恋は水色

ちょっと先の仕事の話をされて、体調がおかしくなったのが約2週間前。

次の日は体調が良かったので大丈夫だと思ったら、その次の日の朝に悪くなり、

動悸がして落ち着かない
朝食時に座っていられない
母に抱き着いて泣く
仕事に来ても動悸が止まらない
そわそわする
手が震える

という症状が出て、かかりつけ医に話したら、
「1度心療内科を受けてみるといいね。紹介状を出す?」
と言われた。

紹介状を書いてもらうと大事になりそうで、会社には行けているしそこまでではないかも…と躊躇し紹介状は一旦保留したものの、休みの日に美容院に行ったら泣いてしまい、週明けになっても駄目だなと思ったので紹介状をいただき、先日心療内科を受診した。

私の地元には心療内科が2ヶ所しかなく、大きいところの精神科医とは数回お会いしたことがあり、かかりつけ医とも親しいようなのでそちらに。
前日病院に電話をしたら、新規の予約はとっていないそうで午前中に来るようにと言われたので9時くらいに受付をし、問診表やチェックシートを記入しながら待っていると名前を呼ばれ診察室の中へ。

思ったより広い空間にこれから担当してくれる医師がぽつんと座っていて、夜はギラギラしている印象だったのにギラギラ感が全くなく、
あれ?この人だっけかな?
と久しく会っていないこともあり思ってしまった。
それはきっと、髪型も変え、マスク姿でほぼすっぴんの私を見た担当医も同じであったでしょう。
言われてないけど。

どうもどうもと軽く挨拶をし、何を話したのか覚えていないけどたぶん症状を話し、これからの希望を聞かれ、これからすることの説明を受けたらなんと検査をするとのことだった。
ちょっとした薬が処方されるだけかと思っていたので、おおごと…と若干ビビったが、考えてみればそりゃそうだ。
いきなり薬を処方されるほうがビビる。

しかし問題はこれからで、検査の項目は3つ。
その中に、私が最も苦手とされるMRIがあった。
(その他は心電図と採血)

私は幼少の頃から閉所恐怖症で、過去に1度受けたMRIで「もうMRIはだめだ…」と思い、その後MRIを受けろと言われても避けてきたのです。

担当医に「MRIは出来ない」と伝えたら、
「脳のMRIをとらなければならないし、うちのは横が空いているから大丈夫」
と説得され、年配の男性技士に連れられしぶしぶ撮影室へ。

確かに装置は開放的で、上からハッピーターンみたいな形のものが覆いかぶさるだけで、横は開いていた。

じゃあ大丈夫でしょう?と思うでしょ?

問題がもうひとつ。
私はもともと長い間じっとしていられなくて、そわそわ動いてしまい、動けないとわかると強く不安になってしまうのです。
強い不安。これは今回の症状の一つでもあり、横が空いているからいいでしょ、という話ではない。

とりあえず、靴下を脱ぎ(脱がなくてもいい)、ベルトを外し(外さなければならない)、ベットに仰向けになり頭を固定しないでほしい(固定していると思っただけで動かしたくなる)とお願いし待っていたら、
プラスチックでできた柵みたいな、剣道のお面のようなものを見せられ、「できない」と言ってはみたが「これは絶対しないといけないから」と顔の上に設置された。

それは大丈夫だったので、じゃあ始めまーすと覆いかぶさってきたハッピーターンの距離が思いのほか近く、
「こわい、こわい」
と言ったらひっこめてくれた。

「5分を4回我慢すれば大丈夫だよ」
「音がしないときは頭を動かしてもいいよ」
「音楽は好き?あなたが好きな音楽をかけようか?」

と、私を連れてきた技士と、奥から出てきた同じくらいの年齢の男性技士、年配男性ふたりが困ったなという顔をして私を見ているけれど、怖いものは仕方ない。
それに私は心が弱っているからここに来ているのでMRIを受けられなくてもしかたないと開き直り、希望を全部言おうと変な覚悟を決め、技士がかけてくれた音楽をBGMに、連れて来てくれた技士に、
「手を握ってもらってもいいですか?」
と言ってみた。
技士は若干面食らっていたが手を握ってくれて、結局撮影終了まで私に付き合わされることになった。

撮影が始まり、最初は手を握っているだけだった技士は私がソワソワし始めると空いているほうの手で腕を軽く叩いてくれたり、両手を握ってくれたりして、なんとか無事に撮影することができた。
後半なんだか自分が情けなくなり、ハッピーターンの下でしくしく泣いてしまい、技士はそれを怖くて泣いているのだと思ったのか、バリエーションをつけてトントンと体を叩いてくれた。

無事に終わってよかった。動かなかったみたいだし。
感謝の意をふたりに伝え、撮影室を後にした。

診察室に移動中、手を握ってくれた技士に、
「MRI撮れたからね。今度は自信を持っていいよ。」
と励ましてもらった。
手を握ってくれたことには触れなかったので、気まずい空気にならなくて済んだ。

診察室に戻り担当医に「大丈夫でした?」と聞かれ、
「手を握ってもらって撮りました。」
と答えたら、ぽかんとしていた。

あんまりいないのだろうか?
閉所恐怖症の人、どうやって撮っているんだろうか?
我慢すれば大丈夫だったのだろうか?
我慢できない場合は?

心が元気だったら我慢できた?
と考えてみたけど、一瞬で、
いや、無理だな
と思ったので、ほかの病院に行く時はMRIの形状を調べ、手を握ってくれる人がいるかどうかで決めようと思う。

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