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令和6年予備試験論文試験再現答案へのリンク

令和6年予備試験論文試験の再現答案の作成が終了しました。以下のリンクから全科目ご覧いただけます。答案の最後に各科目ごとに簡単なコメントも書いております。 憲法 https://note.com/yobiteki/n/n8ca7cc90e8ef 行政法 https://note.com/yobiteki/n/n8708a3a33ba7 民法 https://note.com/yobiteki/n/na7935fe0e87f 商法 https://note.com/yob

    • 令和6年予備論文 倒産法再現

      第1 設問1 1 未払い給料債権は、「破産者に対し破産手続き開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権であって、財団債権に該当しないもの」(破産法2条5項)にあたり破産債権となる。しかしそのうち、破産手続き開始前3か月間の破産者の使用人の給料の請求権は財団債権となり(法149条1項)、破産手続きによらずに随時弁済される。これは、使用人の破産手続き開始前3か月分の給料を破産手続きによらずに弁済することにより、生活に困窮する使用人を保護しようとするものである。  本件では、令

      • 令和6年予備論文 刑事実務再現

        第1 設問1 小問(1)  Kらは、本件車両が放置された現場の写真撮影を逮捕の現場での「検証」として、本件車両内の本件フェリーの各半券の押収を逮捕の現場での「差押」「捜索」として行うことができる(刑事訴訟法220条第1項第2号)。本件では、Aの詐欺罪の被疑事実での逮捕状が出ており、本件車両が被疑事実に関連する車両であることが確認されている。よって「199条の規定により被疑者を逮捕する場合」にあたる。Kらによる上記捜索の時点で逮捕自体には着手していないが、本条の趣旨が逮捕の

        • 令和6年予備論文 民事実務再現

          第1 設問1 小問(1)  賃貸借契約の終了に基づく目的物返還請求権としての建物収去土地明渡請求権 小問(2) 被告は原告に対して、本件建物を収去して本件土地を明け渡せ 小問(3) Xは令和2年7月1日Aに対し、建物所有の目的で本件土地を、賃料月額10万円で毎月末日翌月払い、期間30年の約束で賃貸した Xは同日Aに対して上記契約に基づいて本件土地を引き渡した。 Aは令和2年8月中に本件土地上に店舗用建物を建築した Aは令和5年3月17日Yに対して本件土地を賃

          令和6年予備論文 刑事訴訟法再現

          第1 設問1 1 甲が事件①の犯人であるという事実(以下本件間接事実という)を、事件②の犯人が甲であることを推認させる間接事実として用いるためには、本件間接事実に証拠能力が必要である。本件間接事実には、甲が少なくとも事件①の犯人であることを推認させるものとして、要証事実に対する最低限度の証明力があると考えられるので、自然的関連性は認められる。また、証拠禁止を疑わせる事実もない。では、本件間接事実に法的関連性が認められるか。 2 本件間接事実を甲が事件②の犯人であることを推

          令和6年予備論文 刑事訴訟法再現

          令和6年予備論文 刑法再現

          第1 乙の罪責について 1 乙がCの頭部を拳で数回殴って全治約2週間を要する頭部打撲の傷害を負わせた行為につき傷害罪(204条)が成立する。 2(1) 乙がCの腹部を足で数回蹴った行為につき傷害罪が成立しないか。 Cの肋骨骨折が乙と甲との現場共謀後に発生したかどうかが定かではない。そこで乙にCの腹部傷害に対する承継的共同正犯が成立しないかが問題となる。 (2) 共同正犯(60条)の処罰根拠は、互いに正犯として他人の行為を利用補充しあって犯罪を実現する点が実質的に見て単独正犯と

          令和6年予備論文 刑法再現

          令和6年予備論文 民事訴訟法再現

          第1 設問1 1 裁判所は相殺の抗弁を却下するべきか。相殺の抗弁は「時期に遅れて提出した攻撃又は防御の方法」(157条1項)といえるか。 2 157条の趣旨は裁判の遅延の防止という点にある。そうであれば、当該抗弁の提出により、新たな証拠調べ期日を設けなければならなくなるような場合には、「時期に遅れて提出した」といえると解する。 本件でも、相殺の抗弁は、結審が予定されていた口頭弁論期日において提出されており、これを審理するためには、自働債権の発生原因事実についての新たな証

          令和6年予備論文 民事訴訟法再現

          令和6年予備論文 商法再現

          第1 設問2 1(1) EはAに対して株式等売渡請求に係る売渡株式等の全部の取得をやめることを請求することが考えられる(法179条の7第1項3号)。これは認められるか。 (2) AはBCDからはその保有する後者の株式を一株あたり10万円で取得しているのに対して、Aに対しては、一株あたり6万円で取得しようとしている。これは「対価として交付する金銭の額」(法179条の2第1項2号)が「著しく不当」であるといえる。これに対しては、Aは、旧知の税理士Hに甲社の株式の評価額の算定を

          令和6年予備論文 商法再現

          令和6年予備論文 民法再現

          第1 設問1(1) 1 CのDに対する所有権に基づく乙土地の明渡請求が認められるためには、①Cが乙土地の所有権を有していること、②その所有権をDに対抗できることが必要である。 2 BがAについて管轄の家庭裁判所に失踪の宣告をし、8月1日に失踪宣告がされており、これによりAは「危難が去ったとき」である令和3年4月1日に死亡したものとみなされる(民法31条)。そして、Aは「乙土地をCに相続させる」との遺言をしておりこの意味が問題となる。  遺言者の合理的意思の推定から、「相続させ

          令和6年予備論文 民法再現

          令和6年予備論文 行政法再現

          第1 設問1 1 Xは、本件処分により、自己の土地の所有権という「法律上の利益」(行政事件訴訟法、(以下法名省略)第9条2項)を侵害されていると主張することが考えられる。この主張は認められるか。 2 「法律上の利益を有する者」とは、当該処分により自己の権利もしくは法律上保護された利益を侵害され、または必然的に侵害されるおそれのある者をいう。Xは処分の名宛人以外の者であるので9条2項も考慮する。 3 本件処分によりX所有の本件畑の南側部分の排水障害は著しく同部分では常に水

          令和6年予備論文 行政法再現

          令和6年予備論文 憲法再現

          第1 設問(1) 1 A町内会は地方自治法上の「地縁による団体」であり、公的団体その他の行政組織の一部とすることを意味するものと解釈することはできないので、私的な団体である。しかし私的な団体であっても国民の憲法上の権利に影響を及ぼすことはあり得る。そこで、私人間に憲法の規定を直接適用することはできないが、民法90条や709条などの私法の一般条項の解釈に際して憲法の規定の趣旨を読み込むべきである。本件ではA町内会が祭事挙行費を町内会の予算から支出することは公序良俗違反や不法行

          令和6年予備論文 憲法再現

          令和5年予備論文成績と総括(1月11日行政法・刑法追記)

          再現答案はこちら https://note.com/yobiteki/n/n4ae9d9166dd7 憲法 C 問題文を読み間違って3者間(2者間)で書いていないが、内容的にはCくらいいけているのではないかと思っていた。少なくとも形式をミスったくらいで即Fなどという採点基準にはなっていないらしい。まああれでも私見部分はちゃんと書いていることになるわけだしね。 憲法は対立利益(本問では証言拒絶権と公正な民事裁判権)を意識した基準を設定して、「メイン事実」を拾って評価していれば

          令和5年予備論文成績と総括(1月11日行政法・刑法追記)

          令和5年予備試験論文再現答案リンク

          令和5年予備試験論文試験の全10通の答案の再現が完了しました。こちらの記事は各科目へのリンク一覧と、現時点での簡単な感想コメントとなります。細かい分析はこれからですが、試験全体の感想などを最後にまとめています。 再現答案へのリンクとコメント 憲法 https://note.com/yobiteki/n/n2ad48e561b53 X、反論、自身の見解、と別々に項目分けしていません。しかしそれ自体より、むしろもう少し反論を意識した内容にするべきだったと思います。 行政法 

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          令和5年予備試験論文再現 倒産法

          第1 設問1小問1 1 A社は仕入先20社に対し、未払い売買代金を約定通りに支払うことができるか。 2 仕入先20社は、再生手続き開始決定時の債権者であるから、これらの者の債権は、「再生債務者に対し再生手続き開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権」(民事再生法84条1項)にあたり、再生債権である。そして、再生債権については、再生手続き開始後は、再生計画の定めるところによらなければ弁済をすることができない(85条)。よって、A社は仕入先20社に弁済をすることができない。 2

          令和5年予備試験論文再現 倒産法

          令和5年予備試験論文再現 刑事実務

          第1 設問1 (1) Aが所持していたVのリュックの中に、NKドラッグストアの会員カードが入っていたが、本件事件記録の中には同カードの会員登録情報の捜査記録がなかった。そうすると、会員カードがVの物なのかの確認が取れず、被害品の中に含めてよいのかの判断が不可能となり、その後の公判の維持も不可能となることから、Kに再捜査させた。 (2)本件において、Vは取られた水色のリュックの中に現金22万9500円とNKドラッグストアの会員カード1枚が入った財布が入っていたと供述している。そ

          令和5年予備試験論文再現 刑事実務

          令和5年予備試験論文再現 民事実務

          第1 設問1 (1)保証契約に基づく保証債務請求権 (2)YはXに対して220万円を支払え (3) 1 XはAに対して令和4年8月17日本件車両を240万円で売った 2 1の契約につき、XとAは、代金の支払いにつき令和4年8月から令和6年7月まで毎月末日限り10万円ずつの分割払いとし、Aが分割金の支払いを2回以上怠ったときは、催告等要せず、当然に期限の利益を喪失する旨を合意した。 3 XとYは令和4年8月17日、Yが1の債務を保証することを合意した。 4 3の合意は書面による

          令和5年予備試験論文再現 民事実務