うどんとおにぎり
MRIの後、心電図撮影は問題なく終え、診察を待っている間スマホを見たら連絡が入っていた。
今仕事でS市(と言っても私の職場から車で30分ほどかかる市)に来てるんだけど、奇跡的に近くにいない?
と、車で2時間ほど離れたところに住むY氏からだった。
Y氏はいつもこの調子で連絡をくれる。
そして私がそのタイミングでS市にいることはあっても、ゆっくり会える時間にいることはまずない。
が、私は奇跡的に会社を休んで、奇跡的にS市の病院に来ていた。
何時まで時間あるの?
と連絡をしたら、ちょうど市内のうどん屋さんに入ったばかりだというY氏から、
13時までFに行くんだよ
との返事。
なんと、私がいる病院はFの近く。
午後の診察までお昼をとるように言われたので病院を出て、近くのコンビニでY氏と待ち合わせた。
コンビニでおにぎりを買っていたらY氏がニコニコしながら入ってきて、
「ヨチコねえ、髪切った?」
「切った、切った」
と他愛もない話をしながら私の車へ。
Y氏が食べたうどんの話などした後、隠すことでもないので
「今日は心療内科を受けに来たんだよね」
と話した。
おにぎりを食べながら、最近あったこと気持ちなどを話す私を見ながらY氏は、うんうん、と聞いてくれて、
「でも今日はY氏に会えたから、きっといいように進むような気がするよ。」
と言ったら、
「そうだね!今日会えたのも運命だね!」
と、さすがグットデザイン賞を取った人は言うことが違うなあ、と感心する返事だった。
MRIの話をしたら、
「ネタじゃん」
と笑われた。
午後からまた診察で、今度こそ泣くやつかもしれない~と笑いながら別れた。
本当にいい方向に進むような気がした。
病院に戻り、採血をし、担当医との今日最後の診察。
MRIも心電図も異常ないとのことで、最初より少し突っ込んだ話と、今考えられることはこれだからこの薬を飲んでみようか?と、安定剤は抵抗ある?とか、体調と気持ちと相談しながら、漢方薬と数種類の薬を処方してもらった。
全然泣かないなと思ったら、心理カウンセリングは次回とのこと。
カウンセラーさんと日にち相談してね、と言われ、ああ、絶対泣く。絶対吐くくらい泣く。と思っていたら、診察終了間際担当医に、
「どうする?会社行く?」
と聞かれた。
実は診察の始めに、仕事はどうですか?と聞かれていて、それに沿った質問だったのだけど、その日1日は調子もよく(MRIの時以外は)全然会社に行ける感じだったので、改めて聞かれて驚いてしまい、
自分の返答次第でこの先が変わる
と思ったら、怖いような明るいような変な気分になって、
「とりあえず行く。」
と答えて診察室をあとにした。
なんとなく、強力な印籠を手に入れたような気になった。