうやって弱点をなくしたアタッカーやタンクをズラッと揃えたプレイヤー側に対して開発側は最終的に敵に何をさせてくるのかというと、答えは耐性貫通攻撃です。
システムで色々プレイヤーを強化した結果、それを前提とした攻撃を敵がしてくる、といのはゲームのアンチパターンでありつつも仕方ない側面もありますが、さすがにプレスターンバトルでやられると「プレスターンバトルの意味ある?」となってしまいます。
しかもこの耐性貫通攻撃、ラスボスが専用スキルで使用とかでなく終盤のボスはだいたい耐性貫通攻撃を使用してきます。何ならシンボルエンカウントの雑魚敵にも使用してくるやつがいます。
システム的に味方側も耐性貫通攻撃を習得させることができるので不公平とかではないですがこっちは普通に弱点を突いた方が火力効率はいいですし、なんとなく面白くなかったです。
問題がバトルだけならまだしも・・・
バトルが面白くないだけなら他の要素で引っ張ればいいし、女神転生というのはそれも込みのシリーズだったと思うのですが。
メガテン5の場合、「神として創世をうんたらとか言いつつストーリーが初期メンバーが内輪で揉めてるだけ」とか「神として創世をうんたらとか言いつつ空も飛べない主人公がサブマップを参考に地面を走ったりジャンプしたりで失敗したらもう一度同じ道をやり直し」とか一々なんかスケールが小さくてプレイヤーを引っ張れてない。
ライト向けにJRPGっぽくしたのが悪い方向に噛み合ってしまった感じですね。
プレスターンバトルのシステムそのものがダメというわけではないのですが、ゲームはシリーズ化するとどうしてもインフレする傾向にあるのものです。
トータルでシステムが機能しなくなってきたなら、そろそろアトラスさんには次のバトルシステムを期待したいですね。
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