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ヘソを曲げた老婆の行末

その昔ヨガニケタンアシュラムという道場で修行していたことがある。

インドのリシケシというヨガの聖地であり、かのビートルズもやってきてマゲてた場所である。

私が行った時には日本人がたくさんいた。

カズと名乗ったハゲたおっちゃんと、若くて天然なナツキちゃん、チュウさんとヒロポン夫婦、そして今回の主役であるヤスコさんだ。

彼女との交流はその年に新札のルピーが発行された大事件がキッカケになる。

旧札がいきなり使えなくなる上に、円との両替すら出来ないのだから何もできないのである。

当然市場は大混乱、だったけれど皆んな揃って金がないのだからツケだったりタダにしてくれたりとインドの人々の懐の深さを体験した。

そんな中でヤスコさんは両替ができる場所を知っていて、連れて行ってくれたりした。

それからというものご飯を食べに連れてってくれたりなにかとお世話になり倒していたのだった。

異変に気づいたのはそれから少し経った頃。

チュウさんとヒロポン夫妻とインド人のサッチンと少し早めに自主練してた時に、ヤスコが現れて物凄い不機嫌を全身からみなぎらせていたのを目撃。

どうやらヒロポンとヤスコは一度激しく言い争いをしていたらしく、そのキッカケはイケメンでお馴染みのビマル先生の取り合いというからクソくだらなくて思わず笑ってしまった。

要約するとお気に入りに金を払って注目を得てるのに馴れ馴れしく話したりすんな雌犬!とヤスコははるばるインドの僻地までやってきて、ホストに入れ込むババアみたいなことをやっていた。

ハゲ曰くヤスコさんは元看護婦長だったから責任感が強くて求められたい性質なのだと言っていたし、ヒロポンも元は看護婦だったりと同族嫌悪みたいなところもあったようだ。

それからと言うもののババアの攻撃性は日に日に増して、後にやってくるトルコ人のお姉さんたちがセクシーな格好でヨガするものだからけしからんとか手当たり次第に当たり散らしていた。

やがてひとりぼっちで過ごすことが増えた彼女はますます寂しくなり、ついにはゴラム先生にまでブチ切れる。

つい先週までゴラム先生を日本に呼んで授業や講演をやってもらいたいと語っていたババアは、いつの間にかヨガ警察となっていて、パソコンで音楽流しながらなんてこんなのヨガではない!と怒った出て行ったのだった。

他人を思い通りに動かしたいという欲求は、自分自身への不足感の表れだ。

幸せのために、施しはいらないよ。


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