2024TJAR Day6 南アルプス終盤
赤石岳
21時頃に荒川小屋を出発。
赤石岳への登りはそれほど苦手意識のない登り。ただ歩き始め、大聖寺平の先にあるはずの標柱がみつからない。そこで少し不安になる。ただ、道はあっている。慎重に道を確かめながら登り始めましたが、風が強く濃霧となってきたためわかりずらい。ヘッドランプで小さな印を探しながら登りしました。赤石岳のサーフェスは小石だらけ。そして、その映像はずっと変わらない。ヘッドライトで当てた部分の石がだんだんと顔に見えてくる。速く登りたいものの印を探すのに時間がかかりスピードが上がらない。その淡々とした時間は催眠術のようでした。
小赤石岳の山頂ふもとまでくると大きな岩が現れ、それが人になり、数人で何か打ち合わせが始まる。幻覚とわかっていながら意識を保つのがやっと。さらに稜線近くとなり風もさらに強く。そのあとどれくらい時間がたったのか、ふと、時計のアラームがなりみると見たこともない1kmにかかった時間は1時間20分…
そのあとだろうか。TJAR練馬グループLINEをみると、「よしけんさん、相当眠いでしょ」との文字、「眠い」と返信。IBUKIでも相当停滞していた模様。そのLINEで意識を取り戻し、小赤石岳、赤石岳に到着しました。
百聞平へ
前回はNHKの撮影があったため、奥深い場所でも撮影隊に会うことがありました。ただ、今回はそれがないため孤独感がさらに増したように思います。百聞平への下りは前回足を痛めた区間。膝上に負担がかからないよう下りました。途中の石の多い区間が歩きづらく、ときどき、足をぶつけて痛い。依然として風は強く、眠気も最高潮。次の百聞洞では、男澤さん・馬場さんがスタッフでいてくれるため早く着きたい。
眠い眠い登り、意識朦朧とし、瞬間移動もしてしまったため、風が少し弱いハイマツをみつけ、リュックを下ろし、そのままの格好でハイマツの下に入り込み目を閉じました。
30分から1時間くらいたち、風の寒さで目を覚ましました。目を覚ますと体が冷えているためすぐに出発。百聞平に無事到着しました。
暴風雨の聖岳へ
1時間ほどの睡眠で意識ははっきりしていたため、すぐに百間洞を出発しました。男澤さんから「関選手と駿谷選手は休んでいるからこれで順位はあがるよ」とのお言葉をいただきました。感覚的に無理をしている感があるため、すぐに抜かれるだろうなと思いながら、兎岳・聖岳の登りにとりつきました。お腹が空いてしまうため行動食を何度か取りながらゆっくりと進みました。兎岳の登りにとりつくころに後方に二つのヘッドライトが近づくのがみえてきました。夜明けも近づき、すぐに関選手、駿谷選手と分かりました。
兎岳へは一緒に登頂。関選手も駿谷選手も足取りは軽い。そして、振り返り赤石岳をみると赤石岳山頂に傘雲が。この時点では台風がそれることが分かっていなかったので、いよいよ台風・低気圧の到来を感じました。
ほどなくして、風が強くなり晴れていた空が荒れ始める。聖岳への登り、なんとか関選手、駿谷選手に後れをとらないよう登りました。そして、聖岳山頂手前では暴風雨。そんななか、山頂には応援の方々が待っていてくれました。そして、暴風の中、関選手も私の登頂を待っていてくれました。ラスボス聖岳の登頂を分かち合えた瞬間。関選手ありがとう。
聖平へ
聖岳の下りは、駿谷選手が先行。関選手、私という順で下っていきました。小聖岳山頂では一緒になったものの、両選手の下りは速い。前回足を痛めていた区間だったため無理をせずゆっくりと下りました。聖平に近づくと待ち受けている人の姿が。2022TJAR竹内さんでした。
スタート前、「自分を超えろ」との熱く優しい言葉。聖平では、「ここまでよく来た、ゴールまで自分を褒めろ。そして、鼓舞し続けろ!」とまた熱い言葉をいただきました。
2022TJARよりも、ここまで25時間程度の短縮。疲労や不安は感じていましたが、ここからどれだけ短縮できるか。挑戦はまだまだ続きました。