今、何次治療??抗がん剤の種類で把握する
こんにちは、薬剤師よっちゃんです。
突然ですが、薬局で抗がん剤の対応をするときに、「○次治療」と意識しながら投薬している人はいますか?
「そんなこと知っても意味なくない?」と言われるかもしれませんがとんでもない!
「○次治療」か分かれば、症状を聞いたときに前治療の影響を考慮することが出来ますし、今患者がどの段階に立っているのかを予測することが可能です。
その予測が立つ事で、患者さんの気持ちを察することが出来ますし、患者さん自身もそれを感じ取ってくれます。
病院薬剤師は基本的にカルテが見れるので、治療経過を把握していますが、カルテが基本的に見ることが出来ない薬局ではどのように把握するれば良いのでしょう。
2次治療以降にしか使えない抗がん剤がある
冒頭でもお話した通り、病院薬剤師と比べて薬局薬剤師が把握できる情報は少ないのは事実です。
しかし、把握できないから無視してよいかどうか、知らなくても良いかという話とはまた別の話かと思います。
ここで、ちょっとでも患者さんの役に立ちたい、患者さんの経過をイメージしていきたい!という人の為に、ざっと説明していきたいと思います。
がん種ごとにまとめていくので、自分の施設によく来る患者のがん種の項目をご覧ください!
◆非小細胞肺癌◆
ラムシルマブ(サイラムザ®)
ソトラシブ(ルマケラス®)
肺癌は遺伝子情報により選択される抗がん剤が非常に多いです。
エビデンスのレベル的に2次治療で使われること多いよね!というのはありますが、適応上、上記の2剤が2次治療以降に使用されます。
◆乳がん◆
トラスツズマブ デルクステカン(エンハーツ®)
エベロリムス(アフィニトール®)
トラスツズマブ エムタンシン(カドサイラ®)*
*厳密に(カドサイラ®)は一次治療でも使用できますが、トラスツズマブやタキサン系の投与歴がなければ投与を推奨されていません。
術前、術後でこれらの薬剤を使用していない場合。ということが前提になります。
◆胃がん◆
パクリタキセル+ラムシルマブ(サイラムザ®)
トラスツズマブ デルクステカン(エンハーツ®)
イリノテカン(カンプト®)
ペムブロリズマブ(キイトルーダ®)
ニボルマブ(オプジーボ®)単剤
ロンサーフ®
HER2陰性の進行再発胃がんに対してニボルマブ(オプジーボ®)を使いますが、SOXに併用した形になります。ニボルマブ(オプジーボ®)単剤の場合はHER2陰性の進行再発胃がんの3次治療で使われることには注意です。
◆肝臓がん◆
レゴラフェニブ(スチバーガ®)
ラムシルマブ(サイラムザ®)
カボザンチニブ(カボメティクス®)
肝細胞がんの1次治療でソラフェニブ(ネクサバール®)やレンバチニブ(レンビマ®)が標準となり、2020年にアテゾリズマブ(テセントリク®)+ベバシズマブ(アバスチン®)【Atezo+Bmab】、2023年にトレメリムマブ(イジュド®)+デュルバルマブ(イミフィンジ®)【Treme+Durva】が1次治療で選択されるようになりました。
1次治療で選択されるレジメンが多くなるため、2次治療以降でもそれらの抗がん剤の投与が続くことがあるのがポイントです☝
◆膵がん◆
オニバイド®(nal-IRI)
遠隔転移を有する進行・再発膵臓癌の一次治療は、FOLFIRINOXとGEM+nabPTXという2つです。
オニバイド®(nal-IRI)はGEM+nabPTX後の使用が前提となっています。
ただでさえ、膵がんのエビデンスのある治療が少ないのが現状です。
FOLFIRINOX → GEM+nabPTX → nal-IRI+5FU/LVという流れで使用されている印象です。
◆大腸がん◆
ラムシルマブ(サイラムザ®)
アフリベルセプト(ザルトラップ®)
ロンサーフ®
レゴラフェニブ(スチバーガ®)
ペムブロリズマブ(キイトルーダ®)
大腸がんは多くのレジメンが存在しますが、2次治療からしか使えない薬剤、3次治療で使用される薬剤とある程度決まっています。
アルゴリズムに沿っているので治療の流れをみたい!という人はそちらを見るのをおすすめします。
◆前立腺癌◆
カバジタキセル(ジェブタナ®)
2023年に7年ぶりのガイドライン改定により第二世代ホルモン剤を含む治療アルゴリズムが記載されるようになりました。
ドセタキセル(DTX)使用後に増悪した前立腺癌に対して使用できる薬剤としてカバジタキセルを最後に紹介させていただきました。
前立腺癌に対する治療方針が大幅に変わったガイドラインの改訂だったため、再度まとめて共有致します。
それに関してはもう少々お待ちください!
抗がん剤の種類から推測して投薬に活かそう!
内服薬だけでなく、点滴の情報でも「○次治療」かを把握することが出来ます。点滴をしているという場合には、パンフレットを持参してもらうなどして情報を見てみましょう!
ただし、適応上は1次治療から使えるけどエビデンスの位置づけ的に1次治療以降に使用されやすいものもあるため、治療歴を追っていくことも重要です!
「今は○次治療か」を把握しながら投薬することで、今までと考え方や患者さんとの接し方が変わることを実感すると思います。
その上で、患者さんの気持ちに寄り添い、少しでも不安を解消させ対応できるなら支持療法や生活指導などの介入に役立てていきましょう!