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説明できますか?「共有権」と「共有持分権」の違い
1「共有権」と「共有持分権」
民事訴訟法の複雑訴訟分野を勉強していると、民法の知識が必要になる場面が多々あります。
例えば、「共有権」と「共有持分権」の違いを理解できていないと、共有権確認訴訟、共有持分権確認訴訟がそれぞれ固有必要的共同訴訟と通常訴訟のどちらに分類されるのか迷ってしまうと思います。
ということで、今回は「共有権」と「共有持分権」について書いていきます。
定義については諸説ありますので、「共有権」、「共有持分権」の定義の説明はせずに、イメージだけお伝えしようと思います。
共有権のイメージ
数名が共同して有する一個の所有権。
共有持分権のイメージ
各共有者が有している権利。
各共有持分権者がそれぞれの持分を自由に処分することができる。
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各共有者は、自己の共有持分を売却することができます。
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各共有者は自己の共有持分に抵当権を設定することもできます。
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2「共有権確認訴訟」と「共有持分権確認訴訟」
「共有権確認訴訟」は固有必要的共同訴訟です(昭和46年判例)が、「共有持分権確認訴訟」(昭和40年判例)は固有必要的共同訴訟ではありません。
共有権についての判例
最判昭和46年10月7日
「一個の物を共有する数名の者全員が、共同原告となり、共有権(その数名が共同して有する一個の所有権)に基づき共有権の確認を求めているときは、その訴訟の形態は、固有必要的共同訴訟と解すべきである。」とした判例です。
こちらの判例のイメージイラスト
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共有持分権についての判例
最判昭和40年5月20日
「 土地の共有者は、その土地の一部が自己の所有に属すると主張する第三者に対し、各自単独で、係争地が自己の共有持分権に属することの確認を訴求することができる。」とした判例です。
こちらの判例のイメージイラスト
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3 多数当事者訴訟分野の勉強について
多数当事者訴訟は、難解な分野です。
言葉だけを覚えようとしてもなかなか定着しないと思います。
私自身、「理解したと思ったのに、翌月にはまたよくわからなくなっている。」の繰り返しでした。
多数当事者訴訟の学習においては(法律学習全体に共通することでもありますが)
「具体的な事例を想定しながら、理解すること」
「一度立ち止まって民法の知識を確認してみること」
「なぜそうなるのか?を考えてみること」
「比較しながら整理すること」
を意識してみてください。