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【注意】添付文書見てない?副作用フォローの落とし穴

こんにちは、朝からジャズミュージックを聴きながら休みを堪能しているよっちゃんです。

今回のブログのタイトルを見て「ドキッ」っとした方は多いはず。

なんてったって、薬剤師が現場で一番よく参考にするのが添付文書であり、副作用についてもこの媒体を使用するからです。

なぜ「抗がん剤の副作用フォローに添付文書を見ることは落とし穴」なのか解説していきたいと思います。

特に、抗がん剤は副作用が多くて、何を聴取すればいいか分からない。と悩む人にはぜひ読んでいただきたいと思います。

添付文書の項目内容

まずそもそも添付文書の副作用項目ってどのように成り立っているかご存じでしょうか?

基本的には臨床試験で認められた有害事象(因果関係を伴わないものも含む)が記載されており、特に先発品であれば発症頻度も細かく記載されていることが多いです。

添付文書の副作用欄に記載されている内容は必ずしもその薬剤が原因ではないという事が非常に重要なポイントです。

しかし、抗がん剤の副作用欄の注意点は他にもあります。

抗がん剤の副作用欄の注意点

先ほどは、添付文書の副作用欄を確認する上での注意点をお伝えしましたが、抗がん剤ではさらにどのような点に注意をしなければいけないのでしょうか?

…なにか思いつきましたか?

ヒントをお伝えすると、抗がん剤以外はおそらく単剤で試験されていることが多いと思いますが、抗がん剤はどうでしょうか?

そうです。

抗がん剤では単剤で使用するものもありますが、併用することも多々あります。

そのため、一つの抗がん剤の添付文書を見ても、もしかすると他の抗がん剤による副作用のものが記載されているのです。

具体例の紹介

実際にどのようなことなのか具体的な例を元に説明していきたいと思います。

ベバシズマブ(アバスチン®)投与患者

ベバシズマブはVEGF阻害薬(血管新生阻害薬)と呼ばれており、腫瘍周囲の血管環境の正常化を行い、過剰な栄養の供給を阻害したり、抗がん剤を腫瘍に到達させやすくするという特徴を持っています。

その他の影響もありますが、主に、高血圧や出血、タンパク尿などが副作用としてよく知られています。

しかし、添付文書には末梢性感覚ニューロパチーや下痢、口内炎などの報告が5%以上と記載がされています。

これは果たしてベバシズマブの影響なのでしょうか?
併用する抗がん剤との相乗効果により…というのは考えられますが、あくまでベバシズマブ単剤での副作用としては何とも言えないのが現状です。

添付文書に記載されている臨床試験の情報では、他の抗がん剤と併用しているケースがほとんどです。

ベバシズマブが使用される中で大腸がんに対してはかなり使用数が多いと思います。
併用するものとしてはCAPOXやIRIS、FOLFOX、FOLFIRIが多いですが、オキサリプラチンやイリノテカンが使用されているという事は、末梢神経障害や下痢、口内炎などはよく出やすそうな印象があるはずです。

このように抗がん剤の副作用を確認する時には、併用薬による影響も記載されている。という事をきちんと把握しておく必要があります。

もちろん、全ての副作用の項目が当てにならないというわけではないので難しい所でもあります。

副作用フォローに添付文書を丸のみしてはいけない

ここまで聞くと、

「え?じゃあ薬の副作用の確認をするときに添付文書は使えないじゃん!」
と思われるかもしれません。

副作用を把握する方法としては、2つあります。

1つ目は各薬剤の代表的な副作用を理解することです。
各薬剤の適正使用ガイドを参考にすることでその薬剤特有の注意点を把握することが出来ます。

メリットとしては、レジメンが変わっても同じ薬剤を使用していれば、副作用の評価が容易になること。また、適正使用ガイドには副作用発現時の対応が記載されているものもあり、支持療法提案の理由付けにもなります。

デメリットとしては、各薬剤の情報をみなければいけないので、最初はすごく時間がかかることです。


2つ目としては、レジメンごとに副作用を理解することです。
主に、参考書などを利用するとレジメンごとに分かりやすく副作用が記載されています。

メリットとしては、施設ごとに使用レジメンに偏りがある場合には、こちらの方法の方が効率は良いと思います。

デメリットとしては、レジメン変更になった際などの場合には新たに情報を更新する必要があることです。


個人的にがん領域の業務を行ってきた身としては1つ目の各薬剤の特徴を抑えることが非常に副作用を理解しやすくなると考えています。

ぜひ各適正使用ガイドをチラ見してみてください!

まとめ

今回重要な事としては、

  • 添付文書を鵜呑みにしないこと

  • 副作用の把握は適正使用ガイドがおススメ(個人的に)

という2点を改めてお伝えしたいと思います。

少しでも副作用に関する悩み、聴取することが多くて分からない。という方は参考にしてみてください!


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