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2024年IPOまとめ(監査法人/主幹事証券)
スタートアップのCFOをやって分かったことシリーズ
2024年にIPOした企業は93社
あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
昨年末、2024年にIPOした会社について企業価値の観点から振り返ってみました。その続編として支援者(監査法人や主幹事)について振り返ってみたいと思います。
2024年上期については以下をご覧ください。
監査法人
前回、監査法人の役割は大きく2つ、「財務諸表の監査」と「内部統制の評価」があること、また監査難民問題があったことを書きました。
図1に2024年全期の結果を記します。EY新日本、あづさ、トーマツ、PwC Japanの大手4法人を抑えて一番多かったのは太陽監査法人でした。そしてこの5法人でシェア6割(上期と傾向は同じ)。
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さて準大手だった太陽監査法人ですが実は監査難民問題の裏で急拡大を図っていました。ある意味監査難民問題の救世主だったわけです。そしてその影響かどうかわかりませんが、2024年暮れに行政処分を受けてしまいました。
上記以外の中小監査法人ですが、上期は12法人だったのが、全期では18社と存在感を増しつつあります。下期には、
清陽、アヴァンティア、コスモス、Mooreみらい、シドー、HLB Meisei
が新たに登場してきました。
主幹事証券
主幹事証券についてはトレンドがそれほど変わっていません。ただし2024年については、他社と比較してもSMBC日興証券の取扱件数が他社よりも多かったことが特徴的でした。
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さて主幹事ですが少し違った角度から見てみましょう。
スタートアップの素朴な疑問として、主幹事証券によって時価総額は変わり得るのかというものがあります。答としては”企業の実力に依存する”ということになるのですが一つ面白い現象があります。
図3は2024年にIPOした会社を12月27日時点の時価総額順(100億円以上)に並べたものです。三菱UFJモルガン・スタンレー証券は7件の主幹事でしたが、単独は1件のみで他は共同主幹事でした(元々共同主幹事という形をとることが多い)。そして、図3には7件すべてが登場しています。ということは三菱UFJモルガン・スタンレー証券は大型案件に登場することが多い傾向にあることを示しています。
主幹事証券とは相性の問題もありますし、特段三菱UFJモルガン・スタンレー証券をお勧めするわけではありませんが、このようなことも主幹事証券選定のヒントとして覚えておくとよいかもしれません。
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追伸)スタートアップのCFOをやって分かったことシリーズでは備忘の意味も込めて書き綴っています。各種質問やこんな話題を取り上げてほしい等のリクエストがありましたらご連絡いただければ幸いです。