中国湖南省発の最高激辛調味料「湘集」を食べろ - 日本で買える全9種類レビュー
はじめに
辣椒少了!
どうも、辛党お狐様のヨドコロちゃんです。君は「湘集1号」を知っているか?
(アフィリエイトじゃないよ)
見ての通り辛そうな食べ物だ。しかし、これはいわゆるデスソースのようなただ辛いだけのお下品なやつではない。中国湖南省の伝統調味料「剁椒」をオイル漬けとしてアレンジしたもので、見かけよりもずっと風味豊かで味わい深い一品なのだ。
剁椒は荒めに刻んだ唐辛子に塩、大蒜、生姜、少量の酒を加えて熟成させた漬物の一種で、
パウダーやソースではなく、シャキシャキした食感を残した「刻み唐辛子」という状態が他の調味料にはないユニークな存在感を持っている。
ヨドコロちゃんがこいつの存在を知ったのはYoutubeのショート動画で何気なく流れてきた「干饭兄弟」の動画である。TikTokやYoutubeで動画をだらだら眺めたことがある人なら絶対知っているはずだ。
この湘集シリーズがなんかいつの間にか日本のAmazonでも買えるようになっていた。かつては淘宝で個人輸入するしかなかったので人に勧めづらかったのだが、こうなったらもう布教するしかない。
そういうわけでAmazonで買えるやつを全部買って制覇したのでここにレビューを書こうと思う。
湘集1号~4号
1号から4号は刻み唐辛子を主体とした構成の伝統的な剁椒、5号以降はそれらを他の食材と組み合わせたお惣菜のような内容となっている。まずは普通の方から見ていこう。
湘集1号
辛さ:★★★☆☆
風味:★★★☆☆
おすすめ度:★★★★★
初代にして王道。スタンダード。初めての方にはこれを強くお勧めする。しっかりした辛さと漬物としての深い風味の両方がバランスよく仕上がっており非の打ち所がない。まずは白飯に乗せよう。ごはんに混ぜただけのものを剁椒拌饭といいお昼ご飯なんかはもうこれだけでいいくらいおいしい。慣れてきたら肉や魚などなんにでも合うのでなんにでもかけよう。卵かけご飯にちょい乗せするともうたまらない。刺激的な毎日の始まりだ。湖南省へようこそ。
湘集2号
辛さ:★★☆☆☆
風味:★★★★☆
おすすめ度:★★★★☆
辛さを控えめにしたバージョン。ネギや豆鼓が加わっており香りもいい。全体的にマイルドなのでそんなに辛くなってほしくないときにちょうどいい。
お豆腐とかゆで卵とか、そのまま食べるものにちょっと乗せると香りが迸る。たまんね~~~
これ単体で味が完成しているので炒飯に混ぜて湖南風にすると一発で味がキマる。
湘集3号
辛さ:★★★☆☆
風味:★★★★☆
おすすめ度:★★★★☆
より純粋な剁椒に近いピュアな仕上がりとなった一品。
通常の剁椒は唐辛子と塩、大蒜、生姜、少量の酒のみで構成されているのに対し、1号はピーナッツと胡麻を加えることでオイル漬けにしたときに一体感を損なわず深みを出すことに成功している。
しかしこの3号はそれを敢えてせず、純粋な剁椒をそのままオイル漬けにしたような構成である。正宗(トラディショナル)な味わいはストレートに辛く、おいしい。海外食品にありがちな"海外臭"も弱いので安心して食べられるはずだ。
湘集4号
辛さ:★★★★★
風味:★★☆☆☆
おすすめ度:★★★☆☆
文句なしにぶっちぎりで辛い。「特辣」の文字が示す通りシリーズ最辛となっている。それもそのはず、これは湖南省の伝統料理「剁椒鱼头」のために作られた専用のバージョンなのだ。説明文にも直接食用はよせと書いてある。知らずに食べると一口でむせることになる。
剁椒鱼头は簡単に言うと白身魚のカマに剁椒をこれでもかと大量にまぶして蒸し上げたもので、この場合は四川料理同様唐辛子自体をあまり積極的に食べないのでかろうじてなんとかなる。
辛さ耐性に自信のある人や、剁椒鱼头を作ってみようという気合の入った方におすすめ。
湘集5号~19号
日本で買えるのは歯抜けで5、6、13、14、19の計5種類だけである。いつか制覇したいものだ。先述の通りここからは剁椒ではなく剁椒を使ったお惣菜という雰囲気になっていくのでその食材も含めて紹介しよう。
湘集5号
辛さ:★★☆☆☆
風味:★★★★☆
おすすめ度:★★★☆☆
Amazonの説明だと「ザーサイ」となっているがこれは完全に誤訳である。干し大根や干し豆角(細長いインゲン豆みたいなやつ)などで構成される乾物野菜ミックスに剁椒を合わせたもので、シャキシャキした食感が楽しい。味わいは極めて素朴で、いかにも田舎然とした風合いがある。切り干し大根なんかが好きな人はこれも気に入るんじゃないかと思う。
初のお惣菜となる"5号"にこれをチョイスする辺り、生産者の郷土愛がそこはかとなく感じられて好き。
湘集6号
辛さ:★☆☆☆☆
風味:★★★★★
おすすめ度:★★★★★
お惣菜シリーズの中では一番おすすめ。梅干菜はカラシナの一種を乾物にしたもので、名前から酸っぱい梅干しを連想してしまうが全く関係ない。5号は多様なシャキシャキ感が混在しているのに対し、こちらはなんとも地味で静かな食べ物である。だがそれでいい。それがいいのだ。
それなりに中国料理を食べている人なら「梅菜扣肉」を知っているかもしれない。あれの下に敷いてある黒い葉物、あれこそが梅干菜。
日本に似た味の食べ物が無いのでとても説明しにくいのだが、乾燥野菜をとても上手に戻して、そこに剁椒の風味が染み渡っている感じ。これは是非自身の舌で味わってほしい。
湘集13号
辛さ:★★☆☆☆
風味:★★★★☆
おすすめ度:★★★★☆
最近の干饭兄弟の動画はこればっか出てくるのでもう気になって仕方がなかったという人も多いのではないか。この謎の細長い野菜の正体は貢菜といい、日本では山クラゲとかいうあまりおいしくなさそうな名前で呼ばれている。実にもったいない。
かじるとちょっとびっくりするくらいコリコリしている。噛む瞬間はものすごく歯ごたえがあり、しかし一定の力加減を超えると噓のようにコリっと噛み切れる。究極のコリコリと言っていい。
味の方はあまり個性や癖がなく、剁椒の辛さに完全に負けている。でもこれはこういう野菜なので問題ない。
食べた瞬間は「まあこんなもんか……」で終わるが、後になってまた食べたくなってくる奇妙な魅力がある。
湘集14号
辛さ:★★☆☆☆
風味:★☆☆☆☆
おすすめ度:★☆☆☆☆
きゅうりの剁椒漬けである。これはなんだろう……うーん……特に変な味がするわけではないのだが、なんというか、きゅうりと剁椒って別にマッチしてない。
申し訳ないがヨドコロちゃんとしてはこれはいまいち。まあ20種類近く作ってればそういうのもあるよね。
湘集19号
辛さ:★★☆☆☆
風味:★★★☆☆
おすすめ度:★★★☆☆
13号と同じく貢菜がベースだが、こちらは乾燥ではなく生から漬けているようである。切り方も違う。
13号と大体同じ構成なのだが、食べてみるとなんだか得も言われぬ風味がある。癖と言ってもいい。生であるが故に食材の個性が出ているのだろうか。"海外臭"も結構ある。食感や味わいは優れているので13号とどちらが良いかは好みの分かれるところかもしれない。癖を味わいたいなら19号、日本人の舌に合うのは13号といったところだろうか。
まとめ
個数があるので長くなってしまった。とにかく興味を持ったらまず1号を食べて見てほしい。パウダーやソースでは決して味わえない「食感のある辛さ」は辛党なら絶対に気に入るはずだ。最後にヨドコロちゃんが剁椒を使って作った料理の写真を貼って終わることにする。
明天吃啥?看人品!
おまけ
食べやすいオイル漬けアレンジではなく、湖南省伝統本来の純粋な剁椒に興味が出たらこの「军杰辣王剁椒」がおすすめ。純粋な塩漬けで余計なことを一切していないので多分これが一番現地の味。