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22/23 第5節 グラナダvsジローナ 『質的優位×数的優位』  


▽スタメン

▷ジローナ 4-1-4-1

GK ガッサニーガ
DF クート / エリック・ガルシア / ブリント / グティエレス
MF サヴィオ / アレイシ・ガルシア / ロペス / マルティン / ツィガンコフ
FW ドヴィク

4節を終えて勝ち点10、マドリーに次いで2位につける好調ジローナ。ドヴィクとエリック・ガルシアが今季初のスタメン入り。ロペスがピボーテを務め、アレイシ・ガルシアがインテリオールに入る形に変更。

▷グラナダ

1勝3敗で16位と開幕から厳しい状況のグラナダ。前節からのスタメン変更は2名。
※メンバー紹介は省略

スタメン(左:ジローナ 右:グラナダ)

▽注目選手

・ジローナ

ツィガンコフ #8
緩急あるドリブルと正確なパスでチャンスを創り出すレフティー。共有力や戦術理解度が非常に高くミチェル監督が重用するのも頷ける。ウクライナ代表でも同僚のドヴィクとともにスタメンとして活躍中。

・グラナダ

ブライアン・サラゴサ #26
カンテラ出身の22歳。164cmと小柄な身体から、切れ味鋭いドリブルで好機を演出する。開幕4試合で2ゴールはチームトップ。さらにドリブル成功数の15回はリーグトップの成績。ここまでわずか2失点の堅守ジローナに、「アンダルシアのカミソリ」が立ち向かう。

▽対戦相手紹介

グラナダ
昨季のセグンダ覇者。1シーズンでプリメーラに返り咲いた。19/20シーズンでは、知将ディエゴ・マルティネス監督のもとプリメーラで7位に入りヨーロッパリーグ出場権を獲得した(結果はベスト8に入る大健闘)。グラナダにとって今季の期待の星、19歳のサム・オモロディオンが開幕戦でアトレティコ相手に大きなインパクトを残すと、なんと数日後にアトレティコへと電撃移籍。急遽エルチェからFWルーカス・ボジェを獲得した。4試合12失点と大崩れ中の守備を立て直せるか。

▽試合

▷前半

ジローナはスタメンの変更に加えてビルドアップの型も変えてきた。今節は、前節までCBを務めていたロペスがアンカー起用。ビルドアップ時はロペスがCB間に降りて3CBを形成。アレイシ・ガルシアがアンカーの位置に入る。つまり後ろで3-1の形を形成しているのだ。LSBのグティエレスが前節と同じく内側に絞り、マルティンと中盤を形成。左はサヴィオ、右はRSBのクートがワイドに張る。最前線はツィガンコフとドヴィクで縦関係の2トップを組む形だ。表記上は3-1-4-2、3-3-4といったところか。

ビルドアップ時には3-3-4ともとれる攻撃的な形に変化する。


この配置で注目すべきは「相手SBのピン止め」だ。セオリー通りに考えれば、両ワイドの位置があまりにも高すぎる。セオリーに反する、つまりCBからのパスコースが消えてしまう。ただこれが意外にも効果的だった。その理由は2つあると考える。
一つ目は「1対1の優位性」だ。相手最終ライン4枚に対してぴったり4枚をはめる。4枚の顔ぶれを見れば、ドリブル能力に長けた3人と圧倒的なフィジカルを備えるドヴィクだ。つまりボールが収まりさえすればかなりの優位性をもって攻撃できる可能性が高いのだ。相手がバルサ、マドリーなどの強豪となれば話は変わってくるのだが、下位チーム相手であれば個人の質で殴れるだけの質を十分に兼ね備えているのが今のジローナだ。
2つ目は中盤の立ち位置の良さだ。中盤に入るグティエレスやマルティンらのポジショニングが絶妙がゆえにグラナダのMFはかなり絞る必要が生じた。通常、サイドの選手があれだけ高い位置取りをすればCBからの直線的なパスコースは作りえないのだが、相手がかなり絞っているがゆえにCBからのたった一本のパスで4対4の状況を創り出せてしまうのだ。もしそのそのコースがなかったとしても最終ライン裏を目掛けて長いボールを送る、ここは前節と変わらないところだ。3分にはロングボールに反応したドヴィクが裏に抜けファーストシュートを放った。

セオリー通りに考えれば、高すぎる両ワイドの位置取り。
相手が食いついたところで裏を一発で狙うのは前節と同様だ。


21分、サヴィオがドリブルで相手3枚を一気に置き去りにすると4対3の数的優位の状況をつくる。逆サイドにいたツィガンコフにパスがわたると、背番号8は中に切れ込みコントロールショット。これがファーに決まり幸先よくジローナが先制する。質と数で上回ったシーンだ。

サヴィオがドリブルで三枚を置き去りにする。
4対3の数的優位を創り出したことで、ツィガンコフのフィニッシュにつながる。

30分にはサヴィオがバイタル中央から左足を一閃。スーペルゴラッソが右上に決まり0-2とする。36分には右サイドでのFKの折り返しからロペスが押し込み3点目。もはや前半でゲームが決まってしまったような展開だ。39分、狭いスペースをワンツーで攻略した崩し、42分にはサヴィオがドヴィクにクロスを上げていれば1点というシーンなど、尚もチャンスが続く。一方のグラナダはというと、ボジェのポストプレーやリカール・サンチェスの高精度クロスから何度かウズニがシュートまで持ち込むもネットを揺らすには至らない。前半は0-3とジローナが圧倒して終了した。
個人的に前半はサヴィオとクートに目が行きがちだった。サヴィオは状況判断の悪さが目立つものの、ドリブルで確実に1枚剝がせるのは強力な武器だ。2点目のゴラッソは今節の最優秀ゴールにノミネートされても何ら不思議でない。クートは積極的なプレッシング、内への切込みからのチャンス創出で大きく貢献していた。特にクートは90分持つのか不安になるくらいのイケイケ具合だ。

▷後半

後半の序盤はグラナダペースだった。グティエレスのミスを見逃さずシュートまで持ち込むもガッサニーガがセーブ。53分、ウズニが振り向きざまにシュートもここもガッサニーガがはじき出す。55分にはアレイシ・ガルシアがコーナーキックのこぼれ球回収後にボールロストしピンチを迎えるも失点は免れる。この不用意なプレーにガッサニーガはガルシアを厳しく咎めていた。グラナダは2枚替えを行い更に攻勢に出ると、62分にコーナーキックのボールがファーに流れたところをウズニが押し込み1点を返す。このシーンに限らずウズニのプレーにはよく歓声が上がっていたので、サポーターからかなり愛されている選手なんだなという印象を受けた。
さて、悪い流れを断ち切りたいジローナは前節勝利の立役者ポルトゥをツィガンコフに変えて投入。さらにドヴィク、マルティンに変えてストゥアニとエレーラをピッチに送り込む。ドヴィクは強靭なフィジカルを生かしたポストワークで起点にはなれるものの、そのあとのパスが酷いというのが正直な感想だ。まだ周りと連携を図れていない。テンポを崩さないようなプレーができるようになれば間違いなくミチェルのファーストチョイスとなるだろう。
ゲームに戻ろう。ポルトゥの投入から明らかにジローナに流れが傾き始めた。ポルトゥはピッチを流動的に動き回り、時には反対サイドまで行って攻撃テンポを上げようとしていた。72分には、ポルトゥのプレスが相手GKのミスを誘いストゥアニのシュートシーンを演出。80分にはグティエレスのインターセプトからポルトゥがワンタッチでストゥアニにスルーパス。どちらもゴールにはならなかったもののジローナは自分たちのペースを取り戻したかに思えた。しかし84分、右サイドからのクロスに途中出場のDiedhiouが頭で折り返すとボジェが冷静に押し込み2-3とする。ジローナは全体的に後ろ重心となり、フロントエリア、とりわけ相手SBへのプレスが中々かけられなかった。ゆえに余裕をもってクロスを上げられるシーンが続いていたのだ。もはや2失点目は時間の問題だった。前半0-3と絶望的な状況から一転、ホームのグラナダサポーターは大盛り上がり。もしかするとこのまま同点に追いついてしまうのではなんて空気感が漂った。でも今季のジローナは一味違う。「勝ち切る力」を持っているチームなのだ。88分左からのグラウンダークロスにストゥアニが触れるとボールはファーにいたクートの足元へ。相手が飛び込んできたのを見て、冷静に中へ切り返し左足でニアサイドを打ち抜いた。2-4。勝負あり。試合終盤、軽めのファールにイエローを出すレフェリーの判定に若干の疑問は抱いた。言葉を選ばなければゲームコントロールが下手。もっとうまく収めることができたはず。

ジローナは4連勝と勢いが止まらない。
https://x.com/GironaFC/status/1703876128018968608?s=20

▽総括

▷ジローナ

前節は左右非対称でインテリオール2枚の立ち位置もあやふやだった。それがグラナダ戦、立ち位置をはっきりさせたことで一人一人の役割を明確にすることができた。試合終盤の守備に課題は残るものの概して上手い試合運びだった。試合後にミチェルも言っていた通り満足いく内容・パフォーマンス。これで開幕5試合で4勝1分、マドリーとバルサに次いで3位。

▷グラナダ

前半の15分間で3失点。やはり失点が減らない。攻撃もボジェのポストワーク後に発展がない。注目のサラゴサは何度かドリブルで相手を剥がすも決定的な仕事はさせてもらえず。苦しいシーズンが続きそう。

▷MVP

ヤン・クート #21
チームの攻撃、守備を活性化。SB起用ながら幾度にわたる積極的攻撃参加、自慢のスタミナを存分に活かしたプレッシング、カットインからの好機演出、試合を決定づけるゴール。アルナウ負傷で空いた右SBの穴をどう埋めるかが鍵だったが、予想以上の活躍でミチェルの抜擢に答えた。

個人的MVPはクート
https://x.com/GironaFC/status/1703878779259572573?s=20

▷LaLiga第6節の予定

ジローナ 3位
vs マジョルカ 15位 (H) [9/23 21:00]



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