前立腺癌StageⅣ患者との会話│患者さんの心理とは
今日、ずっと担当させてもらっているがん患者さんとの会話が衝撃的だったため、個人情報を伏せて紹介しようと思います。
私は、外来がん治療認定薬剤師の資格を持っていますが、がんになったことはありません。
それに関わる患者さんはほとんど自分より年上です。
どのような生き方をしてきて、精神的・肉体的負担を経験しながらどのように感じてきたのか。聞くたびに感情移入してしまいます。
患者さんの状況
70代の男性で前立腺癌StageⅣと診断され、ビカルタミドとリュープリンを使用したが転移し、イクスタンジやアーリーダなどの第2世代ホルモン薬でもがんが増悪。
ドセタキセルも不応でカバジタキセルを使用していました。
CTの結果では肝転移が増大し、もう治療がないという状況となっていました。
患者さんの言葉│どんな心理?
「もう十分生きたから・・」
「いつ○ぬか分からないって言われたのはショックだよね。」
「自分がもしもの時の準備は出来てる。でも、今の状況をどう家族に伝えればいいのか分からないんだ。」
そう目の前ではっきり言われたとき、何と答えるのが正解なのでしょうか。
一般的には「傾聴と共感」なのでしょう。
ただ、言葉として聞いたことがあるのと、実感するのは全くの別物だと改めて感じました。
がんの診断を受けてからの心理では「否認→怒り→取引→うつ→受容」の段階で進むと言われています。
状況的には「受容」の段階と捉えることが出来ますが、私が実感した感覚では、「受容⇔否認」を行ったり来たりしている印象でした。
受け入れているように見えて、それでもやはり生きていたい。でも現実はそううまく変わらない。そんな葛藤を抱いていると肌で感じました。
全ての人と同じような話が出来るわけではないですが、どの患者さんでも同じような葛藤を抱いているんだろうと思います。
薬剤師としてどう対応するべきか
これはあくまでも私個人の考えですが、「傾聴と共感」は重要だと思います。
自分の気持ちをまっすぐ受けてもらえたら気持ちが少しでも楽になることもあるでしょうから。
しかし、それだけになっては足りないと考えていて、薬剤師として患者さんの負担を薬剤面からサポートしていくのがベストかなと。
もちろん薬剤を増やすだけでなく、服用薬を整理することも患者さんの負担軽減につながります。
これからも患者さんと話を積み重ね、対応してできるだけ苦痛の少ない生活ができるようサポートしていこうと心から感じた一日でした。