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切ない気持ちのゴミ捨て場

フミヤが暮らしてる自分で借りたのか誰かに借りさせたのか謎のアパートがあった。

3階の端っこのその部屋は常に換気扇がついていて、土足で上がるタイプの手狭なワンルーム。

ゴミがそこらに散らかっていて、布団の上にあぐらをかいて座ると、火をつけたジョイントを回してくれる。

灰皿は吸殻が詰まったペットボトルへ、またはスープの残ったカップ麺の容器を使用する。

iPhoneでお気に入りの日本語ヒップホップを流したと思ったら、飛ばしのケータイに電話がかかってくる。

電話をきると幼馴染がやって来ると私に告げて、タバコに火をつける。

どうやったら楽に金を手に入れられるか話していると、再び電話が鳴り、空いてるよと告げると落ち着きのない小男が入ってきた。

サトシは初めましてと挨拶も早々に、フミヤに借りて乗ってきたチャリンコを帰りも使わせてくれとお願いし出す。

使うからダメだよと断ると、今度は誰か車を貸してくれないかと打診する。

何に使うのかたずねると、知人の家の近くにタイヤがあるから盗んできたいとのこと。

あのフミヤが珍しくそういうのダメだよとたしなめると、天ぷらナンバーがあるからとサトシは食い下がる。

ダメなものはダメだし、サトシは弁当持ちだから尚更ダメ過ぎてコントにしか思えなくなってきたところで彼の電話が鳴る。

さっきまでのイケイケな話し方から不慣れな敬語に切り替わったサトシは何故か目を閉じていて、事故のせいで仕事ができない旨を切々と訴える。

電話の相手は弁護士で、事故の保険はおりない可能性を伝えられてたらしい。

そしたらやっぱり金が必要なのでタイヤを盗みたい、でも車は貸してもらえないから山新でトラックを借りようということに。

これでバレないよね?パクられないよね?といちいち心配してる様は滑稽で、悪いことしなければ心配しなくて済むはずなのに彼は気が付かない。

適当な木材を買えば借りられるはずのトラックだったが、何故か山新に電話してトラック借りられるか慣れない敬語で尋ね出す。

様子がおかしなイタズラ電話に向こうもお手上げで、サトシも借りられないならと電話を切る。

とりあえず帰るかなともう一度チャリを借りようとするものの、やっぱりダメだからタクシーを呼ぶことに。

しかし何故だかサトシは近辺のタクシー会社全てに拒否られている男だ。

結局誰か迎えが来るらしくそのまま帰っていった。

風のウワサじゃ彼は塀の中らしいけど、そりゃそうだろう。

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