がん患者の心理的状態を理解して、投薬の苦手意識を克服しよう!
「がん患者さんってあまり話過ぎちゃいけないかなと思って」
「質問しても結局なんて答えればいいか」
「がん患者さんに対してどう接すれば良いか分かりません!」
そんな悩みを感じたことはありませんか?
実は薬局薬剤師の人(特に1~3年目)はがん領域に対して抵抗感もあるせいかこのように感じる人が多いように思います。
一言お伝えするのであれば、「それは気にしすぎ」です。
逆に患者さんと積極的に(もちろん相手の状況を見た上で)関わることが重要です。
今回は、ほぼ毎日のようにがん患者さんと接してきた私がその悩みを解決していきたいと思います。
がん患者の心理的状況の変化
まずは、がん患者さんの心理状況の変化はどのように変化していくのでしょうか?
実は一定の心理が続くわけではなく、経時的に変化していくものなのです。
キューブラー・ロスの5段階モデルというのを聞いたことがありますか?
がん患者さんは診断を受けてから、「否認→怒り→取引→抑うつ→受容」という心理状況を辿るとされています。
下の図のように、実際には「否認⇔怒り⇔取引⇔抑うつ⇔受容⇔否認….」を繰り返していることがほとんどです。
採血で数値に変化があった時、CT検査で病態の悪化が判明した時、化学療法が変更になる時など様々なイベントがあり、常に心理状況は変化すると認識しておくべきことが重要です。
がん患者に対する薬局薬剤師の悩み
糖尿病や心不全、慢性腎不全など非常に管理が必要な薬剤を服用している患者に対しては投薬の抵抗感が少ないにも関わらず、なぜ「がん患者にだけ」抵抗感があるのでしょうか。
おそらく大きな原因として以下の2つが挙げられると思います。
化学療法に対する知識不足
がん患者は不安が多く傾聴が良いだろうという固定概念
これらの原因を元に悩みの解決のきっかけを作っていきます。
化学療法に対する知識不足
新薬の開発や適応拡大による治療の流れが刻々と変化する中で、化学療法に対する知識を随時補完するのは非常に難しい問題です。
これはがん専門薬剤師でさえ苦労するので当然のことだと思って良いと思います。
私の記事には基礎的な事から実践で役立つことを投稿していく予定なので参考程度にしてもらうと少しは楽になるかと思います。
また、ご自身で知識を補完するのであれば、初学者におすすめの方法があります。
薬局でよく出る抗がん剤を把握する(どの診療科で処方されているかを含めて)
代表的な副作用を3〜5つ抽出する
それぞれの副作用についてのフローチャートを作る
これらを行い、実践していくことで患者さんとの対応もどんどん慣れてくるでしょう。
副作用のフローチャートなんて難しすぎる!という人はコチラでフローチャートの紹介もしているので参考にしてみてください!
傾聴が良いだろうという固定概念
辛い気持ちになっている患者さんの気持ちを受け止めることは非常に大切です。
だからと言って、傾聴だけで済ませるのが正しいのでしょうか?
薬局に来るがん患者さんで、傾聴が必要な人は抗がん剤の使用やオピオイドを使用しているケースが多いかと思います。
つまり、患者のつらい気持ちの原因には抗がん剤による副作用や疼痛などの苦痛がある可能性が高いです。
薬剤師であるのに、それも医師任せ・傾聴のみで終わらせてしまうのでしょうか?
適切な聴取を行い、積極的に患者へ介入していく姿勢は非常に重要です。
全ては「接し方」で変わる
刻々と変化する心理状況であったとしても、患者としては漠然でかなり大きな不安を抱えているのは、まぎれようもない事実です。
傾聴を前提としたうえで、日常生活へのちょっとした意識付け、頓服薬剤の使用方法などを行っていきましょう。また、CTの結果で病状が改善傾向にある場合には一緒に喜びましょう。
そういった形だけではない共感というのは、患者さんは感じ取っているなと働いていても感じます。
まずは患者さんとの信頼関係を結ぶようにしていきましょう。
あくまでも「医療者ー患者」ですが、「人ー人」というような関係づくりが望ましいと考えます。
接し方次第で、患者さんの反応もガラリと変わりますし、関係性を築けた方が患者さんにとって利益になるような介入も行いやすくなります。
がん患者さんの心理状況を理解した上で、積極的に傾聴と共感、日常的なアドバイス、そして薬剤師的な介入を実施し、信頼関係を築いていきましょう!
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