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2022年秋ドラマ評2 浪速少年探偵団
「浪速少年探偵団」
今回は古い作品を取り上げます。10年程前の作品。どうやら20年前は山田マリア主演でドラマ化されたよう。そしてその10年後に多部未華子が主演。
期待せずに見たところ、なかなか面白かったので見続けることに。
配役の俳優たちが若いのが面白い。今はおとなの浜田龍臣君や浜辺美波も子供。
ただ私としては有名俳優がいっぱい出ているドラマ作りはダメな作りだと思います。
もっと無名俳優を使い、要所要所に名のある人を使うという方が見やすいです。
その方がギャラをうまく分配できます。
それに無駄に中途半端なタレントが一杯出るというのも食傷しますから。つまり、おふざけの雰囲気がするのです。それに安っぽい。
主演の多部は良いとも悪いとも言えない感じ。もっとあたりさわりのない美人を配役してもよかったのでは? というのも、一見真面目な主人公が啖呵を切る面白さがあるのですが、それは真面目そうな、大人しそうな人が演じるから面白くなるわけです。
でもシャレにならなければいけないけれど。そんな風に演じられる人が最適。
彼女の場合は最初からコミカルさがありますから。
福島君を演じた子役はうまい、というか、劇団仕込みなんだろうな、オーディションを散々したのだろうな、親がつんけんした人なんだろうな、泣く演技を散々したんだろうな、将来を嘱望されたのだろうな、
とか余計なことを考えてしまいます。
その他の子らもみんな達者。みんなこまっしゃくれた劇団員なんだろうなと考えてしまいます。
・エピソードの1つにこんなものがありました。
二代目の会社社長が傲慢な人間で、先代の人情味のある父親の社長は嘆きます。息子は「ダメな社員は切ればいい」と言うが、彼=父親は「会社の財産は人間だ」と。
その通りです。
東野圭吾を褒めてやります。
どうですか。この30年の日本の企業。リストラ、失業、・・・経営者や幹部は高給を取りながら底辺は尻尾切り。その結果、中間職がいなくなり、アイデアが出ず、東芝、シャープ、ソニーは異国の会社に成り下がり、不景気、閉塞感、自殺、暗雲の世界になりました。
景気がいいのは一部経営者や成功者、芸能人ばかり。
しかも今の政治屋たちを見るとほとんどが、見事に世襲議員。まさに上記のドラマのように「世襲が政治を壊して」います。そしてこんな世の中に。そんな政治に興味を持たず、悪くても投票する国民たち。
ドラマから=小説からこのようなことを深読みするべきではないでしょうか。
この小説は既に90年代に書かれたものです。国民一人一人が気づいていたらそうならなかったかも知れません。
少なくとも、アメリカのように共和党がダメなら民主党、民主党がダメなら共和党という風に、競争させる方が健全。ダメでも自民党、他がないから自民党では救いがありません。しかも議員たちはみんな世襲。
・またラストのエピソードでこんな風なやりとりがありました。
大学院にまで進んだ男が犯罪を犯したことにたいし、センセが「何のための教育か、頭がいいとは何だ、勉強ばかりできてこんなことをしてどうする」と。
このようなことは常々私が申していることです。
頭がいいとは何か、学校で教える勉強ばかりできることが頭がいいということなのか。
そうではないでしょう。もっと倫理感、善悪の判断のつく人間、心のある人が頭がいい、というべきではないでしょうか。(もちろん多少の学は必要ですが)
東野圭吾を褒めてやります。
日本の省庁は高学歴で成り立っています。しかし果たして彼らが国民、弱者のためになろうとしているでしょうか。
政治家や医師たち、権威者たちも。
それを助長しているのがテレビです。「東大は偉い」というような番組ばかり。
センセはそんな大人になるな、と子供たちに言っていますが、みなさんはどんな大人になっていますか?
この作品が作られてから10年。今(10年後)の彼らを役者そのままで作っても面白いかも知れませんね。