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月次決算は重要(だが好きになれない)

スタートアップのCFOをやって分かったことシリーズ

月次決算は経理の重要なルーチンワーク

最近SansanのBill Oneという製品のTVCMをよく目にします。Sansanといえば名刺管理の会社というイメージが強いですが、月次決算領域に拡大してきましたね。CMのテイストは名刺管理のときと似ていてくすっと笑いを誘う感じです。

経理は経営管理の略語ですが、その中でもタイムリーな経営管理のために月次決算は毎月の重要なルーチンワークとなります。ルーチンワークだから簡単に思われがちですが、実際はそうでもなかったりします。

月次決算の概要

月次決算ですが、毎月取締役会等において前月の実績を確認して対応策を検討するために使うのが主な目的となります。多くの場合取締役会は月半ば(10営業日)頃に行われます。したがって月次決算の仕事は逆算してこのタイミングまでに終わらせなければなりません。以下に標準的な月次決算のスケジュール例を記します。

図1.月次決算スケジュールの例

月半ばの取締役会に間に合わせようとスケジュールを逆算すると、だいたい図1のようになると思います。時間的余裕はぜんぜんありません。したがって月末に締日を迎えた後から経理部門は祭り状態になります。

月末
現場部門の人は経理を意識して仕事をしている訳ではないため、リマインドしないと忘れることがあります。そのために出し忘れを防ぐために事前に声がけしておく必要があります(声がけしなくても回る組織はとても優秀だと思いますが、ほぼ無いと思っていいでしょう)。

第1~3営業日
現場から集まった請求書や経費精算を会計システムにて登録するのに許される時間はせいぜい3営業日と思われます。例えば、経費精算などマメに出す人はほとんどおらず、大抵月末月初にまとめて出してくるので、分量が多いのに短時間で処理が必要なので極端に負荷が集中するという構造的問題を抱えています。また経理業務を知らない人は会計システムに登録したらそれで終わりと思っているかもしれませんが、その後には決算整理という業務が待ち構えています。

第4~9営業日
会計システムへの登録が終わったら決算整理を行います。決算整理で何をするかというと凡そ以下になります(詳細は割愛します)。
・現預金の残高確認
 会計システム上の数値と預金通帳や現金の残高が合っているか確認
・棚卸、仕掛品の確定
 在庫や仕掛品の内容を確定し計上
・仮勘定の整理
 仮払金や仮受金などを適正な勘定に計上
・経過勘定の計上
 未払い費用や前払い費用を計上
・減価償却費や税金等の計上
 年間費用を見積り1ヶ月分に分配して計上
会計システムによっては上記を自動的に行ってくれるものもありますが、自動的に行われた結果が妥当なものかどうかは確認する必要があります。
決算整理を行いながら、月初に集まり切らなかった請求書等がないかのフォローも行うことになります。
決算整理が終わったら、決算書(試算表)を作成します。
中心は、BS(貸借対照表)とPL(損益計算書)になると思いますが、よくあるのが、部門別に分解して見たいとか製品別に分解して見たいとかいう話です。実はこれらを見るためには会計システムに登録する段階でフラグや補助科目、メモ等を付与しておく必要があります。
したがって月次決算でどこまで分解して見たいのかを会社として決めた上で経理業務に落とす必要があります。後から言われて困るというのもよくある話かと思います。

以上が月次決算の概要になります。経営の上手なかじ取りのためには必要な重要業務であるのですが、個人的には好きになれない業務でもありました。たぶん立場的にある程度数字は把握できている中で、過去の数字の整理より未来をどうするかにより興味があったのが理由かなと思っています。

追伸)スタートアップのCFOをやって分かったことシリーズでは備忘の意味も込めて書き綴っています。各種質問やこんな話題を取り上げてほしい等のリクエストがありましたらご連絡いただければ幸いです。


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