& episode 022
りんの挙式は、見事なもだった。
さすが、くにちゃんの同僚。世界を股にかけるスーパーサラリーマンの力強さは、本物だと思う。
世界が混乱に陥っても、必ず助けに来てくれるんじゃないか。
同性の僕ですら、そう感じる挙式だった。
あっぱれ。
本当に、幸せになって欲しい。
りんのあの日の涙を思い出しながら、改めて思った。
感動したのは、式の最中、二人のエピソードの中で紹介されたこんなエピソードだ。
「僕は彼女に3度フラれている」
と始まったモノローグ。
「一度目は、出会ってすぐのクリスマスの食事。僕レベルの男の誘いを断るわけないと自信満々でアプローチしたが、玉砕。二度目は、世界的にヒットした映画の誘い。これも玉砕。ぶっちゃけて言うと、合コンや出会いでほぼ100%の成功率を自負していた自分にはとても衝撃だった。
「すべてを揃えても、ふり向かない人がいるのか。」と。」
同時に、隣でデザートブッフェを待ち構える僕の愛しいくにちゃんは爆笑する。
「「家事やってあげたい。」「あなたに着いていきたい」「成長したいと思う貴方が好き」と散々愛の美辞麗句を受けてきた僕だが、これほど手に入らないもどかしさを感じたのは初めてだっだ」
「もどかしさのあまり、僕は彼女に聞いた。「どう在りたいの?」と」
映像は、新郎の気持ちを映すかのように真っ暗になった。
「彼女はこう答えた」
そして、
「同僚のくにこさんみたいに、全てを突破できる人になりたい」
と。
彼女はこう続けた
「尊敬してるんです。」
「出来ない。」と言ってしまえば歓迎される日本の女性の生き方の中で、ひたすら「出来ないは無い」と突き進むくにこさんの姿がとても眩しくて、女性の本能として感じるんです。「「私も」出来ないは「無い」」と。
シンプルに、「出来るって、「きれい」だな」って。
「そして僕はこう思った。」
スポットライトが、パッとくにちゃんに当たる。
「ライバルは、隣に居たのかよ!」と新郎のマイクパフォーマンスに、
くにちゃんはこう答えた。
「全力で仕事する君が居てくれるから♪」
と。
「僕が心を決めない訳が無い」
新郎は、マイクを力強く持ってこう言った。
「僕は、僕のこの奥さんの能力を最大限に解放することにする」
と。
そして、こう続けた。
「好きに生きて欲しい。ずっと働いていて欲しい。」
でも、と続けた。
「僕はとても弱い生き物だから、ずっと側にいて欲しい」
と。
二人の挙式の引き出物は、マリアージュフレールの紅茶だった。
http://www.mariagefreres.co.jp/wedding/WEDDING.html
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