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【重要】抗がん剤治療の流れと薬剤師にできること

こんにちは、薬剤師よっちゃんです!

抗がん剤の流れって皆さんご存じでしょうか?

特に保険薬局では、「いつもと違う抗がん剤が処方されてるぞ!?」って戸惑うことありますよね。

あるいは、「抗がん剤の処方がなくなってる!?」となることも。

今回はそんな疑問を解決するために、抗がん剤治療の流れをおさらいしていきたいと思います!

抗がん剤治療の目的

まず抗がん剤治療の流れをお話する前に、治療の目的を知ることが重要となります。

目的が異なれば治療の流れも変わるからです。

具体的にいうと、以下の2つです。

  • 術後補助化学療法(Adjuvant-chemotherapy

  • 切除不能な進行再発への化学療法

術前化学療法もありますが乳がんなどでがん種が限定的なため今回は割愛致します。

<術後補助化学療法>は、手術後に行われる化学療法で再発予防を目的としています。

リンパ節へ転移している場合では、画像検査では見えない腫瘍(微小残存病変)の可能性があり再発のリスクに繋がるためです。

ただ、投与期間が決められていることが特徴的です。

一方で、<切除不能な進行・再発への化学療法>については、遠隔転移を有する進行がん(StageⅣ)や術後補助化学療法など行った後に再発した時に用いられる治療です。

目的としては、根治が難しいため「がんの進行を抑える」という事が目的となります。

治療を中断してしまうと抗がん剤による進行抑制がなくなるため、原則として抗腫瘍効果が得られている限りは続けることになります。

抗がん剤治療の流れ

治療の目的と把握した上で、次にざっくりした流れを見ていきましょう。

術後補助化学療法

手術 → 化学療法(一定期間実施)→ 定期検査

の流れになります。がん種によっては、薬剤を変えて一定期間追加することもありますが、期間が決められていることに変わりはありません。

例えば、乳がんでAC療法4コース実施後にホルモン療法5年など。

治療中や治療後に定期検査をして再発がないかをチェックしていく。という流れになります。

再発が見つかった場合、切除不能な進行再発への化学療法に移行することになります。(切除可能な場合はその限りではない。)

切除不能な進行再発への化学療法

化学療法(定期検査行いながら)→(増悪や副作用不耐な場合)レジメン変更。という流れです。

先ほどもお伝えした通り、切除不能な進行再発の化学療法は効果が続く限りは継続します。

効果の判定は画像検査が必要ですので治療中も定期的に検査を行います。

腫瘍マーカーは目安となり数値の変動に応じて検査が追加されることもあります。

検査の結果、PD(Progressive-Disease:増悪)という判断になった場合、現在行っている治療ではがんの進行を抑制出来ていないと判断され、次の治療(レジメン)に変更となります。

また、病状に関わらずアレルギーや支持療法を行っても副作用がコントロールできない場合に関しても治療継続は不可能と判断され次の治療に変更になるケースがあります。

多くはPDになりレジメン変更になっている印象です。(感覚的には95%くらいはPDによるレジメン変更

保険薬局で気を付けておきたいポイント


今回治療の流れを把握しようという事でしたが、それで終わっては勿体ないなと感じたので、実際の業務中に気になるポイント、これはやってほしいなっていうポイントを共有しようと思います。

一番困るのは「患者さんにどう話せばいいんだろう。。」という事かなって思います。

これは若手に限らずベテランの薬剤師さんでも迷うポイントでもあります。
実際僕も悩みます。

後はレジメン変更だった時ですね。使用する抗がん剤が変われば副作用の種類も変わりますので患者さんのフォローが重要となってきます。

それぞれ考えてみましょう。

患者さんへの声掛け

例えば、「こないだの治療は効果ないって言われて使用する抗がん剤が変わりました。」このようなやり取りをしたときにはどうしたら良いのでしょうか?

答えは決してないと僕は思っていますが、患者さんごとに伝える内容を考える必要があります。

  • 治療目的の理解度

  • 治療変更による副作用への不安

  • 残された時間への焦りなど

かなり多くの不安や負担を患者さん、その家族は感じています。

全てを薬剤師だけで対応するのは不可能ですが、対応できることもあります。

薬剤師の力が発揮できるのは副作用への全力サポートや患者さんの治療目的の共有だと考えています。

たまに、「進行再発」の治療を行っているのに、がんがなくならない。と悩む方もいます。

いわゆる「逃避」の状態になっている可能性もありますが、キチンと治療の目的を把握できていないと精神的な負担になりかねませんし、副作用を過度に我慢してしまうというデメリットも生じてしまいます。

僕は必要に応じて薬局でもこのようなお話をして「がんと上手く関わっていくための治療ですので、、」とお伝えするようにしています。

副作用へのフォローアップ

これは僕の働いている薬局では常に周知していることですが、治療(レジメン)が変更になった時は必ず電話によるフォローアップを提案していこう!という事です。

使用する抗がん剤が変われば、副作用の種類や程度が変わってきます。

患者さんはレジメン変更による不安感を強く感じており、その上で新しい治療による副作用にも怯えることになります。

副作用を適切に評価し、副作用の発現防止や症状緩和、早期発見していくのが薬剤師の領域だと思います。

電話などを用いて治療後から次回受診までの間の状況を確認し医療機関と情報を共有していきましょう。

その状況に応じて医師へ支持療法の提案などが行えると患者さんの不安感も軽減することが出来ますし、治療に対する心持ちも変わると思います。

まとめ

抗がん剤治療には、術後補助化学療法と切除不能な進行再発への化学療法の2つの主な目的があります。

特に切除不能な進行再発の化学療法はがんの進行を抑制するため、効果が続く限り継続されます。

治療が変わる際には、患者への説明や副作用管理が重要で、特に患者の不安に寄り添い、適切なサポートを行う事が必要となります。

治療の流れを理解することで、患者さんの置かれている状況も把握できるため、情報を上手く収集し患者さんの対応に活かせてもらえればと思います!

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