見出し画像

資金調達した後やること

スタートアップのCFOをやって分かったことシリーズ

調達前より調達後

資金調達ができるまでの準備や交渉、事務手続きなどはとてもたいへんですが、資金調達ができたからといってそれで終わりではありません。その後もVCや銀行とのお付き合いは続いていきます。どんなお付き合いの仕方になるかはそれぞれの会社によって違いますが参考までに一例を挙げてみます。

対VC

資金調達の契約時、VCから取締役会等へのオブザーバー出席の権利が条件として出されることが多いと思います。特にリードVCは大株主となり発言権を得るため経営への関与度合を高めて不要なリスクを排除したいと考えます。そこでVCと密なコミュニケーションを取る手段として月次で報告会を実施しました(当時取締役会は意思決定の場の意味合いが強かったためVC向け報告会を設定)。報告内容は、売上・利益、営業状況、開発状況、HR系、Finance系、課題・リスク等、ありがちな内容です。VCからは各種ツッコミを受けますが、資金を出した以上は同じ舟に乗る仲間となり、時に必要な支援をしていただけるので、VCとのコミュニケーションは人間関係構築の意味合いも含めて大切な場となります。ちなみにVCによっては報告の時間がもったいないのでレポート提出だけでよいとするスタンスのところもあると聞きました。いずれにしても第二第三の資金調達があることを考えるとVCとの関係性維持は重要な仕事になります。

対銀行

VCと比べると銀行とのコミュニケーションは薄くなります。銀行から特に何かを求められるということはなく半期に一度くらい決算書を提出して状況を共有する程度でした。銀行から見ると貸したお金が金利と共に返ってくればよいというのが第一義になるためと推察しています。まだ信用の低いスタートアップは通常信用保証協会の保証付き融資になるので取りっぱぐれになりにくいということもあるかもしれません。もう一つ銀行とのコミュニケーションが薄くなる要因として異動があると思います。銀行で異動が多いのは有名な話ですが、本当によく担当者が変わります。ひどいときには1ヶ月で担当者変更みたいなこともありました。これが結構迷惑な話で担当者が変わるたびに事業説明の時間を求められ時間が削られるのはどうにかならないかと思いました(お金借りているのでむげには出来ないものの行内で情報共有しておいてほしい)。

対社内

資金調達が終わったら社内にも気をつけないといけません。お金が入ると気が大きくなってみたいな話はよくありますが、実際に気が緩む傾向が見られます。調達できたら給料が自動的にアップすると勘違いする人もいたりして目が点になります。自分が稼いだお金だったらいくらでも自由に使っていただいて結構ですが、調達したお金は他人のものです。野放図に使っていいはずがありません。それまで苦しんでやっと調達できたのに、そのお金が無駄に使われては困ります。意外とこの対社内コミュニケーションは重要なので留意すべきポイントだと思います。

追伸)スタートアップのCFOをやって分かったことシリーズでは備忘の意味も込めて書き綴っています。各種質問やこんな話題を取り上げてほしい等のリクエストがありましたらご連絡いただければ幸いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?