士業の先生をうまく使いこなす
スタートアップのCFOをやって分かったことシリーズ
関連法規が多い管理系業務
今日は少しファイナンスの話から外れた話題になります。
管理系の仕事には関連する法規がたくさん存在します。それを統括して対応するのがCFO役割のスタートアップも多いと思います。ただそうは言っても各領域毎に専門性が求められるため、すべてをカバーできるスーパーCFOはまずいないので自ずと士業の先生に頼りながら業務を進めることになります。
主なところでは、
一般的な法律関係、特に契約まわりについては、弁護士先生
決算をはじめとした税務関係については、税理士先生
働き方に関わる人事・労務関係については、社労士先生
会社の登記関係については、司法書士先生
特許や商標などの知的財産については、弁理士先生
が関係してきます。
各先生はその領域の専門家でありますが、会社の運営の目線からどの先生にどのタイミングで何をお願いするかは実は大切なことだったりします。
士業の先生をうまく使いこなす
士業の先生をうまく使いこなすにあたり2つの視点があります。1つは費用であり、もう1つは見解に関するものです。
まず費用面ですが、通常士業の先生は、顧問契約で月数万円(〇〇時間以内)、スポットだと数万~数十万円という設定が多い感じですがすべてを頼ると相当な費用がかかることになります。
スタートアップの管理部門ですがそんなにコストをかける訳にはいきません。できれば事業部に多くのお金を使いたいというのが本音です。そこで顧問契約で最低限の部分は押さえつつ、どこまで自分たちでやってどこから士業の先生に頼るかを切り分けて運用していくのが現実解になると思います。
一例を挙げれば、契約書のレビューについてはNDA(秘密保持契約)のような簡単なものは自分たちで完結し、複雑で難易度高め(=リスク高)のものは先生にお願いするという具合です。ただその難易度を測るために自分でも契約書を読まないといけないので結果的に自分にもレビューのノウハウがだいぶ蓄積することになりました(CFO時代にレビューした契約書は千通を超えてます)。
次に見解に関するものについてですが、士業の先生はその道の専門家です。そして専門家であるが故に厳格な見解を出してくることが往々にしてあります。例えば、個人情報保護法という法律があります(とても複雑で難易度が高く文面を100%遵守できているところはないのではと思える法律です)。
自社のサービスが抵触するか否かについて検討する場合、まだ事例の積み重ねが少ないグレーな領域の場合、弁護士先生からは保守的な見解をいただく場合も少なくありません。ただしその見解に基づいてサービスを実装しようとするとコストパフォーマンスが合わない場合もあり得ます。そのようなときは先生の意見は尊重しつつ、サービス実現手段の構築を優先して、法の解釈や条件について議論を重ねることが重要な仕事となります。
士業の先生はとても頼りになります。しかしあくまで主体は自分たちであり先生たちをうまく使いつつ事業を成長させていくメンタリティが求められます。
追伸)スタートアップのCFOをやって分かったことシリーズでは備忘の意味も込めて書き綴っています。各種質問やこんな話題を取り上げてほしい等のリクエストがありましたらご連絡いただければ幸いです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?